直木賞作家、小池真理子の半自伝的小説原作の、映画化です。

長くなりますので、2本に分けます。

※その①

時代は1969年、学生紛争盛んな仙台。
4月。
女子高生の響子(成海璃子)は、「制服廃止斗争委員会」なるものを作り、友人のれいこ(酒井波湖)樹里(仁村紗和)と時代の流れの真っ只中にいました。

ある日三人は、「名曲喫茶 無伴奏」という若者が集うクラシックの流れる喫茶店で、3人の年上の若者達と知り合います。
音楽を聞くための席は、スピーカーに向いており、皆が一列に並んで同じ方向を向くようになっています。
入り口にあるボードに「パッヘルベル カノン」と書く青年、渉(池松壮亮)、カップルらしき裕之介(斎藤工)とエマ(遠藤新菜)。
渉がリクエストしたカノン、が店に響いています。
「この曲、知ってる?」「知らないと、おかしいですか?綺麗な曲ね」言葉を交わす響子と渉。

その夜、遅くなった響子は父に叱られます。
両親と妹は翌日、転勤先に行くことになっており、受験生である響子は留まり、叔母の世話になる事になっていました。
妹は、可愛がっていた鳥の世話をお願い、と響子に頼みます。

学校の講堂で抗議行動をした響子たちは、自宅謹慎になりました。

6月。
大学生に混じって、抗議行動に参加する三人でしたが、警察との激しい抗争に響子は無伴奏へと逃げてきます。
そこへ、渉と裕之介がやって来ました。「独り?そっち行っていい?」と渉と裕之介が同席しました。使い捨てのコースターに名前を書き、改めて自己紹介する三人。渉は老舗の和菓子屋の息子で裕之介は幼なじみ、今は裕之介の家に居候しているようです。そこにエマがやって来て、裕之介と出ていき二人きりになる響子と渉。渉の虚ろな目線が少し気になります…
帰り道、「一生かかっても突き通せるものって何かしら?」と渉に訪ねる響子。
「人を愛していくって事じゃないかな」
何かを暗示しているようです。

渉とデートする響子は、竹林の中の裕之介の自宅の茶室に案内されます。そこにはエマと裕之介がいました。
タバコを買いに行くエマは響子に、渉の過去を話します。渉には姉がいる、母は幼い時に自殺し、それを見つけたのは幼い姉弟だった、と。父との折り合いが悪く、渉は裕之介の家に居候しているようです。
茶室に戻ると、エマと裕之介がイチャ付き始め、響子は席を外そうと渉に言いますが、何故か止める渉。彼はじっと二人を見ています。
「君も席を外せよ、エマが濡れてる」と渉に言うと、響子は居たたまれなくなり外へ出ました。帰り道、響子と渉は初めてのキスをします。

同級生のれいこが自殺未遂を起こしました。
彼女の自殺未遂もまた響子に変化をもたらします。

8月。
四人で海へ出かけました。

渉は「人生が好きか?」と響子に聞きます。
渉に惹かれている響子は「好きよ。今ここに自分がある、それだけで充分」と答えます。

浜辺にいる裕之介と渉。
響子は何故か、渉の裕之介を見る眼が気になっています。
帰りの車の中で、「今度は二人きりで会いたい」と渉に言います。それをバッグミラー越しに見つめる裕之介…

二人きりのデートだとウキウキする響子は、渉と動物園へ行きます。
そこに姉の勢津子(松本若菜)がいて、美しい姉、仲の良過ぎる姉弟に響子は嫉妬しました。

無伴奏に行く響子。
そこで、寄り添う姉弟を見つけます。
響子を見つけた姉は席を立ち、響子を渉の横に座らせますが、姉が心配だから送ってくる、とすぐに席を立つ渉。

響子の誕生日。
渉は花を持って、家の前にいました。招き入れる響子。彼はチャイコフスキーのレコードを、プレゼントに持ってきてくれました。
「渉さんは何を悩んでいるの?心はいつも遠い、体の半分を遠い世界に置き忘れたみたい」と響子は言います。
彼女を押し倒し、セックスしようとする渉を拒絶し、「勢津子さん以外、誰も愛せないの?」と響子は叫びますが、
「俺は姉を愛してなんかいない」
「じゃあ貴方は、誰を愛してるの?」
そこに突然の電話があり、電話の向こうは裕之介でした。
渉の姉が自殺未遂をした、との連絡です。
怪我は大した事は無い様子です。渉は、姉が東京の恋人と別れて戻って来たばかりだと話しました。
響子は、姉弟の関係を誤解していたのだと思いますが…
電話ボックスの裕之介が映ります。

ある日、響子は病欠しました。ジュリがお見舞いにきます。
彼女は、一浪覚悟で東京の美術大学を受ける事を話します。
制服廃止委員会が上手くいかなかった事に謝る響子。


さて、ここまでは学生運動や世界の紛争といった事柄に、流れて付いていくだけの思想も何も無い多感な女の子が、年上の何となく影のある男性に惹かれていく、という感じのお話しです。

がっ!?
ここから、怒涛の運命が四人の男女に待っています。

その②、に続きます。