私が搬入物を持って職場に戻ると、智幸が珍しく若い女の人を接客していた。
どうやら知り合いの様で
仲良く話しているのが遠目からでも分かった。
(綺麗な人だなぁ………)
背の高い智幸と、釣り合いが取れる程の背の高さに
スラっとしたスリムな体型。
ティアードミニスカートにサイハイブーツを履いているからか
余計に足長に見える。
それに比べて私は、背も低いしスリムでもない。
麻衣子に以前
「リカって森ガールだよね」
と言われ、その時初めてそんなジャンルがある事に気づいた位、オシャレにもさほど詳しくない。
………そんな私が智幸と横に並んでいていいのだろうか。
考え込んでしまうのはリカの悪い癖ね
って麻衣子が遠くから言っている様な気がする。
ボーっと二人を見ていると、後ろからバインダーで頭をポンっと叩かれた。
「なに口あけてマヌケな顔してんだばーか」
「吉岡君」
吉岡准(ヨシオカジュン)は同じ職場の同世代。
普段は智幸と同じ1階で仕事をしているのだけれど
吉岡君は倉庫担当なので、割と2階にも上がってきたりする。
「どうせあの客見て、私なんか豚みたいだわブーブーとか思ってたんだろ」
「最後の方だいぶ余計だよね」
私がムッとしながら言うと、吉岡くんは意地悪な笑顔を向けて言った。
「へー図星かー俺って天才ぢゃね」
「何も言ってないでしょー!」
すぐ怒るーコワーイなんて両手をグーにして口の前でフリフリしながら
吉岡君は私をからかう。
「ね、そんなカリカリしてさーもしやアレ?」
「ちっがーう!!!」
吉岡君がそのまま2階に搬入物を持って行く所だったので
ふくれながら仕方なく私も手伝った。
「お前はこっちでいいんだよ」
私が重い方の荷物を持とうとしてたのに気がついたのか
軽いほうを私に渡してささっと前を歩いていった。
………優しいんだか優しくないんだか。
私が小走りで吉岡君についていく後姿を
智幸がずっと見ていた事には気づけなかった。

