君はフィクション
以下、フィクションです。
はれぼったい顔の君は、半べそ状態でタクシーから降りてきた。待ち合わせの時間から30分経過している。
私は、別に怒ってないけど、君はその「契約違反」に対して、真摯に反省してるようで、見ててかわいそうになってしまった。
部屋でもそのまま不健康さを引きずってる。「こと」が終われば、すーすーと熟睡してしまって、その邪魔をする気がまったくなくなるほど、完ぺきな睡眠だった。
目覚めた君を眺めると、違う、今までの君とは明らかに違う。
横顔、目尻、唇。
はじめて会う人のようである。
予約した店のカウンターで美味しい料理をつつくうちに、思った通り、君は気分が悪くなり、ひどい寒気を訴えて、私のフライトジャケットを肩にかけてあげるけど、無駄だった。
帰した。
送っては、行かなった。ホイヤーの腕時計を眺めながら、一瞬悩んだけど、席を立たなかった。
それがすべてを語ってる。
独りで飲んで、食べて、帰る。それで満足だった。それだけ。