昨年の秋、母が他界した。
一度は寛解したものの、3年の闘病を経て。
血液疾患だった。


苦しく絶望と向き合いながらの治療をずっとそばで見ていた。

生きて欲しい
でも果たしてこれで母は幸せなんだろうか

そんな狭間で時間だけが経過した。


優しくて楽しくて淑やかな女性だった。
花や草木を愛でる背中、好きなお茶を嗜む横顔が好きだった。

最期は愛する家族に見守られる中、何かを話すように大きく息を吐き、そのまま静かにすーっと。


会いたいのに夢にすら会いに来てくれない。
いや、夢の中で声は聞こえるのだ。
聞こえるのに、姿、形を見せてくれないのだ。

昨夜の夢では母を呼ぶ私に答える声がする。

なのに探してもどこにも見えない。

あ、そこにいるの?

声の方向に近づきやっと会えるとしたところで目が覚めた。


今年はじめて実家のレモンを採ってウォッカと漬けた。
母は毎年甘いシロップ漬けを作っていたのに。
「ななこらしいわ」と笑ってるに違いない。


会いたいな。
話をしたいよ。

母から私は見えてるだろうか。
見えているのなら、こんな私に何を思っているのだろう。


今日はなぜか心がきゅーっとする日だ。