続き…
コツコツコツ…
バタバタバタ…
「…さ、ここが知ってのとおり玄関よ!」
ロチュス様が私の右手をぎゅっと繋ぎながら体を大きく広げ、嬉しそうに話す。
「はっ…はい」
そして出来るだけ、苦笑いしないように笑う。
ロチュス様が昼食を召し上がっている時、ロチュス様の唐突な提案で、レファンさんに伺おうとしたのだが、お休みしていた為出来ず…
こうしてそのまま、ロチュス様のお城案内ツアーが始まったのだ…
「こっちよ!」
ロチュス様に引っ張られる形で、歩く。
まぁ、案内してくれるのはありがたい…
あとでレファンさんに何て報告しようか…
なんてふわふわと考えながら、眼前にぴょこぴょこと小さく跳ねるロチュス様をぼんやりと見つめる。
まだ小さなその身体を元気いっぱいにパタパタ動かして、嬉しそうにしている様子がとても可愛らしい…。
子どもを持ったら…こんな感じなんだろうか
…っと母親みたいな感覚になる。
玄関から左側に行くと、さっきから何度も往復している食堂の扉の前へ。
「ここで、よくメイドさん達が食事しているわ、レファンとサラもここ?」
こんどは右腕にしがみつきながらこっちを見て尋ねる…その可愛らしいこと。
「はい、今朝も先程もこちらで頂きました」
「やっぱりそうなのね〜」
「こっちは?小さなテーブルと椅子があったけど…」
と隣の扉に指を指す。
「こちらで、今朝朝礼をしました。きっと連絡や会議で使う所かと…」
「ふ〜ん。こっちは、倉庫でしょ〜…」
と通路を戻りながら歩く…
玄関を挟んで反対側の通路へ…
「ここはホールだわ」
ガチャ…
ロチュス様が扉を開けると、大きなホールになっていていた。ここで講義が出来そうだな
隣の扉を開けると細い通路になっていて、進むとまた扉がありそこは二階にある王座の間より小さめな空間に二つ玉座があった。
私達は、玉座の端から出てきたようだ...。
「ここは…」
ボソッと言葉が出る。
「…おや?」
そこには、サンセールさんが手帳を持ってなにやら確認していた所だった。
「あっ!サン!」
パッと今まで腕にしがみついていたロチュス様が離れ、サンセールさんの元へ。
「これはこれは、姫…。お散歩ですかな?」
「い〜え、立派なお勉強よ?今サラにこのお城の案内をしているの!」
「ふむ…そうでしたか。」
サンセールさんが片目を瞑りながら指先を口元に当て、何か考えている様子…。
「…では、姫。このお部屋は何なのかご説明いただけますかな?」
「このお部屋は、謁見の間!国民の悩み事やお願い事を聞いたりする場よ。」
「ええ、その通りです姫。では、玉座の間と謁見の間…何の違いがありますか?」
「えっと…。確か、玉座の間は、お父様がお話しやお祝いをしたりする時に使う場所?」
「お見事です、姫。簡単に申しますと…玉座の間は、王様から何かを行う場、謁見の間は、訪問客の話を聞く場です。」
「なるほど…」
そんな違いがあるのね…。
「ゆくゆく、姫が18歳の成人になられた際に、玉座の間で、成人の祝辞を行うことになりますね。」
「18歳…あと5年後?どうなってるのかしら…」
「さて…それはまだ分かりかねますね」
失礼…とばかりに会釈し、サンセールさんはどこかへ行ってしまった。
「こんなところに繋がっているのですね。」
「ええ、そうよ。小さなころから探検しているから、もっともっとあるわよ?」
フフンと右手を胸に当て胸を張り得意げに言った。
「さぁ!どんどん行くわよ!」
そう言ってロチュス様はまた私の腕にしがみついてぐいぐい引っ張っていく...。
続く...