焦らないでぼさぼさ頭。 | デュアンの夜更かし

デュアンの夜更かし

日記のようなことはあまり書かないつもり。

 7月11日(土)

 昨夜特にすることもなかったので久しぶりに早めに寝ようかと思ったタイミングで、良くも悪くもボクをかき回すスカパーの画面にひとつの映画がはじまって、さして興味がわかなかったにも関わらず気づけば視聴体勢に入り結局丸々観てしまっていた。そのため念願の早寝はまたしても次回に持ち越される運びとなった。どうにも感想が見つからない映画で、一言で言えば「ベタ」だったかな、と。祭囃子の太鼓の音に乗せて「ベタ、ベタ」と景気よく唄ってやろうかというくらいに。

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 そうしてようやく、ちっとも早くない時刻に寝床に就いたわけだが、どういうわけか寝つけない。天候良好であったのに体のだるさからジョギングを断念していなかったら、あるいは楽々と快眠を得ることができていたかもしれない。運も悪かった。眠れないながらも少しずつ意識が堕ちていっていることが確かに感じられていたその最中、耳もとをかすめるあの羽音。そう、一匹の蚊がことごとく眠りの邪魔をしてきたのだ。「眠ってしまえばこっちのもんだ」と、逃げきりを計って睡眠に徹するも上手に眠れず、結局二、三箇所の足のかゆみというオマケつきで状況は何も変わらなかった。もう最悪だ。

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 そんなこんなではっきり覚えている。眠れたのは朝刊の配達もとっくに終わってだいぶ白みはじめた明朝以降。だから午前中の用事に合わせて起きるのは至難の業であって、結局起きて20分ほどで慌ただしく家を出なくてはならないハメになった。

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 用事と言ってもなんてことない、ただ美容院に行くだけだ。ついに当面このぼさぼさ頭から解き放たれるのかと思えば心踊る予定だったのだが、いかんせん遅刻濃厚、心のダンスに付き合っている暇などない。いかに時間がないと言え、いかにこれから髪を切ってもらうと言え、寝ぐせが残ったまま外に出るのは自分にとってかなり不埒なこと。まぁそんな自己嫌悪感は微々たるものだが、寝起きのよくないボクは美容院に着いても色々とちっとも冴えない様子であったことだろう。

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 髪の毛にさしたるこだわりのないボクにとって美容院選びはあまりデリケートな問題ではなく、ただ昔から行きつけということでここ何年も同じ美容院、同じ担当者さんに通っている。それは「髪を切ってもらう」というよりは「おしゃべりしに行く」というニュアンスの方が正しい。長年のお付き合いになるとその担当者さんとはかなり気心知れた仲になり、そして特に近頃はぐっと気が合うように感じられる。その人の話を聞くのは勉強になることが多くてたのしいのだ。その人もボクのことを買ってくれているのはびしびし伝わる(あれが嘘ならあの人は詐欺師だ!)ため、とても豊かな時間を過ごすことができている。だから、髪の毛のことなどあんまり分からないボクはここしばらく注文はもう毎回おまかせ。ボクのことをよく知ってくれているプロに任せておけばまず問題ないだろうという、要するに丸投げ泣きぼくろ大馬鹿野郎なのだ。

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 しかし今日は、前述のようにコンディションがよくなかった。いつものような温度でべらべらしゃべるのは出来そうもない。でもそれはボクの都合だけであって、あちらはいつも通りきてくるはず。がっかりさせたくないボクはなんとかテンションを上げようとしてみたが果たしてどうだったか。そんなふうにもやもやとした感じで1時間弱過ぎると、終盤にしてようやくボクも気分がノッてきた。とは言え流れというものがあるのでいきなりハイテンションに変貌はできず、まぁまぁそれなりでその日は終わったのだが、それでも担当者さんは今日もたのしかったと言ってくれた。お世辞というのももちろんもちろん分かっているが、でも本当にそう思ってくれていることもしっかり分かる。それを見てボクはほっとしたし、ボクだってたのしかったと思っていた。

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 終わりよければすべて良しと言うこともできるが、今回分かったのは、調子が出ないときでも変に焦る必要はなく、そこそこ共有できる時間があるのならば無理しなくて自然に接しているだけで、どこかで十分爪あとは残せるものだということ。無理したら余計に本当から遠ざかる。

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 ぼさぼさになる頃、また現れます。今回のような一件があったので、次はできるだけ遅めの時間に予約を入れようかなと思います。今後とも、よろしくお願いします。