無得体ブルース。 | デュアンの夜更かし

デュアンの夜更かし

日記のようなことはあまり書かないつもり。

元町の高架下は変わっている。
三ノ宮寄りは、古着屋やら雑貨屋やら中古CDショップやらがところ狭しと軒を連ねているが、神戸寄りは、古着屋やら雑貨屋やら中古CDショップやらがところ狭しと軒を連ねている。
いっしょのようで、いっしょでない。
三ノ宮寄りと神戸寄りでは、物々がたたえている『日の目を浴びなさ』がちがう。
もちろん、たたえまくっている方は、神戸寄り。

その日ボクは神戸寄りの高架下を歩いていた。以前は治安がわるいなどと噂されていたがそんなことないよな、などとふけりながら。
高架下というのは、いかんせん通路が狭いため、通路にまで品物を出していてしかもそれを物色している人がいようもんなら、なかなか簡単には通れないときがある。

そしてあったのだ、そういうときが、まさに。

前方10メートルほど、なにやら通りにくそうな様子で困っている通行人。
そこには段ボールに詰められた何かを一所懸命あさる中年とおぼしき男性。さしずめ宝探しといったところか。

通行の妨げとなっていることを顧みず、宝探しは続く。

通行人、苦労してなんとか突破。

そして今度はボクが通行人の番。
やはり通りにくい。
一度立ち止まらなければならないほどの勢いだ。

ちらとその宝箱の中身を見る。
そして明らかになる。

その中年トレジャーハンターは、一途に、大人のビデオを熱心にあさっていたのである。

ボクの左横には座りこんでいるおっさんの後ろ姿。というより、もう、おっさんのケツ。

人を本気で蹴ってもいいのは、格闘家と特殊なケースの通行人だとおもう。