尊敬もあったし、感謝もあった…
しかし全ては昔話だ…
(p175)
2020年、ドラマ化をきっかけにビッグコミックスペリオールで連載中の「らーめん再遊記」。第1集、第2集、第3集、第4集、第5集に続いて、第6集が2022/12/28に発売されました。
「らーめん再遊記」、5つ目のストーリーは、「発見伝」だったら「暖簾分けの秘密」のタイトルでもつけて数話で終わりそうなところですが、前巻から引き続き語られるストーリーは、実は第6集では終わりません。芹沢の先輩職人の人気店で修業した職人が、暖簾分けを受けて立ち上げた店が売れない。その理由を「グルタくん」が探り、トラブルを乗り越える解決策を考えるというもの。
先輩職人がレジェンドとして残っている本店の味と、そこで学んだ弟子の味。その差は何か。グルタくんがたどり着いたその答えは本編を読んでもらうとして、前回の「背脂ラーメン編」とも共通するような話でもあります。特に、「やりたいラーメンがないなら、二郎系・家系をやらせればいい」という提案は前回にも登場。まあ、現実にも流行っているのは間違いないですからねぇ。
冒頭の引用部は、芹沢が創業時に、その先輩職人に救われたエピソードを思い出してからのモノローグ。ある意味で決別でもあるのですが、そう思った先輩職人とどう向き合うのか、そこは第7集に答えが出ることになります。そこまで話が長くなったのは、ストーリーの合間に挟まれる「プロレス雑学」が主だったりしますが(笑)、この前後の「80年代語り」が、ラーメン好き以外にもこの作品のウイングが伸びている理由なのかもしれません。
ただ、1巻の中で新ストーリーが始まるでもなく、完結するわけでもないのは、単行本を一冊語る上ではちょっとモヤモヤするかな、というのが正直なところではあります。雑誌連載を読んでるのでその先の展開はわかってるんですが(笑)