今日はどこのスーパーでも普通に買える「マルちゃんの生ラーメン 3人前 醤油味」、通称 "マルちゃん醤油" を掘り下げていきます。
なんといっても生麺・ゆで麺製品におけるラーメン部門売上圧倒的1位ですからねぇ。
その実力のほどを見ていきたいと思います。
どんな人が買ってるの?
まずはマルちゃん醤油の購買層を確認してみたいと思います。
スーパーで生ラーメンを買うとき、あなたはどんな商品を選びますか?
マルちゃんは普通すぎて買ったことないなぁ。笑
どうせ買うなら僕は家でもお店のようなラーメンを食べたいですね。
お店のようなラーメンを家でも食べてみたいという人は、有名ラーメン店が監修した商品や、日清の「行列のできる店のラーメン」シリーズに目がいきがちですよね。
通常2食入りで、安くても300円台から高いものは600円ほどしますが、美味しければ多少高くても買ってみたいという購入層です。
私は3食入りで安心安定のマルちゃんを買うわ。
3人前で200円台だから家計に優しいし、冷蔵庫にそのときある野菜やコーン、焼豚の代わりにハムやウインナーを乗せると子どもたちも喜ぶわ。
家族全員分となると3食入りがいいですよね。
そもそも、焼豚やメンマがいつも冷蔵庫にあるとか普通の家ではそうないですし、お店の盛り付けとはまた違ったご家庭ラーメンも楽しそう。
3食入りの商品はもう少し家庭的な層がターゲットでしょうね。
3人前で200円台とお得な価格設定で売られてるので、お店の味を期待するというよりインスタントの袋麺よりは上のレベルを期待している購入層です。
さて、3食ラーメンにお店のような味は期待されてないのがわかったところで、次はマルちゃん醤油が本当にその程度のレベルなのか検証してみます。
マルちゃん醤油の凄さを検証してみた
結論から言うと、マルちゃんの3食入り生ラーメンは思いのほか秀逸でした。
こちらのマルちゃん(東洋水産)公式サイトで商品へのこだわりが確認できます。
実際にどこがそんなに優れてるのか整理してみました。
北海道産小麦100%使用
2食入りと3食入りの商品では1食あたりの値段が倍ぐらい違います。
当然ながら3食入りの商品はコストを抑える必要がありますが、にもかかわらず麺には北海道産の国産小麦が100%使われています。
低コストの商品開発では安い原材料を使うのが普通ですが、価格が安いからといって品質は絶対に落とさないぞ、という強いこだわりが感じられますね。
原材料費にお金をかけて、いったいどこでコストを削ってるんだろうね?
もうこれだけで十分凄いのがよくわかりますね。
スープの味ごとに麺が違う
先にも書いたように2食入りと3食入りでは1食あたりの値段が倍ぐらい違います。
そのため、スーパーのPB商品でよくある3食入りはスープの味こそ醤油、塩、味噌とそれぞれ違っていても、麺はどれも同じにしてコストを抑えています。
でも、マルちゃんの場合はその逆で、スープによって全部麺が違うんです。
へぇ、塩ラーメンって細麺のイメージだったけど、太麺を合わせるとは意外です。
太麺の塩ラーメンが人気のお店もありますよ。
ただ、マルちゃんの場合は、塩ラーメンというよりタンメン仕様だからですね。
なるほど、野菜炒めを箸でかきわけて細麺が見えてきたらちょっとバランスが悪いかも。
タンメンに似た長崎ちゃんぽんも太麺ですもんね。
このように、麺とスープには相性というものがあるのは今ではみんな知ってます。
値段が安いから醤油も塩も味噌も同じ麺で我慢してくださいね、とはしないところがマルちゃんの凄いところなわけです。
どんだけコストかけてんだって感じですよね。
ちなみにリニューアル後のタンメンは、シマダヤが以前から平打ち麺だったのに対抗して? マルちゃんも平打ちストレート麺に変更されました。
マルちゃんタンメンなら、こないだ買ったわよ。
麺が平たいのに変わってて美味しかったわ。
もっちり、ぴろぴろな食感で、私もタンメンだけはシマダヤの平打ち麺の方が好きだったので、これは嬉しい変更です。
そしてさらに、生ラーメンなのに湯切り不要になったというから驚きです。
麺を茹でてそこに炒めた野菜を乗せるとか、鍋がいくつあっても足りなそうな工程をお鍋ひとつで一緒に煮込めばいいようにしたということです。
そうなの、インスタントの袋麺と同じように作れてすごく便利になったわ。
消費者の「こうだったらいいな」の声に応えたい。
そんな企業努力には頭が下がりますね。
ノスタルジックな醤油スープ
醤油ラーメンとはそもそも、焼豚を仕込んだときの煮汁(醤油、酒、みりん、生姜、にんにく、ネギの青い葉など)を煮詰めたタレをカエシに使い、鶏がらや香味野菜でとったスープと、ラードなどの油を合わせて作られています。
焼豚の煮汁も流用するところがいかにも中華的思想というか、合理的ですよね。
おまけにラードも焼豚作りの副産物だし、まったくムダがないんです。
合理的なだけじゃないよ。
鶏がらの単調なスープにカエシの豚の旨みが加わり味が複雑になって美味しいスープになるよ。
同じ醤油ラーメンの喜多方ラーメンでは、鶏がらと豚骨も一緒に炊いてスープをとってますよね。
さすが、よく勉強してるね。
でもラーメン専門店と違って町中華で作ってるのはラーメンだけじゃないんだ。
寸胴のスープを調味料のように炒飯やレバニラ炒めなど他の料理にも使うから、スープは鶏がらだけの方が都合がいいんだよ。
マルちゃん醤油のスープの原材料欄を見ると、醤油、チキンエキス、ポークエキス、魚介エキスなどと書いてあります。
豚の旨みや和風だしも入った今風な味を想像しますが、実際に食べてみると鶏がらのコクや旨みは感じますが、他の原材料はそれほど主張してこず脇役に徹しているかのような構成になっています。
これがいわゆる昔ながらの懐かしい中華そば。
マルちゃん醤油が目指したのもまさにこの領域なんです。
安い方がいいから買ってたけど、これが昔ながらの中華そばの味なのね。
なら、なおさらこれからもマルちゃんを買うわ。
昔から培われた基本があって今があるんですね。
お店の味を食レポしたいので、基本を知ったうえで基本と比べてどうなのかってコメントができるよう勉強したいです。
マルちゃん醤油は、コストをかけて高い品質を保持し、商品コンセプトもしっかりとある、非常に完成度の高い優れた商品だということがよくわかりました。
3食ラーメンを推すもうひとつの理由
ラーメン屋さんで食べる一杯には、茹でる前で160g~180gの麺が使われています。
一方、市販の生ラーメンはなぜか通常1玉110g前後の場合が多いんです。
高価な2食入りラーメンも同じで、せっかく美味しく食べ進めても物足りなくなって、もうちょっと食べたかったという一抹の寂しさを感じてしまいます。
僕もいつも、なんでわざわざこんなに少なくしてるんだろうって思ってました。
仕方ないのでライスもつけたりしてます。
それなら麺を1.5玉使えばいいんじゃないかな。
それが3食ラーメンを推すもうひとつの理由だよ。
もうおわかりですよね?
3食入りだと1.5玉×2食でちょうど食べきることになります。
スープが1食分余ってしまいますが、お好みの麺だけ別に買ってくれば余ったスープもムダなく消費することができます。
ところが2食入りだとこうはいかないんですよねぇ。笑
つまり、お店で食べるぐらいの量を食べたい人こそ3食入りの方が便利だってことですね。
丼と麺とスープのバランスについて
麺の量の話をしたので、次はスープの量について話をします。
市販の生ラーメンのスープの大半は250ml~300mlのお湯で希釈するとなってます。
マルちゃん醤油の場合は250mlですね。
でもこれだと、丼の大きさにもよるけど、下の画像のように丼の縁に余白がたくさんできてしまって、全然美味しそうに見えないという事態が生じます。
ラーメンの写真を映えさせたい人にとっては、とても切実な問題ですよね。
一方、お店で食べるラーメンの多くは下の画像のように丼の縁までなみなみとスープが満たされていて、この方が断然美味しそうに見えます。
ほんとだ、スープが少ないと丼の余白が影になって美味しそうに見えないや。
丼の縁までスープがある方が全体が明るくなって、写真も映えますね。
麺を1.5玉使いたい場合は、なおさらだよね。
汁なし麺でも作ったの?ってぐらいアンバランスになっちゃいますよ。笑
さて、そんなこんなで、麺は大盛りで食べたいし、相対的にスープの量も多くして、見映えがするよう丼の縁まで満たしたいという話になってきましたね。
それでは、オリジナルのままで十分完成されているマルちゃん醤油ではありますが、ちょっとだけアレンジを加えて、麺もスープも増量させつつ、オリジナルよりさらに美味しく進化させてみたいと思います。
マルちゃん醤油がさらに美味しくなるレシピ
さて、お待たせしました。
早速、マルちゃん醤油をさらに美味しく作っていきます。
このレシピのポイントですが、マルちゃん醤油では控えめなポジションの和風だしをもう一歩だけ前に出してあげたのと、香味油(鶏油)を足すことで豊かな鶏の風味をより一層強調してあげた点です。
もちろん、麺は1.5玉使った大盛りとし、スープも旨み成分や白だしの塩分が入る分、オリジナルの液体スープを350ml程度のだしで希釈することとしました。
なお、スープは顆粒だしを使った超お手軽版のレシピと通常のレシピの二通りです。
顆粒だしの簡単レシピもあるのね、助かるわぁ。
スープ(お手軽版レシピ)
マルちゃん醤油 付属の液体スープ・・・・・1袋
顆粒 昆布だし・・・・・小さじ1/2
顆粒 鰹だし・・・・・小さじ1
塩・・・・・ひとつまみ (※1)
熱湯・・・・・350ml
鶏油(チーユ)・・・・・小さじ1 (※2)
(※1)材料に白だしを使わないので、塩を少しだけ足します
(※2)鶏皮をかりかりに炒って採取する脂(下の画像は自家製鶏油)
(手作りするのが面倒な方はこちらの市販品が安くて便利です)
丼に熱湯を注いで液体スープの小袋を入れ、丼とスープを温めておきます。
麺を茹で始めたら丼の湯を捨て液体スープを絞り出し、小鍋に沸かした熱湯350mlに塩と顆粒だしを溶いて丼に注ぎ、仕上げに鶏油(チーユ)をスープに浮かべます。
ちなみに、顆粒煮干しだしも試してみましたが、液体スープと相性があまりよくないみたいだったので、簡易版レシピでは煮干しの要素は省略します。
スープ(通常レシピ★推奨)
マルちゃん醤油 付属の液体スープ・・・・・1袋
昆布・・・・・3cmぐらい
煮干し・・・・・ひと掴み
白だし・・・・・大さじ1
顆粒 鰹だし・・・・・小さじ1/2
水・・・・・400ml (※3)
鶏油(チーユ)・・・・・小さじ1
(※3)昆布や煮干しが水を吸うのと多少煮詰まる分を考慮し400mlとしました
【前日】
昆布と煮干しを400mlの水にひたして一晩冷蔵庫で寝かせます。
前日から準備するのはどうもね、という場合は最低でも30分は置いてください。
【調理当日】
丼に熱湯を注いで液体スープの小袋を入れ、丼とスープを温めておきます。
一晩寝かせた昆布と煮干しだしを小鍋に移し、白だしなども加えて火にかけます。
沸騰したら弱火にして5分ぐらい煮出します。
麺を茹で始めたら丼の湯を捨て液体スープを絞り出します。
まろやかな醤油の香りと濃縮された鶏スープの良い香りにうっとりします。
小鍋のスープをザルで濾して丼に注ぎ、仕上げに鶏油(チーユ)を浮かべます。
麺
マルちゃん醤油 麺・・・・・1.5玉
鍋に湯を沸かして麺をお好みの硬さ(写真撮影する場合の推奨は1分)まで茹でます。
同時進行で準備した丼のスープに先に刻みネギを浮かべておき、麺が茹で上がったらしっかり湯切りして丼に移します。
トッピング
自家製 豚バラ ロール焼豚・・・・・1枚
メンマ・・・・・適量
刻み青ネギ・・・・・適量
焼き海苔・・・・・3切 1/2枚
お好みの具材を手早く配置したら出来上がりです。
その際、好きなお店の盛り付けを参考にしたりすると楽しいですよ。
まとめ
今日はラーメンの鬼 故佐野実氏の志那そばやの盛り付けに寄せてみました。
どうですか、なかなか美味しそうでしょう。
きゃー、めっちゃ美味しそう!
これはもう見た目からしてお店のラーメンだわ。
うんうん、見るからに麺も大盛りで大満足です。
お店で800円出しても食べたいです。笑
まずは丼全体の景色をじっくり鑑賞します。
写真撮影する場合もそうですが、麺がのびるので慌てずゆっくり急いで。笑
丼に顔を近づけると、まず節系の香りがふわっと鼻をついて食欲をそそります。
ここではまだ煮干し感はさほど来ないので、煮干しは本来は香りではなく旨みの担当なのだというのがよくわかります。
まず節系の香りがふわっとくるのかぁ。
荻窪の銘店春木屋さんの中華そばを思い出します。
そしてスープをひと口いってみます。
ここで鶏油(チーユ)の甘くコクのある香りが来て、キレのある醤油の味と鶏がらの旨みが来て、後味で昆布や煮干しの旨みを感じます。
まるで寄せてくるさざ波のように、異なる旨みが次々と押し寄せてきます。
鶏がら主体の中華そばに和風だしを足してるけど、濃厚煮干しみたいな主張は一切ないのがいい。
脇役はちゃんと自分の居場所をわきまえてますね。
仕上げの鶏油(チーユ)がいい仕事をしてますね。
これだけは省略しないで絶対入れたいです。
では、みんな大好き(笑)麺リフト、いきます。
僕もこれ、いつも必ずやっちゃいます。
お店の人に「早く食べないと麺がのびるだろ」って苦笑いされたりして。笑
やや白っぽくてしなやかなストレートに近い中細麺です。
そのまま口に運べばつるっと喉越しがよく、北海道産小麦100%だけあって、噛めば小麦の香りも感じられ、細いのにコシもあります。
食べているうちにどんどん軟らかくなったりということもないですし、これは本当によく研究しつくされた商品なんだなとつくづく思います。
スープはともかく麺は買ったのをそのまま使うのでこのクォリティはほんとありがたいです。
普通以上でも以下でもないイメージのマルちゃん醤油ですが、実は麺にもスープにもメーカーのこだわりがたくさん詰まっていました。
大変美味しゅうございました。
今日もごちそうさまでした