私は自称アルファブロガーとして取り上げられることをあまり好まないし、雑誌などでそう言われるとこそばゆい(こそばい?)というか、まあ私への説明はそういうしかないのだろうなと苦笑する場合も多いです。


 ここに来て、また新しくアルファブロガーの投票をするイベントをやるので協力してねというお声がけがありまして、親しい人が手伝っているので断るのも何だし、といって、いまさら私が「アルファブロガー(笑)です」とかいって図々しく何かを提案するのもアレだし、更新の止まっているかつてのアルファブロガーの人たちは果たしていまでもアルファであるかという議論も当然出うるのでブロガーの寿命というのに思いを馳せるとジジイくさくて微妙であって、本件を告知をするのも憚られたんですけど。


http://alphabloggers.com/
 私は選ばれはしたが自称するのは問題あると感じて、某徳力さんほかアルファブロガー選定関係者の方から頂戴するアルファブロガーのロゴであるとか、その手の企画からはなるだけ健全な距離を置くよう心がけてきました。アウトサイダーであり部外者であるから言及が可能なネット界隈の様々なことを私はブログに書いていたいと思うからです。同様に、彼らはブログ上のバズマーケティングでアクセスの多いブログを束ねて商売をしており、そこに私のブログが入っていないことをお考えいただければ、私がどういう立ち位置なのかは容易にご推測いただけると思います。


 表題の件、なぜ終わっているかというと、ブログを書いている人がまだ数万人、十数万人で、これからブログを書いてみようか、と思う人が多い場合、アルファブロガーのようなある種のモデルケースを提示することで「ああ。ブログというのはこういう世界で、そういう阿呆が棲息しておるのだな」と標識のような存在を自認する意味合いはあったと思うのです。


 だから、dankogai氏やfinalvent氏のような、何でも書く守備範囲の広い書き手が重宝され、時事から薀蓄からネットの話題まですべて網羅することと、某徳力さんの友人であることとがアルファブロガーの条件に近かった。いうなれば、徳力さんという人脈のハブ(駅)に近い、何でも話題が揃うブロガー(百貨店)がアルファブロガー(大手という名声)を得ていました。


 が、ブログを書く人がこれだけ増えて、プロフェッショナルかかなりの特定方面深堀りできる人がどんどんネットでモノを言うようになって、ブログも含めて閲覧する人の母数自体が増えてくると、当然細かい分野に棲み分けが進んでいくのは当然です。ブログを初期からやっている私からすれば、ブログを書いていた当時と一度炎上して大人しくしようとして、ニフティに移っている現在とでは、随分書いていることも変わってきたなと思うわけです。そして、私自身の変化もそうですけど、読み手のブログに対するニーズも書き手の性質も変わった結果、前とは違うブロガー(専門店)が増えていくのは当たり前であって、そうであるからにはアルファブロガー(大手という名声)という概念も変容していかざるを得ないと考えるようになったのです。


 あくまで、ネット業界、ネット社会、ネット界隈の延長線上でアルファブロガーというものを取り上げればよい、とするのであれば、それはそれで構わないのですが、どうせ一度何か間違ってアルファブロガーに選ばれたからには、長年ネットでブログを様々読んで来て、軸足のぶれない各方面での秀逸な書き手をアルファブロガーとして選ぶのが私の最低限の使命かなと思いました。


 依頼があったのは、アルファブロガーとして相応しいブログを三つ選んでくれとのことでした。週に一回以上巡回するブログは、私自身は100ちょっとありますが、これは面白いな、身体張ってるな、軸足ぶれてないな、深い知識や経験に裏付けられているなと感じるものは7つぐらいありました。ただ、ノミネートは三つだけでしたので、改めてその紹介と、現在ノミネートされているほかの候補について頼まれもしないのに勝手にコメントしたいと思います。


○ 地政学を英国で学ぶ
http://geopoli.exblog.jp/


 正直、地政学については何をどう読んでいいのか私には良く分かりません… 私にとって社会科学とは、現実に発生する事柄(事件などのニュース)がどのような影響を他者に及ぼすかの未来予測をするうえでの重要度、価値を判断するためのツールと捉えていますので、地政学自体が未知の学問です。


 まあ、はっきり言ってしまうと大学時代にその方面は良く理解できなかったのであんま勉強せんかったのが悪くてツケ払ってるだけなんでしょうが、実際に学んでいる人が咀嚼をして、読み手に分かりやすく提示してくれるというだけで、どういう考え方をする学問なのか、どんな体系なのかが少しだけ分かるような気がするのです。


 かといって、提示されている文献を取り寄せて読み込むなどということは物理的に無理ですから、聞きかじりで終わってしまうわけですけど、聞きかじることも不可能な学問というのはたくさんあって、更新頻度は高くなくても充分アルファというに足る影響力を持ちうるブログだと私は考えています。


○ 忍之閻魔帳
http://ameblo.jp/sinobi/


 結構前に雑誌編集者などから「コーエーのことを腐してるブログがある」と聞いて知ってから読み始めたゲームや映画DVDなどの紹介ブログ。あんまり目立ちたくないポジションの人なのかもしれないが、アメーバの総合ランキング4位、ジャンル1位の状態でひっそりもヘチマもなさそうなので敢然と推薦しました。


 同様にアルファブロガーとしてノミネートされているアキバブログと対になる、業界よりのレビューが掲載されていて、かつ書き手のポジションがしっかり読み手に伝わるあたり、エンターテイメントの流通をやっている人は目を通して損はないと思いますし、実際に広告代理店などから「この作品の評価でネットではこう書かれていた」と聞くとき五回に一回ぐらい当ブログがプリントアウトされて回覧されることになるので、充分すぎるぐらいアルファだろうと判断しました。


 私に推薦されて迷惑だと思われていたとしてももう遅いので私は知らぬ。


○ 債券・株・為替 中年金融マン ぐっちーさんの金持ちまっしぐら
http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55


 ポジションがはっきりしているプロの書き手という意味で、当ブログを推薦しました。金に関わるブログですから毀誉褒貶はさまざま出ますが、ワールドワイドな証券業務を堅実にやっている老舗証券会社にいる人ならではの市場の読み解き方で、あんまりポジションも感じさせない一貫した評論をされているので、知りたい事情の手がかりを得るには大変よろしいかと。


 稀に政府に近い人と酒の席で聞いた見立て話がそのまま一字一句違わず掲載されていることもあるとかないとか評判になり、いろんな意味で「株屋」って感じがして素晴らしいです。状況によっては、うまく上がり馬が政府の委員会とかに潜り込んだとき、ついでに入り込んでかき回してくれそうなイメージがあるので引き続きヲチし続けたいと思います。


○ bewaad institute@kasumigaseki
http://bewaad.com/


 リンクするとサイトが落ちる不思議なブログながら、書かれている内容は結構コアで、それに反応するには仕事上のポジションもバレかねない諸刃の剣であるし、先方の正体が良く分からないのでどこかでニヤニヤされている可能性がある点で充分なアルファ資格があると判断しています。


 ただし、アルファブロガーというイベント形式でノミネートされ、うっかりご本人が特定されてネット上で回覧されたりすると、先日のWikipediaの役所からの改変問題などでも明らかな通り、痛くもない腹を彼が探られてしまう危険性もゼロではないと判断して、見送りに。


 くだらん配慮するなという物言いについては全力でスルーする方向です。


○ 週刊オブイェクト
http://obiekt.seesaa.net/


 安全保障方面から週刊オブイェクトが充分な影響力を持っていると判断しています。必ずしもその方面のプロとは思われないまでも、高い知識とそれを支える哲学と知性を感じさせるという意味では出色であって、ただの軍ヲタではない見事なバランス感覚を持っているように読めます。


 政府要人や知識人、評論家が、諜報以外の安全保障分野でうっかり変な発言をすると時を待たずにこのブログで取り上げられ、検証され、論考されてしまいます。ネット社会が発達したとき、こういう情報ハブが登場するのだなという見本のようなブログです。


○ ボーガスニュース
http://bogusne.ws/


 泣きながら推薦を見送ったら別の人が推薦していました。個人的には、アルファブロガーアワードなどに推薦される→下馬評が高く、本人も乗り気に→別のアクセス数の多いブログに受賞を掻っ攫われる→ウボァーという黄金の展開を今年もやって欲しいと思います。


 毎年何だか知らないがノミネートされていて必ず落ちるというのがボーガスニュースに求められるリザルトであって、やはり「三度目の正直」ではなく「二度あることは三度ある」の路線であることこそ、ブログ界のダチョウ倶楽部として注目され続ける秘訣だろうと私は考えています。来年もノミネートされて落選→モルスァという芸が見られるのはボーガスニュースだけ。最高品質の、B級。


 なお、ボーガスビューティーのような姑息なアフィリエイトの稼ぎ方を見て「こいつ、できる!」と思いました。


 ――ここまで書いて面倒くさくなってきたのでうpしてしまいます。お読みいただきありがとうございました。