市立美術館はこうの先生の寄託を受けたオリジナル原稿やカラー原画などを保管しており、ファンからすれば一般公開は貴重な機会ではないかと思う。今回は「夕凪の街 桜の国」だけでなく「この世界の片隅に」の中から原爆を描いたシーンの原画も併せて展示されている。なお、館内は当然撮影禁止になっているためお見せできないことをご了承下さい。
「夕凪の街 桜の国」は原爆投下から10年後の広島に暮らす被爆者を描いた「夕凪の街」編と42年後の東京に暮らす被爆者(桜の国1)、59年後の東京で暮らす被爆二世の日常をテーマにした(桜の国2)のパートに分かれている。こうの先生は広島出身故に原爆をテーマにした漫画を描くのは苦手意識や葛藤があったとのことだがやはりこのことは多くの人に知って欲しいとの思いで執筆に至ったという。
また、こうの先生は漫画家のとだ勝之先生のアシスタントを5年間勤めたこともあって初日の今日はこうの先生ととだ先生のトークショーも開催された。自分が入館した時はすでに会場は満席だったためお二人の姿は辛うじて見える状態だったが、生で会話を聞くことができたのは結構なことである。
美術館の隣には「この世界の片隅に」にも登場した海軍の「集会所」がある。戦時中は海軍関係者の福利厚生施設として使われていたが、戦後は進駐軍→海上自衛隊へと移管、現在は市の所有物件になっていると聞く。
すずさんと修作が待ち合わせした「めがね橋」は当時とあまり変わらないように見える。戦時中は集会所の先に海軍の衛兵所?があり、許可のない者は立ち入りできなかったと思われる。また、修作が勤務していた「軍法会議」の建物はこの近くにあったようだ。
現在の美術館通りと当時の様子。この坂を上り切った場所に海軍病院(現国立地域医療センター)がある。当時の建物は残っていないが正面の石段は変わっていないようだ(現在は歩行禁止)。旧海軍病院の向かい側は市民広場になっているが元々は「練兵場」だった場所。