今回のお題は「ドライブイン」である。ドライブインとは車を乗り入れることができる商業施設を指すが、狭義のニュアンスだと道路沿いにある飲食店をイメージする人が多いのではないかと思う。自分が小学生の頃は親父の運転する車でよく母方の実家に帰省していたが、専ら幹線国道を使っていたので郊外の沿線には大抵ドライブインがあった。駐車場には長距離トラックなどが並んでおり、食事や休憩に多くのドライバーが利用しているのを目にした。
 しかしウチの親父は走り出すとほぼ休憩無しで運転することが殆どで、余り外食を好まないこともありドライブインを利用する機会は数えるくらいしかなかった。また、当時の自分は乗り物酔いが酷く、飲食をして車に乗るなど無理な話でもあった。
 昭和の時代には普通に見かけたドライブインも高速道路やバイパスが整備されて一般道の交通量が減少し、コンビニの普及などによって今や風前のトモシビッチさんになってしまった。実際に地元の幹線国道で見かけることも少なくなったが、それでも1軒が今も営業していたのを思い出し、近くで所用を済ませた帰りに立ち寄ってみた。


↑郊外のドライブインは大型トラックも利用するので駐車場も広いことが多い。店舗によっては駐車場の一角にフード系自販機やゲームコーナー、エロ本の自販機などを設置していたが、さすがに今は見かけなくなった。ファミリー層が利用するような「レストラン」もあったが、「めし屋」はトラックドライバーがよく利用していたイメージがある。そうしたドライブインは爆盛りメニューがあったり安くて美味しい名物メニューがあり、ドライバーの間に口コミで広まっていたようだ(当時のトラックは無線が装備されていることが多かった)。


 店内はお昼のピークを過ぎたのか程々の客入りで、休日ということもあって家族連れや近所の人が多く、トラックドライバーはいなかった。席に座って窓の外の国道やテレビをぼんやり眺めてみたりする。


 店の一角にはヨレた週刊誌やスポーツ新聞、コミックなどが積まれており、ファミレスなどとは違う昭和感が今も残っている。観光バスが立ち寄るようなドライブインはお土産を売っていたりちょっとした休憩所もあった気がする。


 このドライブインにはなかったが、テーブルの上にはコインを入れてレバーを回す星座占い(↑)やナッツ類が出てくるディスペンサー的なモノが置かれていたのが思い出される。



 今回は朝食が軽かった反動でちゃんぽんと「焼き飯」をオーダー。炒飯ではなく、実家のばあちゃんが作ってくれたような素朴な焼き飯がなつかしい。ちゃんぽんはちょっとトロみがついた広東麺風な味だった。他にはカツ丼や焼き肉定食などガッツリしたメニューもあって「働く人」が好きそうなラインナップである。

「そうそう、こういうのでいいんだよ」

 こちらのドライブインは見た所調理をご主人が行い、接客や会計などは奥さんが担当しているようだった。ウチの親よりは若いように見えたが果たしてこの先どうなるのか自分には分からない。人のやることにはいつか終わりが来るものではあるが、いつまでも続けてくれることを願ってやまない。