最近は不要な物を処分したり紙モノをデータ化するなどして私物を減らすようにしているのだが、段ボール箱をひっくり返していたら「ルパン三世・カリオストロの城」のフィルムコミックが出てきた。発行は初版が1981年となっており、双葉社から一冊680円で発売されている(※モンキー・パンチ先生はアクションコミックに連載されていたので双葉社から出版されたと思われる)。


 フィルムコミックとは映像フィルムを印刷して吹き出しや擬音などを加えコマ割りをしたものと言えばいいのだろうか。80年代初期はビデオデッキの普及も一般的でなく、テレビ番組などを個人で記録するとなると音声をカセットテープに録音したり関連書籍を購入して見るのがせいぜいだった。その後アニメ番組が週に何本も放送されるようなバブル状態になるとビデオソフトも少しずつ発売されるようになったが1本が1万円前後するセルビデオはそうそう買えるものではなく、その隙間を埋めてくれたのがフィルムコミックだったと思う。手元にはカリオストロの城しか残っていないが劇場版ガンダムのコミックなども買った記憶がある。
 テレビで録音した音声を聞きながらフィルムコミックを読めばビデオ映像がなくてもある程度番組の再生気分を楽しむことができたのでアニオタの自分には有難い存在だった。他のアニメ作品もかなりフィルムコミック化されていたのでそれなりに需要があったと思われ、オールカラーということもあって「原作のコミカライズ」とは違う良さがあった。


 しかし80年代後半になるとセルビデオの値段も次第にリーズナブルになり、レンタルショップの普及やそれに伴うレンタル流れの中古ビデオが安価に出回るようになったためフィルムコミックは廃れて行ったのではないだろうか。ところが現在ではネット配信やサブスク、動画サイトでの閲覧が主流になってレンタルショップの閉店が相次ぎ、DVDやブルーレイのソフト売り上げそのものも低下傾向にあるという。まさに栄枯盛衰を感じずにはいられない。


 自分は80年代を中学~高校生で過ごしたので今で言うアニオタだったが、短大に進学すると興味が車やバイクに移って行ったためアニメを見ることも無くなった。最近のアニメはさっぱり分からないが、当時のアニメは今もセリフを覚えているくらい入れ込んだものである。当時のアニメに対する欲求の隙間を補完してくれたフィルムコミックだが、さすがに令和の時代に復活することはないだろうなぁ…。