今日は朝から雨で一日中やまないようだったので久しぶりに市内の大型書店に足を運んでみた。今は大概の書籍が「密林」などの通販で購入できるし、電子書籍で閲覧すれば場所も取られないのだが本当に読みたいものは「紙の本」を選んでしまうし書店巡りもまた楽しい。
 今回購入した3冊はジャンルが見事にバラバラでプロファイリング捜査官が混乱するのではないかという迷走振りではある。




〈シャーロック・ホームズとジェレミーブレット〉

シャーロック・ホームズの冒険はこれまで数多く実写化されているが、英グラナダTV版はファンから「最も原作に近いホームズ作品」と評され、主演を務めたジェレミー・ブレットもホームズの決定版と評価も高い。日本でもNHKで何度か放送され、露口茂さんの吹き替えでご存知の方もいるのではないだろうか。自分は熱心なシャーロッキアンではないが、グラナダ版の独特な雰囲気はハリウッド版とは異なり当時をそのまま再現したような「陰鬱な空気感」が好きだった。
 内容は本人や共演者、制作陣の証言や裏話、各話の解説だけでなくカラー写真も豊富に掲載されているので資料としては申し分ない内容だと思う。

モーリーン・ウィテカー著:高尾菜つこ、日暮雅通訳
原書房 2700円+税


〈復興を生きる〉

 地元紙の河北新報が取材して見えた被災地の問題やその時何が起きていたのかなどを取り上げ、震災の問題を総合的に俯瞰した内容となっている。あの時南三陸町の防災対策庁舎で何が起きていたのか、大川小学校の裁判がもたらしたもの、高台移転など地元紙ならではの目線が興味深い。その中に報道写真で有名になった「ペットボトルで水を運ぶ少年(↓下写真)」のその後も取り上げていた。

 この写真は震災を象徴する1枚として多くの人が目にしたと思うが、彼も現在23歳で気仙沼の病院に勤めるため国家試験にチャレンジしているとのこと。多感な時期に震災を体験し、不自由な生活を強いられたこともあって我々には知る術もないくらい苦労したと思うが目標に向かって頑張って欲しいと願う。

河北新報社編・岩波書店:2700円+税


〈野生の中へ〉

「孤独のグルメ」「神々の山嶺」などの作者、故・谷口ジロー先生の過去作品から野生動物を題材にした短編を再録した文庫コミック。自分が谷口作品を初めて読んだのが90年代だったのでそれ以前の荒々しいタッチの作画は同一人物の描いたものとは思えないが、野生動物や山岳・登山を題材にした作品は70年代には手がけていたということになる。谷口作品と言えば井之頭五郎のイメージを持つ人も多いと思うが、様々なジャンルもしっかり描いていることを再認識させられる。

谷口ジロー作画・山と渓谷社:950円+税