♪お内裏さまとお雛さま~ 二人並んで…
とまあダジャレは置いといて、今月11日から竹原市の町並み保存地区(↑)を中心に様々な時代の雛飾りが展示されていると聞いて見学してみた。竹原市は製塩事業などで財を為した旧家が多く、雛飾りもそれに似つかわしいきらびやかなものを所有した家も少なくなかった。現在は住宅事情や金額的な兼ね合いでコンパクトかつシンプルなものが主流と聞くが、以前は「ハレの日の催事」として豪華なものが好まれていた。最近は飾られる機会も少なくなった豪華な雛飾りをこのイベントで各所に展示して時代ごとに見比べてもらおうという趣向もあるようだ。
さて、今回なぜ自分が柄にもなく雛飾りを見学したのかについてだが、その理由はジオラマやミニチュア製作のヒントになるのではないかと思ったからである。今回撮影した一部を以下に掲載。
↑これは箪笥や茶の湯の道具などを再現したもの。比較するものがないので分かりにくいかもしれないが箪笥でも手のひらサイズ、着色や絵付けは全て手塗りであろう。引き出しは可動式、金具も別パーツで再現している。
↑漆器類も実物をそのまま縮小したようなリアルさ。お椀は指先くらいの大きさだったと思う。
↑琴や三味線、鏡台、重箱などもリアルに再現。重箱の中には料理も入っているんじゃないかと思わせる出来映え。
↑これは枕やひじ掛けであろうか? 写真にはないが他にも駕籠や牛車などを再現したものもあった。当時これらはワンオフで製作されたと思うが、このような雛飾りを所有できた家は相当裕福な名家だったのだろう。
モデラー目線で見ると雛飾りはジオラマのご先祖様ではないかと思うが、日本人のDNAにはこうしたミニチュアを好む所があるように感じる。さらに話を広げるなら土偶や埴輪、仏教彫刻はフィギュアであり、根付け(煙草入れや印籠などにぶら下げる小物)は今で言う携帯のストラップ的なグッズであった。有名役者や美人画の浮世絵はアイドルブロマイド、滑稽本は同人誌といった所であろうか。真面目に民俗学や美術史などを研究している人からはお叱りを受けるかもしれないが、日本人のサブカル(オタク)文化は昨日今日始まったものではない古来からのDNAではないだろうか。(笑)