休日を利用して山陰方面を訪れた帰り、特に用事は無かったが旧JR三江(さんこう)線の尾関山駅を訪ねてみた。


 三江線は広島県北部の要衝、三次市と日本海側の江津(ごうつ)市を結ぶローカル線で、三江北線は1930(昭和5)年より建設が始まり、1937(昭和12)年に浜原まで開通した。一方の三江南線は三次側から1955(昭和30)年より建設開始、1975(昭和50)年8月に沢谷駅まで進延することによりついに北線と南線が一本のレールで繋がった。陰陽を結ぶ山間部の交通手段として期待されたが周辺自治体の過疎やモータリゼーションの発達、災害による運休の多発などが影響して利用者も激減、2018年3月31日をもって全線が廃止となった。




↑三次駅を出発して江津方面に進むと最初の駅が尾関山駅である。近くにある尾関山は桜や紅葉の名所として知られ、その観光客を見込んでの開業ではないかと思われる。駅舎はこぢんまりした木造の無人駅で、券売機すらない。現在は施錠されて内部には入れないが、入り口に駅ノートが置かれている。


↑改札口もこれといったものは見当たらず、以前訪れた道後山駅のような感じ。現役時代の利用者はどのくらいいたのだろうか?


↑ホームから駅舎を見下ろしたところ。尾関山公園の最寄り駅だが特に観光地の駅という感じは見受けられなかった。現役時代の行楽シーズンには何らかの飾り付けとかはされていたのかもしれないが手持ちの資料がないので何とも言えない。


↑ホームは1面のみで列車の行き違いもできないが、ホームそのものは不釣り合いに長い。目測では列車6両分くらい停車できそうである。


↑ホームから尾関山方面(写真左後方)を眺めてみた。レールはそのままなので現役時代と変わらないように見える。ちょっと分かりにくいが、画面左端の空き地にはかつて保線員の詰所や倉庫があったらしい(駅舎より大きかったとのこと)。


↑再び駅の表側に戻り、かつての「駅前通り」を見る。以前は駅員が尾関山駅で切符を発券していたが、無人になってからは駅前の商店が委託販売を行っていた。しかしそれも列車のワンマン化によって廃止され、今は三江線との関わり合いを関連させるものは見受けられなかった。当時のことをご存知の方に話を伺えれば良かったのだが…。



↑三江線廃止の最終日、国鉄の制服を着て乗客を見送る「三次SL保存会」の湧広利行さん。

毎日新聞 2018年3月31日朝刊より