世の中に流通しているものは統一された規格があって初めて多くの人が利用し、そして広まっていくのは言うまでもない。しかし技術の進歩は目覚ましく、栄華を誇ったそれらもいずれは消え去ってしまうものである。昭和~平成~令和と時代は流れて様々なものが出ては消えていったが、今回は身近な記録媒体を振り返ってみた。



  映像を記録するものとしてはVHSのテープ(右はし)が一般的ではなかったかと思う。現在もデッキなどが販売されているようなので絶滅したとは言い切れないが、コレもテープの供給が終わればサヨウナラである。因みにウチは当初ベータのデッキを買ってしまったのでその後辛酸をなめることに…。
  80年代後半あたりからは家庭用ビデオカメラが普及し初めて8ミリフィルムカメラを駆逐してしまった(コダック社も8ミリフィルムの生産を打ち切ったらしい)。家庭用ビデオカメラは松下(パナソニック)のVHS-Cとソニーの8ミリビデオ(上写真中)が双璧だったと思うが、この分野は8ミリビデオ(ハイエイト)に軍配が上がったように感じる。
  左側のデジタルビデオは画質の劣化が殆どない、というのがウリだったが、しばらくすると記録するものがテープからCDやSDカードなどに取って代わられたため家庭用としては殆ど普及しなかったのではないだろうか。特に写真左側のデジタルビデオはフルサイズ(ミニもあった)のため半業務用だったのではないかと思う。

 

  映像ソフトとしてはレーザーディスクが高画質ということもあってそれなりに普及したが、数年前にデッキの供給が無くなったと聞く。この他にVHDディスクという方式もあったような気がするがウチにはなかったので詳細は不明である。これも現在はコンパクトなDVDやブルーレイに席巻されてしまったな。



  音の記録媒体ではカセットテープとMDもすっかり見なくなった。カセットテープはリビングのステレオコンポやカーステ、ウォークマンなど普段の生活に欠かせない存在だったが、テープそのものがかさ張り、音質の劣化や頭出し、巻き取りに時間がかかることもあり、I-Podや携帯のダウンロード方式が一般化すると一気に衰退した感がある。今の若い世代には「テープをダビングする」とか「レコードをテープに落とす」と言っても通じないらしい。学生当時はメタルテープなどは滅多に買えずノーマルポジションが殆どで、自分はソニーのテープを愛用したが、弟はマクセル、姉やんはアクシア派だった。
  MDはカセットテープの欠点を補い、デジタル時代の録音媒体として登場したのではないかと思うが技術の進歩は思った以上に早く、前述のダウンロード方式などの普及で時代の徒花的なものになってしまった。写真のMDウォークマンは上のステーションに合体させるとミニコンポ的な使い方もできるスグレモノだったのだが…。



  音楽ソフトではレコードも見かけなくなって久しい(※DJやアナログファンには需要がある)が、CDシングルも10数年前に姿を消したようだ。以前のCDデッキはシングル対応だったが現在はどうなんだろうか? 一時期シングルアダプターなるものも見かけたが…。



  カセットテープ以前となるとスパイ大作戦でお馴染みのオープンリールテープレコーダーになるが、ここまで来ると民俗資料館レベルなので見たり使ったりした人は少ないと思う。松下製のコレは録音・再生速度は3段階で選べるようになっており、音質(トーン)調整ダイヤルやカウンターも付いている。マイクは演説会の壇上にあるようなやつがあったと思うがこれは処分したらしい。本体には「ハイファイ サウンド」を謳っているがそもそもモノラルだしどの辺がハイファイなのだろうか。
  ウチは親父がこの手のモノを捨てられない性格だったので未だに残っており、自分が高坊の頃久しぶりに使ってみたが当時は再生も録音も可能だった。リールに巻かれたテープは何処かにあると思うのだが、今回は残念ながら発見できず。以前再生した時には昔の紅白歌合戦や親父が絵本を読んでいるのなんかが録音されていたような気がする。


  現在の記録媒体はSDカードやCD-RW、USBメモリなんかが主流だが、これとて10年後にはどうなっているか分からない。まさに栄枯盛衰の世界である。