尾道鉄道最北部の終着駅だった市駅も中国バスの営業所になっていた。ここも当時の面影はないが、車庫裏側の石積は当時のものだという。かつては「駅前」としてそれなりに賑わっていたのではないかと思うが、現在町の中心部は数キロ下った辺りになっているのでこの付近は郊外のような雰囲気である。本来ならこれからさらに鉄路を進延する計画だったがそれも実現することなく、今となっては忘却の彼方である。いつもながらこのような場所を訪ねると「栄枯盛衰」や「時の流れ」を感じずにはいられないが、無くなったものを振り返ったり過去に思いを巡らせることは意義のあることだと自分は考えている。


なお、尾道鉄道については以前BS 朝日が「レールのあった街」という番組で紹介しており、オンエア分がDVD Vol-6に収録されているので興味のある方は探してみてはどうだろうか。



 ※引用文献

タイムスリップ・レール…オノテツ
尾道学研究会

鉄道廃線跡を歩く…3
宮脇俊三 編著  JTBキャンブックス