東日本一帯に甚大な被害をもたらした台風19号は物的損失もさることながら、またしても多くの尊い命が失われる結果となった。台風が日本に接近する前からニュースで厳重な警戒を呼びかけていたが、今回も「まさか自分たちがこのようなことに…」と思った人も少なくなかったと思う。そして避難する途中で犠牲になったケースもしばしば報道されているが、東日本大震災や昨年の西日本豪雨の教訓は生かせなかったのか…と思うと悔やんでも悔やみ切れない。
広島県では昨年の西日本豪雨で突出した犠牲者を出す結果となったが、これを踏まえて「助けに行く」のではなく、「避難に連れ出す」ことに重点を置くよう啓発している。早めの避難と口で言うのは簡単だが、心の非常スイッチを入れて行動に移すとか、どのタイミングで避難するべきなのかなど一朝一夕にはできないだろう。また、近所の人や自力避難が困難な人を連れ出すことは現在の近所付き合いの希薄さや個人情報保護法の絡み、避難時に怪我等を負わせた時の責任問題などがあって及び腰なのが現実だと聞く。近年は災害が多発しているにも関わらずこうした問題はなかなか進展がなく、このままではダメだろう、という焦りばかりが募っていく。
地元の広島FMでは毎年このような防災ハンドブックを無料で配布している。様々な災害への対応や非常時の持ち物リストなどが掲載されているが、最寄りの避難場所やルート、持病がある人の症状、服用中の薬などを自分で書き込んでいくようになっている。全ての災害にパーフェクトな対応はできないが、できるだけの備えはするべきである。何度も言うが、今は誰が被災者になってもおかしくない激動期にいると自覚して欲しい。