ストーリーを書くとネタバレになってしまうので割愛するが、内容はもうやり過ぎではないかと思える程当時の考証を徹底的に行っている。このことは原作者のこうの史代氏や監督の片渕須直氏がこだわった部分なので当然ではあるが、戦時中の呉市民が体験した「普通の暮らし」が丁寧に描かれていた。その呉市は昭和20年になると激しい空襲にさらされるが、焼痍弾をバラまくB-29、機銃掃射を加える米艦載機、炸裂する高射砲弾などの描写は生々しく、直接見たことのない自分も昭和20年にタイムスリップしたような感覚になる。
また、北條すずの吹替えをした「のん(能年玲奈)」さんも当初は「天野アキ」のイメージが脳内再生されてしまったが、次第に「北條すず」とシンクロしてきたと思う(※あくまで個人の感想です)。
※戦争を題材にした作品はどうしても右とか左のイデオロギーや戦争の悲惨さ云々が取り沙汰されるが、本作品は押し付け的なメッセージは感じられず、北條すずが体験した戦中戦後の日常を淡々と(時にはホンワカに)描写したストーリーだったと感じたのだが皆さんはどう思われるだろうか?