


この建物はもともと尾道出身の大林宣彦監督作品「あした(※注1)」の美術セットとして作られました。 劇中では呼子浜港(架空の設定)の待合室として登場しています。撮影終了後はあまりの出来の良さを惜しんで現在の位置に移築されました。建物の古びた「ヤレ具合」はまるで何十年も使い込まれたようなリアルさで、美術監督・竹中和雄氏の力の入れようにモデラーの端くれとしては唸らされるばかりです。

「時をかける少女」や「転校生」、「ふたり」などの大林作品は尾道近辺でロケが行われているため、「聖地巡礼」は比較的容易です。ロケ地マップも駅などで配布されているので参考にするとよいでしょう。これらの作品はDVDも入手可能なので「尾道トリップ」も楽しめると思います。
※1…「あした」 ′95年公開作品
原作:赤川次郎「午前0時の忘れ物」
出演:高橋かおり 宝生舞 植木等ほか