
しかしある避難所の担当市職員は「避難所の運営自体が落ち着かず、中長期に必要な物資を把握するまでには至っていない」と明かす。
八木9丁目の八木小の避難所には、希望する品を自由に書き込めるホワイトボードが設置された。湿布、爪きり、アイマスク…。30点あまりの品名が並ぶ。横には発注時期が分かる欄も設けた。
書き込みに来た八木の会社員岡野由里恵さん(35)は「自宅や道の復旧を急ぐ人が多く、汚れた作業着や靴が洗える洗剤やブラシが欲しい」。書かれた品物はすぐに発注する仕組みだが、「不足」の文字が書き添えられている品物もあった。
同避難所にも「何か支援をしたい」との個人や事業者からの連絡が相次いでおり、迅速に「マッチング」が成功したケースもあるという。避難所の責任者の1人、市財政局の高野博徳さん(43)は「スタッフも住民の方も現状を把握しやすい。きめ細かく暮らしを支えたい」としている。梅林小でも何が必要かを尋ねる用紙を置くコーナーを体育館に設けている。
中国新聞朝刊より:写真は安佐南区緑井の佐東集会所
※東日本大震災でもニーズとシーズのミスマッチが問題になり、善意で寄せられた救援物資がむざむざ廃棄されたことは記憶に新しい。
情報もそうだが、こうしたニーズは日々移り変わっていく早さについて行けない(後手にまわる)ことが多い。支援物資の発送を考える時、スピード感を優先させるべきかニーズのマッチングを優先させるのか悩むところであろう。あらためて石巻市の避難所「明友館」のスタッフの苦労がしのばれる。その一方で必要な物資を尋ねられても「欲しいものが思い浮かばない」と答える程ショックを受けている被災者もおり、心のケアも十分にフォローして欲しいところである。
救援物資の発送にスピード感が必要なのは理解できるが、本当に必要とされているのかちょっと調べてみてからでも遅くはないのではないかとも思うようになった。また、今回の土砂災害において、安佐北区並びに安佐南区は幹線道路に近かったことは不幸中の幸いだったと思う。三陸のように孤立していたら被害はさらに拡大していたはずである。