<さらばアトランティス・・・・愛をこめて> (8)
原作 ドラゴン
トルは行くあても無く、しばらく街中を歩いていると、初めてリルと商売をしていた ダウンタウン街の裏路地をさ迷っていたことに、ふと気がついた。
「何だろうこの次元は! 役割か!確かに エネルギー理論上 、低次元には二つが必要なんだが!」
しかし彼は遠い幼い頃、育ての親代わりの爺さん(クメー)から言われた事を思いだしていた 。
<自分に忠実に、自分の本質の魂こそが本当のよりどころである!>と。
やがて思い立ち、急いで 祭司長に会いに向かった。
神殿に着くと祭司長フーカが心配しており、直ちにトルと会った。
トルは先程の宮殿でのコーン提督とのやり取りの一部始終をフーカに話した。
しばらくのあいだフーカは黙り込んでいたが、やっと重い口を開いた。
「そうだなぁ 役割か! コーンも成長したのぉ!」
「幼少の頃 、よく神殿に遊びに来ては祭司なりたての私に聞きにくる、可愛いヤンチャな男の子だった。 皇族と言っても御落胤の子で、あの類いにしては苦労して良くここまで昇り詰めたものだ!」
「今でも思いだす。 宇宙の真実とは?何の為に僕は生まれて来たの?なんで みな いつかは、死ぬの?僕は、何に向かって行けば良いの?神様は、本当にいるの?などと私に問うたことを。」
回想して懐かしい思い出に浸っていた フーカだったが 、彼(コーン提督)の悟り抜いて語った答えが、トルとの真夜中の出来事とフーカは、感じ取った。
その時フーカはトルに、
「彼は、彼の人生を歩んでいる。またトル、お前も私もみな 同じだ。」
「宇宙の法則では、それぞれを認めなければならない。それは難しいが、尊重しなければならない。
つまり受け入れる事だ。しかしだからといって、相手の言いなりになるのでは無い事は勿論だ。
認めた上でこちらはこちらなりに、善いも悪いも意思表示する事なのかも知れない。わかるかなぁ!」
トルは、答えた。「先生、私は逃げません。ふんぎりが着きました。自分の本質の魂にそって 生きてみたいと思います。たとえこの身に何があろうともアトランティスの間違いを正し、地球と宇宙の平和と発展の為に死力を尽くします。それが私の考えです。」
「トル君 今後 どうするのだね!」
「 先生、解りませんが 地球のために!宇宙のために!しばらく神殿の 奥の下の 礼拝堂 を使用させて下さい。」
「それは、良いが 何を!」
「一つ考えがあります。」
「よかろう 使うが良い。」
( 9)
トルは、神殿地下にある礼拝堂に入り、突き当たりの壁にある本棚の中に手を突っ込み紐を引いた。
すると本棚が横にスライドして下へ続く階段が見え、その先に秘密の部屋があった。
そこには、アトランティスの真実の歴史資料や宇宙に関しての資料がギッシリ置かれていた。
その場所は、巫女をしていた 姉(ターシャ)から、以前、神殿に遊びに来ていた時に教えてもらった秘密の場所だった。
姉から、勉強好きなトルだったら一日中そこにいてもきっと飽きない場所だと言われていたのだが、今回はこれが幸いした。
幼い頃、 婆さん(トミー)の語る昔話として、レムリアが 沈む前に皆が 礼拝堂に 集まって祈り 、宇宙のパワーを頂いてからそれを 宇宙へ向ける儀式を最後の御奉公として半年 近く続けた。という伝承が代々言い継がれていたのだった。
それは、沈むレムリアの悲しみを救う為に、天(宇宙)が今回、救う事の出来なかった地球に対して再度チャンスを与える為にとあった!
しかし何とも訳の解らない昔話にトルは、夢中になってその伝承を調べていたのだった。
数ヶ月が 経ち、弟のリルは病院に閉じ込められていながらも、命だけは保たれているが 、今後どうなるか分からないと姉より連絡が有ったが、トルは、それよりも謎解きを必死にやっていた。
そうしてやっと見つけた文献によると、レムリアはアトランティスに 対して核や波動武器による報復を控えたことが分かった。
それは、この地球を覆う悪想念の状況下では次元上昇が不可能なため、遥か太古のレムリアは地球上空に存在し、宇宙の叡知を表現しながら地球上の アトランティスやムー、そして他の小国に慕われつつ、これらを指導しており、未熟ながらも宇宙の仲間入りをかろうじて果たしていた。
しかし、アトランティスへの傾注がやがて甘やかしとなり、偏愛が過ぎて宇宙愛のレベルを 越脱し、その結果、波動低下をもたらして地球という生命体をないがしろにしてしまった。
レムリアは、その罪(カルマ)を受ける決意をするに至ったのだ。
それと同時に、アトランティスの行く末を予見して、未来の地球と宇宙のために次の手段に取り掛かっていたという事実を、遂にトルは突き止めた。
それは、時限小惑星爆弾を意思力によって想念で誘導し、
尚かつ数百年という時間をかけて自然現象の様に見せ掛けることによって可能な限りカルマを残さず、
地球の低劣な想念を一掃した後、新たな人類 誕生を迎えて今回果たせなかった次元上昇の夢を、この新人類に託すという壮大な仕掛けを知って、トルは思わず息を飲んだ。
第9話続く
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