やっと半分あたりです。
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<さらばアトランティス・・・・愛をこめて> (7)
原作 ドラゴン
一路宮殿に向かったトルにこれと言った策は無く、提督閣下にただただ意見申し上げて、宇宙の藻くずと消える覚悟だけがあった。
真夜中に宮殿へ到着すると、門番から罵声を浴びて光線銃を向けられたが、すでに死を覚悟していたトルはひるむことなく進んだ。
門番の兵士はトルの気迫に負けて宮殿官に上申したため、かなり時間が立ってから宮殿内に通された。
帝国の実質的権力者が使用する大広間に通され、そこには真夜中でも日中と変わらぬ明るさの下、警護兵士と宮殿官たちが勢揃いしており、迷惑そうにトルの眼前に立ち並んでいた。
「君がトルとか申す学者の卵か!」と小馬鹿にする薄笑いを浮かべながら宮殿長が声をかけた。
「さようで御座います。私がトルです。」
「このような真夜中に、恐れ多くも提督閣下に突然の目通りとは!何ごとか! 」と宮殿長が詰問した。
「実は、このアトランティスを憂い、また地球・太陽系を思い、そしてこれからの アトランティスの存続のために、、、、、」とトルが答えていたその時 、
雛壇の上からコーンが姿を現して言った。
「そなたは、あの最高科学受賞者のトル博士。ようこそこの宮殿に御越しになられた。」
「者共 下がって良い。」
大広間には数人の近衛兵を除き、皆退席した。
雛壇からコーン提督が降りて来てトルに話しかけた。
「良く参られました。」
「さぁ 頭を上げて下さい。私は、そんなに話が 分からない者ではない。ただ真夜中の訪問も 学者ならでは、の行動ですか!戦略的には最高のシチュエーションかなぁ! 」
トルもこうしてコーンと二人で向かい合うと、日中、大勢の中での勇ましい提督閣下とは違った印象を持ち、少なからず親近感を覚えた。」
「提督閣下、真夜中の謁見、打ち首を覚悟にて参上いたしました。」とトル。
「その方の 学者としての働きは、このアトランティスの科学技術の水準を高く引き上げ、こうして ムーとの戦いも ようやく 目処がたった。
私が目指す太陽系制覇に大きく貢献した立役者に、このように会う日を楽しみにしていましたよ!」
「ありがとうございます。しかし、お言葉ではありますが、結果として罪も無い多くの人達の犠牲と 自然の破壊を引き起こしたために地球がもたなくなり、また、特に核と波動の乱射は宇宙にも悪影響を及ぼす状況に、私としてはもうこれ以上耐えられなくなりました。
それでこうして死を覚悟の上、早急に宇宙の調和を取り戻すために諌言申し上げます。」
しばらくの間、コーンは腕を組み換えて歩き、
それから静かな口調で 諭すように話し始めた。
「君も学者なら理解出来ると思うが、この物質世界、 いわゆる三次元の世界では、まぁ 手品なまがいの四次元までを駆使して 何を学ぶかということが問題だ。」
「私もおよばずながら 今も心に自分の思念を持ち、それを哲学としてやって来たつもりです。
勿論 私だって 無駄な争いを避け、話し合いで 平和を求めたい 。」
「これが 私の本質の魂だが、ご存知の様に 三次元 物質世界とは、相反するエネルギーによって 構成されており、ブラスがあれば マイナスが、 陰があれば陽もある 。」
「だれかが、どちらかの何かをこの次元では学びとして役を演じなければならない 宿命があるのです。」
「私も最初は反対側を演じていたが 、やがて 天からの命で、今こうして 破壊を演じなければならない役を仰せつかる身となった。
それなら、思いっきり演じきるのが 自分に恥じない姿だと考えている!」
「トル君 褒美をとらす。望むものがあれば 何なりととらす!」
しばしの沈黙を置いて、「どうだ 弟のリル君の釈放と名誉挽回を図ってもよいぞ!」
「いいえ 弟も 死んでも 本望だと思います。わかりました、私を捕らえて下さい。!」
「トル君。 君は、素晴らしい アトランティス 一の学者だ 。
いや 、太古から望まれた 高次元からの学者だ。 もし 君とまたいつか会えるとすると・・・・・・・・ 多分 ?(未来の地球上で今度は、お互いどんな役柄で会うことになるか、、、、、。) 」
ハッ、ハッ、ハッ、 と 甲高い笑い声で叫び 、最後の言葉は、トルには聞こえなかった。
「トル君 もう 夜が開ける。今夜は久々に楽しい夢を見させてもらった。
さらばじゃ (未来で会おう)」
雛壇の扉から 消えていった提督閣下をトルは唖然と見ていた。
近衛兵士はトルに「何をぐずぐずしているんだ、この銃口が 目に入らないか。 さっさと 消え失せろ!
提督閣下様からの命のご褒美を大切にしろ。さぁ 早くしろ!」と命じられ、トルは宮殿を後にした。
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第7話終了
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