〇ら落語コンシェルジュ®相山 美奈子です。
立川流の大看板、芸歴50年目の立川龍志師匠にインタビューをしてきました。(ご本人の了解を得て公開しています)
【立川龍志師匠ロングインタビュー①】
https://ameblo.jp/rakugo-concierge/entry-12486022325.html…
【立川龍志師匠ロングインタビュー②】
https://ameblo.jp/rakugo-concierge/entry-12486240064.html…
【立川龍志師匠ロングインタビュー③】
https://ameblo.jp/rakugo-concierge/entry-12486832412.html
【立川龍志師匠ロングインタビュー④】
https://ameblo.jp/rakugo-concierge/entry-12490121106.html
【立川龍志師匠ロングインタビュー⑤】
https://ameblo.jp/rakugo-concierge/entry-12490824983.html
【立川龍志師匠ロングインタビュー⑥】
https://ameblo.jp/rakugo-concierge/entry-12491475463.html
金志青年、やっと落語のお稽古が始まります!
3-2 バーで稽古
相山: 最初のお稽古はどんな風に。
龍志: 「稽古ってのはこういうもんだから」って、ちゃんと自分の着物に着替えて、それ一回だけ。「分かったな、稽古ってのはこういうもんだから」。
相山: 形式だけ覚えていればいい。
龍志: だから運転してると後ろで稽古を付けてくれたり、「しゃべるから聞いてろ」って。
相山: 運転中に覚えられるのですか。
龍志: 最初何回もやってくれましたから。
相山: そうなんですか。
龍志: 『道灌』テープにとっちゃいけないって言われたんで。何回もやってくれました。
相山: 最初は『道灌』。
龍志: 『十徳』、『道灌』ですかね。
相山: 何席ぐらいお稽古をつけていただいたのですか。
龍志: 私は十席ぐらい、一応教わってんのかな。でも私はちょっと教わり方が違うんで、本来ですとはなし家というのは隠居さんの噺とか、それから動物が出てくる噺とか、旅の噺とか、泥棒の噺、それから女の『たらちね』みたいな、ああいうのを教わるんですけど「おまえは違う方向でいい」って言われてたので、『十徳』『道灌』やって、その後、『六尺棒』『花見』『岸柳島』、『猫久』『相撲風景』『お血脈』訳が分からない傾向のものを。
相山: 前座さんがする噺ではないですね。
龍志: でも、やれって言うんでやりましたよ。
相山: 寄席で。
龍志: 池袋演芸場で、一発目から『相撲風景』を。(浅草演芸ホールでの最初は『猫久』)
相山: 怒られませんでしたか。
龍志: 怒られました、怒られる。いわゆる前座の上の兄弟子さんですよ。
相山: 立前座(注22)さん。
龍志: 「あんちゃん、何やってんだ」って言うから「いや、すいません、師匠がやれって言うもんで」「あ、そう、談志さんがそう言ってんの」って言うから、「はい」って言って、「じゃあしょうがねえ」。
後で聞いたら、師匠が言うには、実験どうなるか見てみたかったんだって、こういう教え方するとどんなんなっちゃうんだろう。
相山: それは談志師匠の想像通りになったんでしょうか。
龍志: なってないんじゃないですか。系統通りにやるのが当たり前なのに、めちゃくちゃに教えていったらどうなっちゃうんだろう。
相山: 基本を覚えずにいきなりやるというのは、声や仕草などで非常に大変な感じがします。
龍志: だけど分かんないんで、そういうもんだろうと思ってそのようにやってました。
だから『相撲風景』なんか普通、落研のやつは、なんで俺が『相撲風景』と思うでしょうし、はなから『お血脈』なんて、あんな地(じ)噺(ばなし)(注23)やるの?って思うんじゃないですか。私は何とも思わなかったから。
相山: トリネタ(注24)でもいいものをやってしまう。
龍志: ただ後で、こりゃまずい、やばいと思いました。
相山: どういうことでまずいと思われました?
龍志: (三遊亭)圓彌師匠(注25)が「あんちゃんね、ちゃんとやったほうがいいよ」って言われて。分かんないから、「ちゃんとというのは?」「だからうちおいで」って言って、稽古付けてくれた。
相山: それは、やはり隠居さんとか旅とか。
龍志: いや、普通の噺です。いわゆる地噺とか漫談風のものではないのを、ちゃんと教えてくれました。
(注22)立前座:前座の上の兄弟子
(注23)地噺:会話やしぐさによる通常の演出をとらず、叙述説明によって話を展開させるもの。
(注24)トリネタ:寄席の最後に演じるネタ。難易度が高い作品が多い。
(注25)(三遊亭)圓彌:1958年8代目春風亭柳枝に入門。2006年没
◆立川龍志(たてかわ りゅうし、1948年9月17日 - )は、東京都墨田区鐘ヶ淵出身。安田学園高校卒業。本名、大塚 渉。落語立川流所属。出囃子は『砧』。
1970年4月 - 7代目(自称5代目)立川談志に入門し「立川金志」。
1976年7月 - 二ツ目昇進し「金魚家錦魚」。十七代目中村勘三郎に「鼠穴」を絶賛されたのはこの二ツ目時代。
1987年3月 - 真打昇進し「立川龍志」。
1991年3月 - 国立花形演芸会にて金賞を受賞。
弟子は立川小談志(2012年3月、談志没に伴い移籍)。
浅草の宮田レコードで偶然手にした志ん生のレコードが落語との出会い。
東京下町生まれの軽妙な語り口と粋な着物の着こなしから、古き良き時代の寄席の雰囲気を感じる、数少ない噺家の一人。
7月27日には大阪西成の動楽亭にて初の大阪独演会が予定されている。
立川龍志師匠公式WEBサイト
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弟子とはいえ、人生があるのに実験です。
きっと談志師匠は、もしダメだったらすぐやり直せることができると思ったのでしょうか。
次回は他の師匠にお稽古に行くお話です。
どうぞお楽しみに♪
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