〇ら落語コンシェルジュ ® 相山美奈子 です 

 

元「コメディNo.1」の前田五郎師匠にインタビュー!

超超超大御所、お笑い界のレジェンド!

 

連載はついに最終回!!(五郎師匠には了解を得ています)

 

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⑩ 終わりに  

相山:お話も楽しいし、大阪の言葉がとても柔らかく響いてきて心地いいです。

 

前田:そら年とったからや。

 

相山:こんなことは失礼かも知れませんが、昨日の懇親会で時間を気にして早く帰りなさいとおっしゃってくださって、とってもあたたかい人だな。

親戚のおじさんに遅いんだから早く帰りなさいって、言ってもらっているような気持ちがしました。すごく嬉しかったです。

 

前田:いえいえ、そんなことない。

 

相山:夜はいつも何時くらいにお休みですか。

 

前田:毎晩2時に寝ます。で6時に起きる。4時間。

あの冤罪事件あってから睡眠薬ないと寝られへん。

 

相山:睡眠薬を飲んで4時間で起きられますか。

 

前田:4時間寝たら起きられる。だからほんまは睡眠薬なしで4時間寝られたら・・。

それまではどこででもね、職業病でどこでも寝れたし、でも今回のことで ストレスで神経参ってしまって。

 

僕子供に辞めてくれって言ったのに、本人が芝居好きやからね。

吉本入ることは、大反対やったんや。ましてや吉本の男(吉田裕さん)と結婚(2018年1月・真希さん)したでしょ。

 

息子から「お父さんご飯食べに行きましょう」とか、結婚したらそんなんあると思ってた。ちょっと楽しみにしとったところもあるわけ。ところが向こうから何の連絡もない。

先月も1か月入院しとったけど、1回見舞いに来たらしいが・・・。メールで「お父さん大丈夫?元気ですか」と来ただけ。メール100回打つよりも、1回顔出せって。これもうまいこといかんな、と思てる。

娘夫婦と食事行ったり、談笑するのが夢やってんけどね。

 

もういろんな老後のこと考えとってんねんけども、嫁さんと最後はクル ーズね。世界一周ゆったりと周ってきて、それで終わりにしようって言(ゆ)うとった。あかんね、船ってめちゃくちゃ高いね。何千万や。

 

相山:船内でお金を使うメニューがいっぱいありますね。

 

前田:何かあったら金、何かあったら金ばっかりや。(笑)

 

相山:長いお時間をありがとうございました。今夜のライブも楽しみにしています。

 

前田:わざわざ暑い中をありがとうございました。

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~インタビューが終わって~

 

その人は約束の時間ぴったりに現れた。

「ホテルに着いてから電話をください」と言われ、電話をしようとした瞬間だった。とても驚いた。

 

前田五郎氏といえば、「コメディNo.1」で一世を風靡したお笑い界のレジェンド。

その人が、駆け出しの私に、そんな誠実に対応してくださるとは思っていなかった。

 

頭を90度に下げてお辞儀をされる。

恐縮極まりない。

 

インタビューでも書いたが、YouTubeの動画で拝見するととってもピリピリした印象があった。

でも目の前にいる五郎さんは、とても誠実で、正直で「いい人」。

ご紹介くださった快楽亭ブラック師匠が「私が今まで出会った中で、5本の指に入るいい人」とてもよく分かる。

 

浅草四郎師匠のことを話すとき、とっても五郎さんは嬉しそうだった。

何十年経っても師。大好きなのが伝わってくる。師匠と弟子の関係は、実の親子より濃いかもしれない。

 

あのように自身の軸をしっかりもって、揺らがないなどできることなのだろうか。

それは、人として芸人さんとしての矜持なのだろう。

 

売れっ子になり、数々の舞台で修羅場をくぐる。でもそれ以上の修羅場をくぐることになる。

9年前のことで五郎さんは、未だに睡眠薬がないと眠れない。話を聞けば聞くほど、私は言葉を失った。

よく耐えて来られたと思う。何を言っても、あの体験の前には言葉は薄くなる。

 

その晩のライブで、冷房で喉の調子が悪い、後ろの人は聞こえますか?とお客様を気遣っていた。

76歳の五郎さんは、1時間以上も舞台に立って漫談をされた。 

 

でもインタビューでは一言もおっしゃらなかった。

知らないとはいえ1時間以上も話してくれた。

 

いつも本は2冊持ち歩いている。1冊読んですぐに次が読めるように。

あの事件から、新聞もテレビも止めてしまったが、新聞は13社取っていた。

昔は大学ノートとペンを持って、電車の中で会話からネタをひろった。

やっぱり、売れる人は違う。歩みを止めずに、さらに一歩先を行く。

 

自然の周囲への気遣いも、人柄が滲み出る。

初めてお目にかかったのは、お江戸日本橋亭の楽屋だ。

挨拶する私の手をぽんと軽くポンと(それが何ともいえない軽さと心地よさなの!)、「五郎さんでいきましょ」と、人としての余裕も感じた。

 

昭和芸能史、というよりドキュメンタリ―を聞いているようで、メディアと真実の差も、まさに事実は小説より奇なり、だった。

 

初めてお会いした前田五郎さん、もっともっと話を聞いていたかったです。気持ちも体もタフで、これからもライブを楽しみにしています。

 

貴重なお時間とお話をありがとうございました。

 

取材場所:2018年8月14日 東横INN浅草蔵前雷門 ロビーにて

ライター:ら落語コンシェルジュ®相山 美奈子

 

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〇ら落語コンシェルジュ ® 相山美奈子

 

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