〇ら落語コンシェルジュ ® 相山美奈子 です
元「コメディNo.1」の前田五郎師匠にインタビュー
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超超超大御所、お笑い界のレジェンド!
数回に分けて掲載します(五郎師匠には了解を得ています)
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③ 吉本新喜劇へ
相山:その後漫才で、坂田(利夫)さんとコンビを組まれます。
最初に出会った時に「この人と組んだら天下が取れるな」とう感覚は。
前田:全然!そんなこと。漫才のコンビ組むとも思えへん。ましてや、天下が取れるなんて思た事もない!
吉本新喜劇が毎年、劇団員を募集しとったのね。だいたい1回募集したら、全国から2千人くらいは集まったな。
相山:当時2千人!
前田:僕の年の応募者人数が2千人。新聞でニュースにもなった。宝塚歌劇団の3倍の応募数やったって。
一番最後に残ったのが、坂田と西川きよしと、レッツゴー3匹のじゅん、この3人が残ったわけ。
で、じゅんと西川きよしはすぐ受かったけど、坂田はクビやと。
そのとき審査委員長やった花菱アチャコ[※7]先生がね「あいつはおもしろいから残しとけ」というアチャコ先生の一言で残った。
相山:2千人の中の3人!毎年必ず3人取るわけではないんですね。
前田:ないない。あかんときもある。10人単位で取る時もあるし、ゼロの時もある。だから彼の場合は、アチャコ先生の一言がなかったら、後のコメディNo.1もなかった。
相山:2千人の中の3人って、そうとう当時からおもしろい人で。
前田:書類審査でほとんど目を通して一枚ずつずっと目を通すなんてやらないもん。まずどこから見ると思います?家が金持ちかどうかから見る。
ここだったら金持ってるから、なんかあった時大丈夫やろ、と。
今でもこの制度が通用する場所はいくらでもあるのと違う?
漫才の神様と言われた秋田実[※8]、あの先生も審査員やった。そうそうたるメンバーの中で、審査受けてんやから。
相山:そこに残れるだけで夢のようなこと。
前田:うん。ところが吉本興業のセコイ所は、その書類を出すだけであの当時で2千円か3千円取る。
相山:当時で3千円!今だと1万円以上の感覚です。
前田:それくらいの金を書類出すだけで取ったわけ。今も昔も吉本興業の金の集め方の1つやね。
相山:さすが吉本興業。
では、最初に坂田さんと出会ってコンビを組むまでは、時間がかかった のですか。
前田:最初はね、吉本新喜劇は3組に分かれてた。
それは劇場が、3つあって大阪のなんば花月(現:なんばグランド花月)、うめだ花月、京都の新京極の京都花月(現:吉本祇園花月)、その劇場を3組が順番に10日ずつ回って行った。
1日から10日までを上席(かみせき)、11日から20日までを中席(なかせき)、以後は全部下までは下席(しもせき)って。だから友達同士で「おい、上(かみ)どこやねん(出演)」「上(かみ)なんばや」ってそういう言い方をするの。
相山:必ず毎日仕事があるわけですね。
前田:芝居の場合は、毎日。いろもん、漫才とかはたまにしかない。
新喜劇の場合は3館必ず最後のトリをとらなあかん。
3館は絶対にもう、新喜劇でも僕らみたいに中堅のトリになってきたら、休みくれっていったら、1日じゃなくて、10日休まなあかん。
だからね、それは最低でも3か月前に会社に、この日からこの日まで休ましてくれと、届けなあかん。
で今日10日で楽(らく)日(び)。終わったから明日から休ませてください、は通れへん。最低でも3か月前。
相山:毎日仕事があるのはありがたいですね。
前田:それはもう、「いろもの」に比べたら楽。心も楽やしね。
[※7]花菱 アチャコ(はなびし あちゃこ、1897年7月10日 - 1974年7月25日)は、大正・昭和期の漫才師、俳優である。本名:藤木 徳郎。福井県勝山市出身。
[※8]秋田 實(あきた みのる、1905年7月15日 - 1977年10月27日)は、日本の漫才作家。本名:林 広次(はやし ひろつぐ)。大阪府大阪市玉造出身。
第二次大戦前より漫才の台本製作や寄席番組の構成等に関わり、現在の漫才の原型を作り若手を育てた、上方漫才を代表する漫才作家である。戦前から戦後の功績から「上方漫才の父」とも呼ばれる。
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次回はいよいよ、コメディNo.1誕生です!
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〇ら落語コンシェルジュ ® 相山美奈子