最下段ピンク色オーロラの謎 | やる時はやりまっせ!

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ニュージーランド南島クィーンズタウンで満天の星と赤色オーロラの撮影に人生を捧げております。同タイトルのホームページTOPを毎週移植

 

最下段ピンク色オーロラの謎

 

 

2022年6月も4週目に入りました。

昨日、ひょんな事からウエブでオーロラの日本語論文が目に入りました。どうもオーロラ5原色の最も下に出現するピンク色オーロラに関するものみたいでした。

「世の中にはこの様な研究をされている人もいるんやぁ」と思いながら拝見しました。

私は自ら運営するスターウォッチングツアー中で、ピンク色オーロラの出現高度を80~100キロメートルとご紹介しているのですが、他の色に比べるとその出現幅が最も狭いんですよ。

オーロラは下からピンク色、緑色、赤色、紫色、青色の順番で出現しますが、他は100~150キロメートルの幅があります。またここクィーンズタウンはオーロラベルト直下にはないので、最下段のピンク色オーロラを写真に収めるのは困難だと勝手に決めつけてもいました。

しかし、先々月4月2日の夜に撮影した上の写真だと、ピンク色以外全て写っています。しかも緑色オーロラの下端も写っていますが、そこにピンク色のオーロラは写っていないように見えます。

これまでオーロラ5原色同時撮影に成功したのは片手ぐらい。上の写真を見ると、この日もその可能性が十分にあったと思いました。しかし、写っていません。

そこでその論文を最後まで読む事になってしまいました。ピンク色オーロラの正体が書いてあったからです。

結論から申し上げると、ピンク色は通常赤色と白色が混ざって出来る色ですが、オーロラのピンク色は赤色オーロラ、しかもダーク系の670nmという波長の赤色オーロラと、その後にやや遅れて緑色オーロラが明るく光る事によって生み出されるものなんだそうです。

通常赤色オーロラの波長は630nmですが、最下段に出る赤色オーロラは670nmの暗い赤色なんだそうです。そこにやや遅れて明るい緑色が発光を始めるとピンク色になるそうです。

そして上の写真にピンク色オーロラが写らなかった理由も分かりました。それはシャッタースピードが長過ぎたからでした。

ピンク色オーロラを撮るには、露出時間を数秒程度に留めておかないと明るい緑色が勝ってしまい、670nmのダーク赤色が消される為だそうです。天ぷら粉を混ぜ過ぎないのと同じ感じでしょうか。

この写真は天体改造EOS X7i SEO-SP4にSamyang 14mmF2.8で撮っていますが、このカメラの最高感度はISO6400が故に、露出時間は30秒と長め。これでは天体改造カメラで撮ってもピンク色には写りません。

ちなみに670nmの波長というと、改造していないカメラだと透過率がたったの5~25%程度になりますので、露出時間を数秒にしても「ほぼ写らない」事を最後に付け加えさせて頂きます。

フィルムの時代にピンク色オーロラがビジバシ写っていた記憶がありますが、デジタルになって全くですよね。それって、デジタルカメラ内のIRカットフィルターが、670nmを「殆ど弾き飛ばしている」からで間違いありません。