序：概略
状況：大腸がん第4期。いわゆる「ステージ4」。
転移先：原発巣そばリンパ、肝臓2か所、肺。
◆2016年06月、大腸原発巣及びリンパの開腹摘出手術。大腸管30センチ摘出。
◆2016年08月、化学療法＝抗がん剤治療開始。
全ライン-全クール共通して、2週間で1クールを繰り返す。初日の通院にて半日日帰り入院で吊るし点滴、終了後、風船点滴を装着し、帰宅する。3日目夕方に風船点滴終了、通院にて針を抜く。開始から一週間後の8日目に、検査と診察を行う。残りの1週間で次クールに向かい療養。
・1stライン：FOLFOX＋アバスチン。 2016/08開始、合計15クール。
2016年11月、8クール中に行った効果測定が良好で、腫瘍マーカーは正常値圏内に下降。CTやPET-CTでは新たな転移～再発も認められず。 しかし2017年02月、剤作用が陰りを見せ、15クール目を最後に、治療休止。肝臓転移巣の摘出を目論み、一時転院。
結果、転移巣摘出手術はNGと結論。肺と肝臓の2部位である事がネックの上、肝臓手術のリスクも懸念。残存転移巣状況：肺×1、肝臓×3。
・2ndライン：FOLFIRI＋新薬サイラムザ。2017/03開始、合計8クール。
2017年07月、抗癌剤治療2ndライン8クール目後の効果測定にて、「FOLFIRI＋サイラムザ」療法は効果無しの判定。転移巣増大120％+腫瘍マーカー上昇。
・3rdライン：サイラムザ+FOLFOX。2017/07開始、合計2クール。
2ndラインで終了の標準治療ガイドラインから外れ、抗癌剤治療の続行の提案を承諾。効果が予測不明な3ｒｄライン＝1stラインのFOLFOXに新薬サイラムザの組み合わせ。
ところが、2017/08、新薬サイラムザは「FOLFIRI＋サイラムザ」の組み合わせのみでしか保険適用認可されていない事が判明、突入早々、座礁。
・4thライン：FOLFIRI＋新薬ザルトラップ。2017/08開始、合計7クール。
更に新薬「ザルトラップ」にて抗癌剤治療の続行の提案を承諾。上げ止まり状態で休薬、一時転院の方向へ。
◆2017/11末、1年4ヶ月に及んだ抗癌剤治療に限界を見出された為、ピリオドを打ち、転移巣摘出手術に向け、東京都内は「がん研有明病院」に通院開始。残存転移巣=肝臓×3、肺×1。
2017/12、詳細に検査の上、先ずは肝臓三箇所の摘出の開腹手術が行われたが、組織外や大動脈リンパ節に転移が散らばっている事が確認され、摘出中止。開けて閉じただけに終わる。転移巣摘出は断念。
◆2018/01、かかりつけ病院にて抗癌剤治療再開決定。先述の1stラインが下げ止まり状態で終了している為、有明決定前に計画されていた「効き目の弱い経口当与薬への移行」よりはまだまだ効く可能性が高いとの主治医の提案による。1stラインの「FOLFOX＋アバスチン」に戻り、再開。
(2018/01)
序-2：第5化学療法期
2017年11月、抗癌剤治療自体の限界が見え、以前より経口投与薬での治療への移行も懸念されていた矢先、主治医が「がん研有明病院」での摘出手術要請を英断。
結果、転移巣2部位を分けて摘出の方向へ。1.肝臓×3箇所、2.肺×1箇所。
しかし12月、肝臓転移巣摘出で行われた開腹手術、いざ開けてみれば、精密検査時の画像データには映らなかった転移が大動脈リンパ節や組織外に拡散している事が確認され、摘出は中止。
転移の広がりを示唆する此の状況下、摘出は根治に繋がらないばかりか、身体に深いダメージだけを与える由え、文字通り、開けて閉じただけの手術となる。
2018年01月より、都下のかかりつけの病院に戻り、抗癌剤治療再開が決定。1stラインと同様の「FOLFOX＋アバスチン」に戻ると云う展開。
本テーマは其の抗癌剤治療再開：5thラインの記録。
(2018/01)
一、
1日目：2018/02/27火曜
「早過ぎた春眠暁を覚えず」
3クール目初日＝点滴通院日。
先ず、此の朝までの一週間、通例のナマモノのみ為らず一体何に反応しているのか不明なジンマシンに見舞われ続けたため、点滴前に皮膚科に回される。やはり原因不明との旨。
アレルギー反応飲み薬「オロパタジン」を処方され、頓服ではなくコンスタントに服用する様、云い遣った。
点滴のベッド上。眠気、甚だ。
今回の再「FOLFOX＋アバスチン」では毎クール完璧に爆睡状態。1stライン時の同療法時には然程眠くならず、ラジオも聴けば読書もしたし、iPadでのネット更新もかなり行っていた筈だ。しかし一方、前4th.ラインの「FOLFIRI＋新薬ザルトラップ」時も寝てばかりだった筈なので、こうなるとよく分からない。
抗癌剤が累積的に蓄積して起こるものなのかも知れない。
午前の診察が終わった後だと思われるが、いびきでもかいていたのか先生に「大丈夫？」と起こされたり（笑）。
会計待ちの待合で余りにもうつらうつらしていたのだろうか、馴染みの事務の御方に「病室に戻って横になった方が好い」と、ご心配頂戴したり。
そんな調子だったから、12駅先の女に終了見込み時刻を伝え抜かり、一時間待ってみたり。
昼下がり後の夕刻前。
かなり遅い昼飯がてらの居酒屋では、ウイスキーお湯割り1杯のみ。アルコールは身体が欲していない模様。
タンパク質豊富な肴が実に栄養補給に適していると思われ、そして旨くもある。野菜よりも先ずは魚、大豆、肉。
帰宅後、副作用がまとめて到来した。夕飯も食えぬ程に食欲ダウン。
此れまで初日は、風船点滴中、最も副作用が来ずに楽なのが状態化パターンだった為、かなり驚いた。吐き気で初日から処方薬「セロトーン」を服用。
出足から此れほど辛いと、先が思い遣られ、益々嫌な気分。
- ▲▲眠気。点滴中。帰宅後はグダリ倦怠感半寝、就寝早く。
- ▲▲食欲減退
- ▲▲飲酒欲減退
- ▲▲飲酒欲無し
- ▲△吐き気。セロトーン服用
- ▲▲喉冷たいつっかえ感顕著水道水も
- ▲▲指先足先の痺れ、外で鼻頭も。駅階段の手すりでビリビリ
- ▲▲嫌悪感気分の悪さ
- ▲▲倦怠感
- △△軽い頭痛
- ◯鼻血なし
2日目：2018/02/28水曜
「無題」
日中も夜も通常に飲み食いが出来る。
重たい初日よりは楽な印象。
- ◯食欲あり
- ▲△眠気。早く寝る。
- ▲△吐き気
- ▲▲指先足先の痺れ甚だ、
- ▲△嫌悪感気分の悪さ
- ▲△軽い頭痛
- ▲△欝感
3日目：2018/03/01木曜
「グローブ」
抜針通院。
一日ほぼ寝っぱなし、病院に出掛けるのもやっとの思い。今回の副作用は此の三日目がピーク。
下記のメモには「甚だ」が連発されており、「ピーク」と記されていた。
今回はこれまでになかった「新」副作用と思しき「両手指先腫れ3本異常不明」が発現。親指人差し指中指が左右の手対称に、一寸グローブ掛かったような軽い腫れが現れた。
勿論、小室哲哉の方ではない。
野球のグローブの方だ。
一週間後の検査通院時にも「聞いたことが無い」との先生の旨で、謎なまま回復。
- ▲▲倦怠感甚だ
- ▲▲嫌悪感気分の悪さ
- ▲▲指先足先の痺れ甚だ、
- ▲▲手指先腫れ3本異常不明
- ▲△軽い頭痛
- ▲△欝感
- ▲▲食欲不振甚だ
4日目：2018/03/02金曜
「作家とサッカーと錯覚」
午前午後、食欲がない割には食えた。朝はおかずと味噌汁、昼はパスタ。
夜は食欲復帰で普通に食事が出来た。但し、胸焼け吐き気感は若干保ちつつ。
寝っぱなしだった前日：3日目と比べ、此の四日目は午后から寝込む事もなく、活動的復調の芽生えが感じられた。しかし翌日、此れが一時的なもので、完全に錯覚だったことを思い知らされる羽目と為った。文字通りの「ヌカ喜び」、正にこの事である。
- ▲△倦怠感
- △△嫌悪感気分の悪さ
- ▲▲指先足先の痺れ甚だ、
- ▲△手指先腫れ3本異常不明、夜にやや引く。
- △△軽い頭痛
- ◯やや快活さ
- △◯戻り調子食欲
5日目：2018/03/03土曜
「ひな祭らず」
朝、一応は起きたのだが、なんか非常に辛い。起きたが起きれない感じ。
前日の復調の予感は一体何処へ。
朝食後、やや吐き気感。
此の日は3月3日のひな祭り。
しかし12駅先の女曰く、「故郷のひな祭りは一ヶ月押しの4月3日故に、今日は関係ない（笑）」との旨で、午後、独り、割と近隣の駅に知人のライブ鑑賞に出掛けた。こちらは一転して「ひな祭り」にちなんで女の子ワンマンライブイベントと云う訳だ。
楽しく観終わったまでは好かった。
しかし終演後、店にいるうちに何となく、其れこそ何となく「バッドな気分」となり、音源作成の打ち合わせ後は、居辛くなり歓談もせずにそそくさと失礼させて頂いた。
そして帰路。
予定していた買い物を済ませれば、嗚呼、嫌な気分の上、今度は疲れてしまった。疲れるようなことも何もせずにして疲労感。何なのだ。
そして普段は10分強で歩ける道程を、何と、バスでたったの2区間だけ乗って帰宅。
去る1月の療養生活中なら、バスに乗ったものだ。
そして思い出せば、都下の御婆婆を家まで送るのに、駅からたったの一区間だけバスに乗り降りし、手を引いて二人でてくてく歩いたものだ。
我は85歳の御婆婆レベルかい。
そんな外出の始終を12駅先の女に話したのだが、
「其れは当たり前。
今回の副作用は出だしから重たかったし、前クールも5日目は未だ完全に抜けていなかったでしょう。と云う事は、今回、は未だ全然抜けていないという事。
全部、副作用」
と見事に刺されてしまった。
思い返せば、ライブ終演後の「バッドな気分」と云うのは、実際は、
- 副作用の「倦怠感～不調感～やや鬱感が発現」、
- 帰路は「疲労感＆倦怠感発現」
と云う事だった訳で、正に副作用期間から全然抜けていなかった事を思い知らされる。
夜もやや倦怠感不快感、やや吐き気感。
嗚呼、やはり抜けていない。抜けたのは頭の毛だけ。
前日の「復調への芽生え」は完全に錯覚だったようだ。
12駅先の女は、女神だからと云って「目が見」えない、なんて事はないばかりか、全てをマルっとお見通しだった訳である。
- ▲▲倦怠感、疲労感
- ▲▲嫌悪感気分の悪さ
- ▲△欝感
- ▲△眠気起き辛い
- ▲▲指先足先の痺れ甚だ、
- ▲△軽い頭痛
- ▲▲快活さ鈍る
- △△両手指先腫れ3本異常不明、だいぶは引くが未だ腫れ気味。
- △◯食欲まあまあ戻り調子
6日目：2018/03/04日曜
「五月の風」
5月上旬並と云われる陽気に恵まれた。
そして朝の目覚めから爽快。完全復調したようだ。
散歩がてら模様替えの買い物にひとり出掛ければ、普段歩かない距離を、バスにも電車にも乗らずにかなり気持ち好く歩いた。
吹き抜けゆく風。
こんなに気分の好い日はあっただろうか。
此の五月の様な日差しの中、まさに初夏を思わせる爽やかな暖簾を買った。
台所の窓には長過ぎるから、帰ったら12駅先の女に短く縫ってもらおう。
生きていて、本当に幸せだと、心からそう思った。
7日目：2018/03/05月曜
「流れ雲」
好調継続。かなり気分が好い。
3月に好調継続だからと云って、校長先生が継続勤務と云う訳ではない。
つまらないか。御免あそばせ。
残存副作用的には、
- 手足の痺れ
- 若干の鼻血
- ややハスキーボイス発現の兆し
のみ。
