序、
状況:大腸がん第4期。いわゆる「ステージ4」。
転移先:原発巣そばリンパ、肝臓2か所、肺。
2016年06月、大腸原発巣及びリンパの開腹手術。大腸管30センチ摘出。
07月の療養期間を経、08月より化学療法=抗がん剤治療開始。
以下は、「入院期:2016年06月01日~30日の大腸原発巣及びリンパの摘出手術入院生活1か月の追憶」を記したものである。
八、原発巣の摘出手術後:2日目#1「試練かも知れん」
2016年06月09日
「患者さんにとっては手術は終わってからが、本当の戦いですからね~」
我が主治医の手術前のお言葉である。
何の事かと云うと、翌日から即リハビリ開始で、「歩け」と仰るのである。
何と云う無理な試練な…。大体にして、歩けるものなのか…?
其れが率直な感想だった。
「患者さんにとって手術を受ける事は大変だとは思いますが、要するに、現実的には全身麻酔で完全に寝ているだけで、その間に何でもなく終わってしまうんですよ。」
なるほど、其れはそうだ。手術自体は病院の仕事だ。
「しかし、此処からが肝心です。
腸を切り取った後は、治るまで、お腹の中の腸全体が固定されず、流動的で不安定な落ち着かない状態になります。そして、そのまま不安定な状態で留まると、適切ではない位置で腸が固定されてそのまま固まってしまい、腸がくっ着いてしまいます。此れを”腸閉塞”と呼びます。
腸閉塞が起こってしまうと、最早、自然治癒は不可能で、又、お腹を開いて手術しなければなりません」
…!
「手術後、人間の身体は、全力で回復の方向に向かいます。そのまま只、寝ていると、そのまま腸が固まってしまい、腸閉塞は避けられません。
ですから定期的に寝返りを打つ必要があるのは勿論の事、一刻も早く、起き上がって歩く必要があるのです」
何も云えなかった。
歩けるか如何か、ではなく、歩かねば「ならぬ」のであった。
そして、いざ、現実の手術翌日。
動かぬ身体へ必至の思いで、何とか寝返りを打てば、お腹の中身:腸やら内臓やらがゴロゴロと大移動するのが分かる。イメージ的には、大きな番重大の平箱に小豆を入れて、海の波の音を模すのに似た様に感じられた。
砂や海水に混じった貝殻に留まらず、空き缶や容器などの投棄物までもが波に乗っている…ざざざ、ガラゴロロ…そんな感触だ。
そして昼近く、早速、リハビリの先生がいらっしゃったのだった。
続く