数少ない米国市場の祝日ごとに読み進めているノロノロペースの指数オプションハンドブック、勤労感謝の日的なLabor Dayの本日は4回目で、前回の『個別株オプション対指数オプション』という章の続きですが、全く比較的なものではなく、主に決済についての情報が載せられているようです。

(その3:個別株 vs 指数オプション/その5:基本戦略1

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指数オプションを理解する
(https://www.optionseducation.org/documents/literature/files/understanding-index-options.pdf)

(p. 12 個別株 vs 指数オプションの続きから)

AM&PM決済
指数オプションにおける権利行使決済額は、様々な方法で報告機関によって決定される。最も一般的なものは次の2つである:
PM決済―行使決済額は、行使日の市場営業時間の終わり時点での、その指数の構成銘柄の最終報告価格を用いて計算された、その指数の報告レベルに基づく。
AM決済―行使決済額は、行使日の、その指数の構成銘柄の市場開始時の価格を用いて計算された、その指数の報告レベルに基づく。

もし特定の構成銘柄において、行使決済額決定日に取引が行われていない場合は、その銘柄の最終報告価格が使用される。
投資家は、構成銘柄の開始価格から導かれる指数オプションの行使決済額は、その銘柄の取引開始後数時間は報告されないこともあることに注意する必要がある。更新された指数レベルの中には、行使決済額が報告される前の、市場開始時および開始後に報告されるものもある。こういった報告された指数レベルと報告された行使決済価額との間には、かなりの相違が存在する可能性がある。

権利行使&割当て
行使決済価額とは、満期前または満期時に特定の指数オプションが行使される際、どのくらいの金額の受け渡しがなされるか、すなわち行使決済金額を計算するために使用される指数値である。オプションの対象となる全ての指数の価格は、行使決済価額を含め、オプションが取引されている市場によって指定された報告機関によって決定された、その指数の価値である。OCCが別段指示する場合を除き、報告機関によって決定された価格は、最終決定的に正確なものであるとされ、行使決済額を計算する目的で最終確定したものとみなされる。
指数オプションの保有者が、行使決済額が支払われる権利を行使することを決定した場合、その者は証券会社(OCC決済メンバーの場合)に、OCCへ権利行使通知を提出するよう指示しなければならない。満期前の特定の日に指数オプションを確実に行使するためには、その証券会社の、その日付けで行使指示を受け付ける締切り時間の前に、証券会社に通知しなければならない。オプションの取引最終日においては、権利行使の締切り時間は、早期権利行使(満期前)とは異なる場合がある。
注意:証券会社によって、顧客からの行使指示を受け入れるための締切り時間は異なり、またその締切り時間は、異なるクラスのオプション毎に異なっている可能性もある。さらに、指数オプションの締切り時間は、個別株オプションの締切り時間と異なる場合もある。

OCCは、この行使通知を、確立された手続きに従って、同じシリーズの売りポジションを持つ1つ以上の決済メンバーに割り当てる。その権利行使がある決済メンバーの顧客口座に割り当てられた場合、その決済メンバーは、順に、そのシリーズの売りポジションを保有している1人以上の顧客に(ランダムにまたは早い者順 (First in first out) のいずれかで)、その権利行使を割り当てる。行使通知の割当てに際し、指数オプションの売り手は、行使決済金額を支払う義務を負う。決済およびそれに伴う現金の譲渡は、通常、権利行使後の翌営業日に発生する。
注意:証券会社の中には、オプションがインザマネーであっても、顧客に権利行使意思を通知するよう要求する場合がある。満期前の最終取引日に、権利行使指示に対し締切りがあるかどうかを含め、権利行使手順に対する完全に網羅的な説明は、自身の証券会社に尋ねられたい。

行使決済
指数オプションの権利行使時または満期を迎えた時に受領する現金の額は、指数オプションの行使価格と比較した、対象指数の行使決済価額に依存する。受け渡しされる現金の額を行使決済金額という。この金額は、オプションの行使価格と、行使決済価額として報告された対象指数のレベルとの差、すなわちオプションの本質的価値として計算され、一般に100ドルが掛けられる。この計算は、当該オプションが満期前に行使されるか満期を迎えるかにかかわらず適用される。
コールの場合、対象指数値が行使価格を上回っている場合、コール保有者はオプションの権利を行使して行使決済金額を受け取ることが可能である。例えば、指数の決済価額が79.55と報告された場合、行使価格が78であるコール買いポジションの保有者は、権利を行使して、(79.55-78) x100ドル=155ドルを受け取ることになる。オプションの売り手は、この金額をそのオプション保有者に支払うことになる。
プットの場合、対象指数値が行使価格を下回っている場合、プット保有者はオプションの権利を行使して行使決済金額を受け取ることが可能である。例えば、指数の決済価額が74.88と報告された場合、行使価格が78であるプット買いポジションの保有者は、権利を行使して、(78-74.88) x100ドル=312ドルを受け取ることになる。オプションの売り手は、この金額をそのオプション保有者に支払うことになる。

ポジションを畳む取引(反対取引; Closing transactions)
個別株オプションと同様に、ポジションを閉じることを望む指数オプションの売り手は、市場にて、同じ条件の契約を購入する。行使通知がまだ割り当てられていないという条件の下、指数オプションの売り手は、オプションの義務を解除するために、反対取引を行うことができる。買いポジションを閉じるためには、指数オプションの購入者は、市場にてその契約を売却するか、そうすることが有益であるならばその権利を行使することでそれが可能となる。

※注コメント:何度も触れていることですが、原則として、買いポジションを持っている場合、権利を行使するのではなくオプションを売り払う方が得になるはずです。指数オプションの経験はありませんが、理論上、権利の行使は残っている時間的価値を捨て去ってしまうことになるので、時間的価値ごと新しい買い手に受け渡せるオプションの売却の方が、どんな場合でも確実に有利なはずです

 


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初めて見る用語、AM決済とPM決済は何だろうかと楽しみでしたが、単純に市場開始時のデータが使われるか市場終了時のデータが使われるかの違いということだったようですね。

経験がないのでうろ覚えですが、日経オプションの決済価格はAM決済だったように記憶しています。
米国株個別株オプションは全てPM決済だと思いますが、そういえば肝心の指数オプションはどっちやねん、と思ったら、銘柄によって違うようです。
代表的な指数であるS&P 500対象のSPXは、AM決済…と思いきや、ちゃんとPM決済用の商品も用意されているようです(『SPXPM』という分かりやすい名前から、今年2017年の5月に、SPXWというシンボルに変わったようですが)。
好きな方を選べるというのはいいですね。


次回はサンクスギビングデイ(11月第4木曜)に、続き・『基本戦略』の章を読んでみようと思います。個人的にはこういう教科書的な戦略の説明はあまり実用的ではない気がして大して参考にならないように思うのですが、どうでしょうか。一応最後まで読み進めて行こうと思います。