祝日ごとに読み進めるという蝸牛の歩みのごときのんびりペースの指数オプションハンドブック、インディペンデンスデイの本日は3回目で、『個別株オプション対指数オプション』という章を、割と長い感じのようなので今回は前半半分のみ読んでみようと思います。

タイトル的には割と面白そうですが、どうでしょうか。


(その2:指数オプションのメリット/その4:まだ)

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指数オプションを理解する
(https://www.optionseducation.org/documents/literature/files/understanding-index-options.pdf)

p. 9 個別株 vs 指数オプション

株価指数オプションとは、対象となる金融商品が無形資産 ―株価指数― のオプションである。指数のプットとコールの市場価値は、対象となる指数に連動して上がったり下がったりする。指数コールの価格は、対象となる指数の数値が上がるにつれて一般的に増加し、コール購入者はその指数の上昇の強さに結びついた、無限の大きさの潜在的利益を有する。指数プットの価格は、対象となる指数の数値が下がるにつれて一般的に増加し、プット購入者はその指数の下落の強さに結びついた、非常に大きな潜在的利益を有する。
※注コメント: 株価指数の値に上限はないので、コール購入の潜在的利益は文字通り上限なし無限大青天井であり、一方株価指数の下限は(恐らくあり得ないけれど)通貨の最小単位である1セントと同値、0.01になると思うので、プットからの潜在的利益は「無限大」ではありませんが、実際上は指数が1億とか5000兆とか際限なく上がり続けることは決してない(もちろん指数が0.01になることもないでしょう)ため、現実的な最大利益に関してはどちらも本質的には同じであり、「上がると思うならコールを買う」「下がると思うならプットを買う」だけの話ですね

価格決定因子
一般に、指数オプションの価格に影響を及ぼす要因は、個別株オプションの価格に影響を及ぼす要因と同じである: 対象金融商品(この場合は指数)の価値、行使価格ボラティリティ、満期までの時間、金利および構成証券が支払う配当金である。

対象金融商品
個別株オプションの対象となる金融商品は、特定の株式の株数であり、通常100株である。現金決済型の指数オプションには、特定の株式の数は関係しない。そうではなく、指数オプションの対象となる金融商品は、通常、対象株式指数の値に倍数、基本的に100ドルを掛けた値である。(本ハンドブックで言及するドルは、全て、米ドルを指す。)

ボラティリティ
指数は、その性質上、個々の構成株式銘柄よりもボラティリティが低い。構成銘柄の株価の上下動は互いに相殺される傾向があり、それにより指数全体のボラティリティが低下させられるためだ。しかし、指数のボラティリティは、個々の株式に影響を与え得るよりもずっと一般的な要因によって影響を受ける可能性がある。これらの中には、インフレ、失業率、金利、または政府および政治的もしくは軍事的な状況により発行されたその他経済指標の変化に対する投資家の期待などが含まれる。

リスク
個別株オプションの場合と同様に、指数オプション購入者のリスクは、オプションに対して支払われたプレミアム(=オプション価格)の額に限られる。指数オプションの売却者が受け取って保持するプレミアムは、オプションの売却によって売り手が得ることのできる最大の利益である。しかし、カバーされていない指数オプションを売却することによる潜在的損失の大きさは、一般的に無限大である。指数オプションを売却することを検討している投資家は、重大なリスクが伴うことを認識する必要があろう。

現金決済
個別株オプションと指数オプションの違いは、主に対象商品および決済方法に起因する。一般的に、指数オプションが購入者によって権利行使され、指数オプション売却者に権利行使の割当てがなされると、行使決済金額(現金)が受け渡される。これが、現金決済と呼ばれているものである。

権利を購入
指数オプションを購入しても、対象指数に含まれる株式を購入または売却する権利が投資家に与えられるわけではない。指数は単なる無形の、構成銘柄を表す代表的な数字でしかないので、指数オプションの購入は、市況や価格の変動に応じて、時間の経過とともに変化する価値を購入するものと見なすことができると言えよう。
指数オプションを購入した投資家は、契約条件に従って特定の権利を取得するのである。一般に、これは、同条件の契約の売却者から指定金額を徴収して受け取る権利(もしその契約がインザマネーであるなら)というものになる。

オプションのクラス
取引可能な行使価格、満期月、および最終取引日は、各指数オプションのクラス、すなわち同じ対象指数をカバーする同じタイプコールまたはプット)およびスタイル(アメリカンまたはヨーロピアン)の全てのオプション契約の項目によって異なる。取引を望むオプションクラスの契約条件を決定するには、自身の証券会社に問い合わせされたい。

行使価格
現金決済型オプションの行使価格、または権利行使価格は、オプション購入者が権利行使に伴い受け取る資格を持つことになる現金額(もし存在するならば)を決定する際の基礎となるものである。

インザマネー、アットザマネー、アウトオブザマネー
指数コールオプションは、行使価格が対象指数の現在の数値を下回っている場合、インザマネーである。行使価格が指数の数値と同じである場合アットザマネーであり、行使価格が指数を上回っている場合、それはアウトオブザマネーである。
指数プットオプションは、行使価格が対象指数の現在の数値を上回っている場合、インザマネーである。行使価格が指数の数値と同じである場合アットザマネーであり、行使価格が指数を下回っている場合、それはアウトオブザマネーである。

プレミアム(オプション価格)
※注コメント: 別に難しい単語でもありませんが、「プレミアム」と言うより「オプション価格」「コール価格」「プット価格」と言う方が個人的に分かりやすいため、そう書くことが多いです。むしろ分かりにくいかもしれませんが

指数オプションのオプション価格は、個別株オプションと同様、小数点付きの価格、その小数点は通常100ドルと等しい形で取引される。例えば、1.00ドルと表示されたオプション価格は100ドルと等しく、1.25ドルは125ドル、1.50ドルは150ドル、2.00ドルは200ドルと等しい、などとなる。指数オプションの購入者は、通常、表示されたオプション価格合計に100ドルの倍数を掛ける。一方、オプション売却者は、この金額を受け取り、保持することになる。
指数オプションのインザマネーである部分の金額は、本質的価値と呼ばれる。本来の価値を上回る全ての付加価値の部分は、オプションの時間的価値と呼ばれる。個別株オプションの場合と同様、時間的価値は、ボラティリティの変化、満期までの時間、金利、対象指数の構成銘柄によって支払われる配当金の金額によって影響を受ける。

アメリカン vs ヨーロピアンスタイル
個別株オプション契約は一般的にアメリカンスタイルの満期のみを有するが、指数オプションはアメリカンまたはヨーロッピアンのいずれも有することができる。
アメリカンスタイルのオプションの場合、オプションの購入者は、満期日の時点またはその前のいつでもそのオプションを行使する権利を有する。もし行使しないと、オプションは失効し無価値となり、金融商品として存在がなくなる。早期割当は必ずしも予測可能ではないが、アメリカンスタイルオプションの売却者は、オプションの満期日または満期前のいつでも権利行使が割り当てられ得ることとなる。
ヨーロピアンスタイルのオプションは、満期前の指定された期間中のみ購入者が権利行使することができるものであり、その期間は指数オプションのクラスによって異なる。ヨーロピアンスタイルのオプションの売り手は、この同じ期間にのみ権利行使が割り当てられ得ることになる。(このハンドブック発行時点現在、米国内のオプション取引所で取引されている全てのヨーロピアンスタイルの指数オプションは、満期日のみに権利行使および割当てが可能となっている。)

※注コメント: オプションを始めた当初は、いつでも権利行使できるなら、オプションを買うならアメリカンスタイルの方がいいな、逆に、売るなら最後まで権利行使が絶対にされないヨーロピアンスタイルの方がいいな、などと思っていたのですが、事実上、スタイルの違いはオプション取引をする上で一切全く何も関係がありません。
その理由は非常に単純明快で、以前まとめた通り(なぜオプションの権利は行使されにくいのか?)、満期日前にオプションの権利を行使したりされたりすることは、基本的に絶対にあり得ないからです。
なぜあり得ないかというのも単純明快で、「権利を行使するぐらいなら、オプションを売却した方が得なので」という合理的な理由によるものです(=権利を行使すれば保有中のオプションに内在する時間的価値を捨ててしまうことになるけれど、売却するのであれば時間的価値ごと新しい購入者に受け渡すことが可能なので、理論上、時間的価値がごくわずかでも残っている限り、すなわち実際に満期を迎えるその瞬間まで、言い換えれば最後までどの場面でも絶対にオプションを売った方が得になる)。
実際にそれなりに個別オプション取引を経験してきて、オプションを購入して満期前に権利を行使したことは1度もありません。利益が出たら、権利を行使するのではなく、現物株と同じように、売却してポジションを清算するわけです。
実は1度だけ、売りポジションを持っていたオプションで、満期前に権利が行使されてしまったことはあるのですが、それは特別配当が実施されオプション行使価格に調整が入ったという特別な状況だったのが理由でした(2016/06/22 配当権利落ち後株価は低下、しかしそれは暴落ではなく調節っ!そして本命株が…)。
ただしこれは特別な状況であり、通常時に権利が行使されることは、初心者または愚かな投資家が間違ってすることが絶対にないとは言い切れませんが、基本ほぼあり得ないため、仮にインザマネーのオプション売りポジションを保有していても、何も心配することなく期限まで待つので問題ありません(もちろんその売りポジションを持っていて損失が拡大しそうなら速やかに買い戻して手仕舞いすべきですが、「満期までずっと持っていたいのに、突然権利が行使されちゃわないか心配…」という不安は抱く必要が全くない、という話ですね)。
逆に、オプションを購入したのであれば、途中どんなにインザマネーになって利益が出る状況になっていようとも、権利行使などは絶対にせず、そのオプションを売却するようにしましょう



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…ということで、今のところ「指数オプションはヨーロピアンスタイルである」という、「知ってた」という事実しかなかったような大したことない話しかありませんでしたが、この続きの「AM決済」「PM決済」は知らない話なので、楽しみです(といっても特に指数オプションに手を広げる予定はないので、急いで読む気にもなりませんが)。


次の祝日は……9月4日(第1月曜)Labor Dayですか。米国市場は祝日が少なくて何よりです。