先日チラッと出てきた現物買いとコール買いの違いについてのまとめなんですが、その時にも書いた通り、正直まとめるまでもない、あまりにも当たり前すぎる単純な話かもしれません。

 

しかし、実際当初自分自身、期限があって勝率も低いと言われるコールオプションは端から眼中になかったこともあって、そこまで頭が回らなかったと言いますか把握しきれていなかった点なので、「えっ、こんなことも分かってなかったって、お前頭大丈夫か?」と思われるかもしれないのですが、自分を含め初心者が見落としがちな点になっているかもしれないと思い、この機会にまとめておくこととしました。

 


早速、それぞれを単純にまとめると、以下のようになるかなと思います。

 

【現物株買いの利点】(コールオプション買いと比較して)
・完全に自分の好きな値段で、自分の好きな量買える。

・有効期限などは一切なく、売らない限りいつまでも保有していられる。

・手数料が安い。

 

【現物株買いの弱点】(コールオプション買いと比較して)

・株価が大きく上昇した時に得られる利益が、コール買いよりも小さくなることがほとんど。

・大暴落した場合、自分で損切りをしない限り、資産価値が0になるまで低下し続ける可能性がある。

 

 

【コールオプション買いの利点】(現物買いと比較して)
・株価が大きく上昇した時に得られる利益が、現物株買いよりも遥かに大きくなる。

・株価がどんなに大暴落しても、損失はコールオプションの購入代金に限られる。

 

【コールオプション買いの弱点】(現物買いと比較して)
・満期の存在。その時までに株価が大きく動いてくれないと、大きな利益を上げられない!
・関連して、時間の経過が敵であり、刻一刻と商品価値が減っていく中、それに打ち勝って株価が大きく動いてくれないといけない。
・最低取引単位が100株なので、取引にはある程度の資金が必要。

(しかしオプション売りと違い、証拠金の束縛はないため、オプション自体の価格は非常に安価なことが多いことから、これ自体はあまり弱点と言えるほどでもないかもしれません。しかし現物買いほどの自由さがないのは間違いないですね。)
・手数料が高い。
・銘柄によっては取扱いがない場合がある。

 


最後の「取扱いがない場合がある」という点ですが、これは、お使いの証券会社が取扱っていない可能性があるというだけでなく、実際にその株のオプションがこの世に存在しないことがある、という意味でもあります。

 

(例: 多くのボロ株など。調べたら、オプションが扱われ始めるための具体的な条件は、原則として以下の3点になるそうです。

 

・直近連続5日間で、株価が最低3ドルを上回り続けている。
・自社保有等を除く一般株が、700万株以上出回っている。
・株主が2000人以上いる。

 

恐らく、一度オプションが取扱われ始めたら、倒産しない限り、オプションは存在し続けると思います。ひょっとすると何か月か連続で1取引もなされていない場合はオプションが消滅する、という条件もあるのかもしれませんが、まずないでしょう。)

 


まず、オプション買いで一番抑えておくべき点といいますか、自分自身初めの頃は気付かなかった点なんですが、よくコールオプション買いの損益グラフとして、以下のような形のものが示され、あたかも『満期日までに行使価格を上回らないと損失』という印象を抱いてしまうのですが、実はそんなことは全くないということに注意が必要かと思います。

 


なぜならば、対象の株の価格が変化するにつれて、完全に1:1で連動はしないものの、オプションの価格も同じように変化するからです。


例えばコールオプションを買い、その後株価が上がれば、コールオプションの値段も上がります。その時に上昇した値段でコールを売れば、仮に行使価格まで全然届いていなくても、利益を出すことは十分に可能です。

 

 

では、株価の変化に応じてオプションの価格はどの程度変化するのでしょうか?もちろん取引きするのは人間なので厳密な予測はできませんが、ある程度推測するための指標として、ギリシャ指標と呼ばれる「デルタ」というものがあります。


このデルタというのは、「株価変化に対する、オプション価格変化の変動率」を意味しています。
デルタは0~1までの数字で表され、1であれば変化率100%、つまり、株価が1ドル上がればオプション価格も1ドル上がることが予想される、ということを示しています。
デルタが0.5であれば、変化率は50%、すなわち株価が10ドル上がればオプションの価格は5ドル上がることが予想される、という具合ですね。

 

大抵のオプション板にはこのデルタが明示されていると思います。
これは昨日貼ったNYMXのオプション板ですが、コール・プットそれぞれの表の一番右に、ちゃんと表示されていました。

 


昨日購入した行使価格2.5ドルの、来月満期のコールのデルタは1.0000、つまり、オプション価格は株価に完全連動してくれることが予想されます。

つまり、画像当時の株価が3.08ドルであるNYMXが3.58ドルにでもなったら、現在0.80ドルで取引されているこのコールも0.5ドル上昇し、1.3ドルぐらいで取引されていることが予想されるわけですね。


昨日71枚のコールを購入したので、株価が3.58ドルになった場合、これを売りに出すことで、1.3 x 71 x 100=9230ドルが得られます。

もちろん購入するのに1枚あたり0.80ドル使っているので、利益としては、(1.3-0.8) x 71 x 100=3550ドルですね。5700ドルの投資なので、中々の利益率です。

 


そしてこれこそが今回の記事のポイントでもあるわけですが、同じ金額の現物株を買っていた場合に比べて、このコール買いで得られる利益は、遥かに大きくなっています(株価が3.08ドルから3.58ドルになったので、16%アップ、つまり、現物株を買っていたら、5700ドルの16%で900ドル程度の利益でしかなかった)。

 

逆に下がった場合は、価格が大きく下がるとデルタも若干変わると思うので単純には行かないかもしれませんが、大体NYMXの株価が0.8ドルぐらい下がってしまうと、購入したコールオプションの価値は0ドル、紙くずになってしまいます。同じように株価が0.4ドル下がると、価値は半分になってしまう、という感じですね。

 

 

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具体例でそれぞれの場合の損益を考えてみましょう。

 

【同数の株を買う場合】
例えば、上に挙げたNYMXを、合計1000株買うことを考えてみます。
計算を簡単にするために、NYMXは3ドルだったとしましょう。

 

<1. 現物株>
3.0ドルの株を1000株買って、必要なのは3000ドル。

(A) 1.0ドルに下がった!(=株価66.7%ダウン)
→単純に、株価が下がり、3000ドルで買ったものが今や1000ドルになってしまい、2000ドルの損失(=66.7%ダウン)

 

(B) 3.6ドルに上がった!(=株価20%アップ)
→言うまでもなく、3600ドルに値上がりして、600ドルの利益(=20%アップ)

 

(C) 10ドルに上がった!(=株価233%アップ)
→もちろん、10000ドルに値上がりして、7000ドルの利益(=233%アップ)

 

 

<2. インザマネーのコール買い>
2.5ドルのコールを1000株分、すなわちコールを10枚買うことになる。どの商品でも結論は大きく変わらないはずなので、適当に11月満期のオプションを買ったとします。
オプション板を見ると、直近の取引価格は、0.90だったようです。この価格で買ったとしましょう。
必要なのは、0.90 x 10 x 100=900ドル。

 

(A) 1.0ドルに下がった!(=株価66.7%ダウン)
→デルタは0.7414であり、株価が2ドル下がることでオプション価格は1.48ドル低下、つまり0以下になるということで、既に全く取引きされていないことが予想される。

これはすなわち、購入したコールは紙くずになったということであり、900ドル全て失ってしまったことと同義だが、よく見ると、<1. 現物株>で失った金額よりも小さいことが分かる(もちろん100%損失なので割合としては大きいけれど、絶対額としては小さくなっている)。

 

同じ株数を取り扱う場合、投資額が小さく、単にコールを失って終わりなので最大損失が限定されている分、大暴落時はコールオプションの方がお得

 

(B) 3.6ドルに上がった!(=株価20%アップ)
→この場合、株価が0.6ドルアップしたので、このコールオプションは、それにデルタをかけた値を加えて1.30-1.35ドル程度で取引されていることが予想される(もちろん、時間の経過に伴い時間的価値は下がりますが、即アップして時間的価値もそのままだったと仮定しましょう。いずれにせよ結論はほぼ同じだと思います)。


1.30ドルでこのコールを売り払ったとして、買値との差は0.4ドルなので、0.4 x 10 x 100=400ドルの利益が得られる(=44%アップ)
利益率は大きいが、絶対額としては現物株の場合よりも小さくなってしまう。

特に遠い満期のオプションでは、小さい値のデルタがかかる分、少々の値上がりでは思うほど利益を上げられないことが多いと思われる。

 

(C) 10ドルに上がった!(=株価233%アップ)
→ここまで大きく上がると、デルタ値はとっくに変わっており(そうじゃないと、インザマネーなのに本質的価値が一切存在しないオプションになってしまい、おかしなことになる)、本質的価値(=現在株価と行使価格との差)7.5ドルに、さらに時間的価値(残り時間にも依るけど、適当に見繕っても1.5ドルぐらいはある?)を加えて、9ドルで取引きされていると仮定。


このコールを9ドルで売ったとすると、買値との差は8.1ドルなので、8.1 x 10 x 100=8100ドル(800%アップ)の利益で、利益率は言わずもがな、絶対額としても、現物取引よりも大きな利益を上げたことになる。

 


<3. アウトオブザマネーのコール買い>
5ドルのコールを1000株分、すなわちコール10枚買う。
同じ11月満期のオプションの直近の取引価格は、0.36だったようです。(実際の入札価格は0.05ドル単位なのでありえないですが、単なる例としての仮定で)この価格で買ったとしましょう。
必要なのは、0.36 x 10 x 100=360ドル。

 

(A) 1.0ドルに下がった!(=株価66.7%ダウン)
→計算するまでもなく、あまりに現在株価とかけ離れた行使価格5ドルのオプションには誰も見向きもしないでしょう。完全に紙くずであり、全額360ドルの損失
しかし、改めて、損失額自体は非常に小さいことが分かる。

 

(B) 3.6ドルに上がった!(=株価20%アップ)
→この場合、株価が0.6ドルアップしたので、このコールオプションは、デルタ値0.3224をかけた値を加えて0.55ドル程度で取引されていることが予想される。


0.55ドルでこのコールを売り払ったとして、買値との差は0.19ドルなので、0.19 x 10 x 100=190ドルの利益が得られる(=52%アップ)


このように、行使価格にはまだ遥かに届かない段階でも、結構な利益率を上げられることが分かるかと思います。しかし、利益の絶対額としては、上2つの例に比べてまだまだ弱いですね。

 

(C) 10ドルに上がった!(=株価233%アップ)
→先ほどと同じように、デルタはもう完全に変わっており計算はできないが(デルタ自体を自分で計算すればいいのですが、面倒くさいのでパス)、単純に本質的価値5ドルに、さらに時間的価値1.5ドルを加えて、6.5ドルで取引きされていると仮定。


このコールを6.5ドルで売ったとすると、買値との差は6.14ドルなので、6.14 x 10 x 100=6140ドル(1705%アップ)の利益で、絶対額としては若干負けているけれども、少ない投資額で、圧倒的に大きな利益率を上げられたことになる。


つまり、同数の株を扱うなら、コール買いの場合は現物買いよりも遥かに少ない資金で取引が可能であり、その分利益の絶対額は小さくなることもありますが、例えばインザマネーのコールであれば(もちろん場合によってはアウトオブザマネーでも)、利益率も利益額もどちらも現物を打ち負かすことが可能な場合もあります。

 

 

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では、同額を使った場合はどうなるのでしょうか。正直、洞察力の優れた方には、恐らくいちいち1つずつ見るまでもない自明のこととは思いますが、一応また同じように見てみるとしましょう。

 

【同じ金額を使った場合】
NYMXを、9000ドル分買うことを考えてみます。
上と同じく、計算を簡単にするために、NYMXは3ドルだったとします。

 

<1. 現物株>
9000ドルで、3.0ドルの株は3000株購入できる。

(A) 1.0ドルに下がった!(=株価66.7%ダウン)
→単純に、株価が下がり、9000ドルで買ったものが今や3000ドルになってしまい、6000ドルの損失(=66.7%ダウン)

 

(B) 3.6ドルに上がった!(=株価20%アップ)
→言うまでもなく、10800ドルに値上がりして、1800ドルの利益(=20%アップ)

 

(C) 10ドルに上がった!(=株価233%アップ)
→もちろん、3万ドルに値上がりして、21000ドルの利益(=233%アップ)

 

 

<2. インザマネーのコール買い>
先ほどと同じ11月満期の行使価格2.5ドルコールを買ったとして、直近の取引価格は0.90なので、9000ドルを使えば100枚コールを買うことができる。

 

これはすなわち、1万株を取り扱っていることと同義であり、いわゆるレバレッジがかかった状態と言えると思います。

 

(A) 1.0ドルに下がった!(=株価66.7%ダウン)
→例のごとくコールは紙くず化してしまっているので、100%の損失で、9000ドルのマイナス
言うまでもないことですが、同じ資金を投資した場合(例えば持っている資金を全力投資など)は、どれだけ株価が下がっても株自体の価値は少なからず残っている現物買いに比べ、全てが紙くず化してしまうコールオプション買いでは、損失率の上でも損失額の上でも、完全に負けてしまいます。

 

(B) 3.6ドルに上がった!(=株価20%アップ)
→計算前半は【同数の株】の時の例と全く同じであり、1.30ドルでこのコールを売り払ったとしましょう。
買値との差は0.4ドルなので、0.4 x 100 x 100=4000ドルの利益が得られる(=44%アップ)
同額を賭けた場合、保有玉数が現物よりも遥かに大きくなることから、割と小さい上がりでも、利益率のみならず利益の絶対額でも現物買いを上回ることが多いと思われます。

 

(C) 10ドルに上がった!(=株価233%アップ)
→これも先ほど同様、9ドルで取引きされていると仮定します。
このコールを9ドルで売ったとすると、買値との差は8.1ドルなので、8.1 x 100 x 100=81000ドル(800%アップ)で、額も率もとんでもない利益を上げたことになる。

 


<3. アウトオブザマネーのコール買い>
またまた同じく、11月満期の行使価格5ドルコールを、直近の取引価格0.36で買ったとします。
9000ドルで購入できるのは、9000/(0.36 x 100)で、250枚のコールですね。

 

(A) 1.0ドルに下がった!(=株価66.7%ダウン)
→言うまでもなく、100%の損失で、9000ドルのマイナス

コールの全力買いは、やはり危険です。…もちろん、危険なのを承知で手を出したくなる魅力があるわけですが…。

 

(B) 3.6ドルに上がった!(=株価20%アップ)
→同数購入の例で計算した通り、0.55ドル程度で取引されていることが予想される。
0.55ドルでこのコールを売り払ったとして、買値との差は0.19ドルなので、0.19 x 250 x 100=4750ドルの利益が得られる(=52%アップ)


取引枚数の圧倒的な多さから、既に、インザマネーのコール全力買いと比べても、トップの利益額になっています。本当に大きく上がることが期待できる場合、アウトオブザマネーのめちゃくちゃ安いコールをめちゃくちゃな数買うというのが、最高利益を得る方法でしょう。

(しかし、言うまでもなく、デルタはかなり小さいので、少々の値上がりでは中々コール価格が上がらず、思うような利益にならないことも多いでしょう。平凡な値動き程度では他の選択肢に比べてパフォーマンスが劣ってしまいがちである、ということですね。)

 

(C) 10ドルに上がった!(=株価233%アップ)
→同数購入の例で計算した通り、6.5ドルで取引きされていると仮定。
このコールを6.5ドルで売ったとすると、買値との差は6.14ドルなので、利益は6.14 x 250 x 100=153500ドル(1705%アップ)であり、わずか9000ドルの投資で、利益はついに夢の6桁に到達しています。

 

 


わざわざ例を一つずつ挙げましたが、要は結局、コール買いでは現在株価より遥かに低い価格で対象商品を買えることが多いため、オプションの保有数、すなわち株の保有数が単純に大きくなることから、(特にデルタが1にどんどん近付いていく、現在株価が行使価格を超えたあたりからは)損益グラフは非常に傾きの大きい直線になって利益が飛躍的に伸びる、つまり一言で言えば「レバレッジが効いている」というお話だったわけですね(1株1ドル上がった時に、100株持っていれば100ドル、3万株持っていれば3万ドルも上がる、という、ただそれだけの話です)。

 

言い方を変えると(本質的に同じことですが)、コールオプションは購入単価の小さい商品であるので、小さな値上がりに対してでも非常にセンシティブに大きな割合で影響を受けてくれる、という感じでしょうか。

…ちょっと分かりにくい言い換えだったかもしれませんが、要は、コール価格0.50のオプションを買うというのは、0.5ドルのボロ株を買ったこととある意味同じことなので、対象の株が例えば1ドル値上がりしてくれて、コールの価格が同じように1ドルぐらい上がるようなことがあれば、0.5ドルの株が1.5ドルに値上がりしたことと同じであり、凄まじい上げ幅になる、ということですね。

(もっとも、『株価が1ドル上がってコールの価格が1ドル上がる』という、デルタ値1の理想的な状況というのは、株価自身が1ドル上がることそれ自体もそれなりに大変なことが予想されるような低価格の株、あるいはものすごいディープインザマネーで、株価とコール価格にそれほどの差がなくてレバレッジ効果があまりない場合がほとんどかとは思いますが、『概念としては、そういうこと』というお話です。)

 

 

大体のイメージとしては、現在価格を基準として、現物買いとコール買いを比較した時の損益図としては、こんな感じでしょうか(もちろん厳密なものじゃなくて、これまた『大体こんな感じかな』という話です。また、同額の投資をした場合をイメージしています)。

 

 

 

(※追記注: 久々に見直してみて気付いたんですが、やっぱりまだ当時はオプションのシステムに十分精通できていなかったのか、このグラフは『大体の適当』と言ってはいたけれど、それを差し引いても全然正しくなかったですね。

   最も重要な点として、x軸(株価)が0の時点、すなわち株価が現状維持の場合、このグラフだとコール買いの損益が0になっていますが、時間的価値が失われるオプション買い取引の場合、株価が現在価格のままでは確実に資産価値が減少しています。したがって、この赤いグラフは全体的に下に移動すべき感じですね。

   先ほどのA, B, Cの3つの例も、それらに加えて『現状維持』のパターンも考えるべきでしたが(=現物買いの場合は株価現状維持なら資産価値は不変だが、コール買いの場合目減りしてしまう)、そもそも時間の流れを一切考慮していない例であるのが片手落ちだった感が否めない感じですね)

 

 

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以上改めてまとめると、コールオプション買いの特徴としては、個人的には、こんな感じかなと思います。

 

【現物買いと比較したコールオプション買いの特徴】
1株あたりの価格に換算した場合、現在の株価よりも遥かに小さい金額で取引が可能なコールオプション(ギリギリインザマネーや、アウトオブザマネーなど)は、現物買いと比較して、同じ株数を買うならばより安全な取引が可能で、同じ金額を注ぎ込むならば遥かに大きな利益が期待できる。

やはり、コール買い最大の魅力は、大きく値上がりすることを期待している場合のレバレッジ効果であろう。

 

もちろんいいことしかない投資商品などは存在しない。最大のネックは、やはり『期限が存在する』こと。オプションには時間的価値が内包されており、時間が経つとともに、どんどんその価値が失われていくのはややプレッシャーに感じる。


また、このことから、思ったのと大きく違う方向に行ってしまった時に、塩漬けにしてまたリバウンドしてくれることに期待する、というのが非常に難しくなっている。もっとも、これは、損切りができない弱小投資家にとっては、強制損切り的な感じでズルズル失敗を引き摺らないで済むことも意味するため、いい点とも言えるのかもしれないが。

 

大きな値動きが存在しない時に利益を上げられるオプション売りとは完全に対照的に、大きな値動きが非常に強く期待できる場合には、上方向ならばコール買いを、下方向ならばプット買いを考えてみるのも、一つのいい選択肢と言える。

 

ただし、オプション買いは『損小利大』の設計になってはいるものの、もちろん全力投資した場合は全額失う可能性を秘めていることと同じなので、何事もほどほどにしておく必要があるのは言うまでもないことではある(と、「お前が言うな」的な感じの話で〆ですが、自分に言い聞かせている、ということで何とぞ…)。

 

 

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※ちなみに、以前のオプションについてまとめた記事では、そもそも権利の行使しか頭になく、買ったオプションを売り払うということが完全に抜けていたため非常に片手落ちな解説な部分もあったのですが、その辺り含め至らない解説の部分に、この記事へのリンクを追加しておきました(というか、そんな知識で解説をしようなどというのがまず片腹痛いわ、という感じでしたね。どうもすみません)。

 

オプション取引について
オプション取引について2~具体例を見てみる~

 

ちなみに最初の解説記事内では、『レバレッジ』という言葉を、『買付余力以上の資金を扱える』こと、いわゆる信用取引的なレバレッジという意味のみで捉えており、『米国株個別オプションにレバレッジは存在しない』などと書きなぐっていたわけですが(一応言い訳しておくと、書いていて何となく『そういう意味のレバレッジではないのかな』という気はしていたので、一応、『ここでいうレバレッジとは、証拠金に対するレバレッジであり…』と、取引資金に関するレバレッジですよ、ということを明記はしていました。もちろんレバレッジの意味の取り違いをしていたのは事実なので、何の言い訳にもならないですが…)、言うまでもなく、投資資金に対する利益という観点において、コールオプションの買いでは、上で何度も見てきた通り、レバレッジを効かせられることになります。

同じ資金を投資して、より大きな利益が得られる、という意味でのレバレッジですね…!