こんにちは!
大人に絵本を読んでいる、絵本セラピストらくちゃんです。
つくば市の田舎道をお散歩しながら見つけた自然、大好きな絵本、元気の出た言葉、お気に入りのものなどを、紹介しています。
梅雨が明けて、連日猛暑が続いています。
とうとう、今朝はこの私が朝散歩をお休みしてしまうという異常事態!
そんな時は、室内でゆっくり読書がおすすめ。
というわけで、おすすめ絵本の紹介です。
「おじいちゃんの手」
あらすじ
どうだ、ジョーゼフ、わしの手は。
まだまだ達者なわしの手で、おまえにも教えてやろう、ピアノやトランプ、野球を。
そして、昔、わしができなかったことを……。
手を通して描かれた、伝える祖父と受け継ぐ孫の物語。
出版社ホームページ作品紹介より引用
この絵本を、5月の絵本セラピー「てとてとて」というテーマの中で読みました。
器用で有能な手を持つおじいちゃんには、望んでも許されない仕事がありました。
人種差別が横行していた時代、どんなに意欲や能力があっても、やらせてもらえなかったのです。
でも今は・・・
靴ひもを結べるようになり、ピアノやトランプも、野球のヒットも打てるようになったジョーゼフに、おじいちゃんは言います。
「おまえの その手は、なんでも やれる」
先日、少人数で始めたプログラムのセミナーでも、この絵本のお話をしました。
人生を主体的に切り拓いていくために大事な考え方として、「主体変容」という言葉をお伝えしたのですが、このおじいちゃんがまさにそうなんですね。
「主体変容」とは、困難や問題の原因を、他者や環境、出来事などに求めるのではなく、自分の思考や行動を変えることで、状況を変えていくという考え方です。
人種差別を受け、職業選択の自由のない時代、おじいちゃんはその状況を呪い、自暴自棄になったり、卑屈になったりはしませんでした。
仲間と手をとり合い、プラカードを掲げ、「黒い手だ、白い手だと くべつするのは もう、やめよう」と訴えました。
その結果、状況を変えていくことができたのです。
絵本は、いろんな受け取り方ができます。
この作品も、過去の人種差別の歴史を知る、という側面もあります。
絵本セラピーでは、おじいちゃんと孫の心温まる交流を見ていた方もいました。
セピア色で写実的な絵から、一編の映画のようにドラマを受け取る方もいます。
そして、「主体変容」という一見硬くて小難しい言葉に、物語が事例となって理解を助けてくれることもあるのです。
子どもへの読み聞かせとはまたひと味違う、「大人に絵本」の面白さを、ますます感じています。
オンラインでも、大人の絵本読書会を開催しています。
ぜひご参加くださいね!
7月28日(日)13時から開催
7月30日(火)10時から開催