こんにちは!
大人に絵本を読んでいる、絵本セラピストらくちゃんです。
つくば市の田舎道をお散歩しながら見つけた自然、大好きな絵本、元気の出た言葉、お気に入りのものなどを、紹介しています。
今日はおすすめ絵本の紹介です。
「サイモンは、ねこである」
あらすじ
思いがけない展開が楽しい、ユーモアあふれる絵本です。
百獣の王ライオンを筆頭に、チーター、ピューマ、クロヒョウ、トラの
大型ネコ科動物5人組が集うところに遭遇した、子ねこのサイモン。
「ぼくたち、似てますね!」
うれしくなったサイモンが言うと、5人組は大笑い!
こんな小さくてまるっこい子ねこが俺さまたちと似ているだなんて、
そんなことあるわけがない!といばって言うのですが、よーく見てみると……?
出版社ホームページ作品紹介より引用
昨今、多様性や個性の尊重が言われています。
もちろん、大事なことだと私も思います。
この絵本の中でも、ネコ科の動物たちが、自分の特長を自慢しています。
ライオンは、立派なたてがみと尻尾のふさを、
チーターは、世界一速く走れる、すらりと長い足を、
ピューマは、山に住んで、岩から岩へと飛び移れること、
クロヒョウは、ジャングルの木の上で寝ること、
トラは、堂々とした黄色と黒のしま模様を、
個性、強み、才能、特長、得意を生かして活躍する。
素晴らしいことですが、ときにそれが苦しいと感じることもあるかもしれません。
自分は平凡で、強みなんてないと感じている人もいれば、目立つことが嫌いで、人と違ってヘンな人と思われるのが怖い、という人もいます。
心理学者のマズローが唱えた、「欲求の5段階説」があります。
まずは、生存のための「生理的欲求」と「安全の欲求」があり、その次に「社会的欲求」があります。
これは、集団に所属したいという欲求で、ここが満たされてから「承認欲求」「自己実現欲求」とレベルアップしていきます。
違いや個性を主張するときに、何かに所属している安心感や信頼感がないと、やはり危うい。
また、所属している集団が、違いを認めない、均一に管理統制しようとするものではいけない。
この「多様性を認めること」と「安心安全の場に所属すること」の両立が大事。
この絵本は、そこを描いているのだと思います。
「俺様は」と言っていた大型のネコ科動物たちも、共通点を見つけて「ぼくたち、なかまですよね」ということを認めてからは、じゃれて、はねて、ねこパンチ。
一日中遊んでいるページの、なんと楽しそうなこと!
そして、物語が終わった後の奥付(作者や発行者、発行年月日が書いてあるページ)には、みんながくっつき、重なり合って、幸せそうに眠っている絵が描かれています。
短い言葉と、少ないページ数で、見事に私たちの目指す理想の世界を表現している絵本ではないでしょうか。
実はこの絵本、先日訪れたタイでも翻訳出版されていました。
「100万回生きたねこ」の上にあるの、わかりますか?
これは、「バンコク国際ブックフェア」の会場の写真ですが、市中の書店でも見かけました。
原題は、「I AM A CAT」。
タイ語も、そのまま訳されています。
日本語タイトルをこう訳したなかがわちひろさん、大胆ですね。
まぁ、日本語を原題どおり訳すと、明治の文豪の超有名なあの小説になっちゃうからですかね。笑
というか、その名作を想起させるようなタイトルにしたところが見事!
実際、この名作の英訳は、この絵本と同じタイトルでした。
ちなみに、この絵本、先月の絵本セラピーで読みました。
テーマは、「わたしは、ナニモノ?」
今月も、ビストロ・シェ・レノンで4月15日開催します。
春のつくばへ、大人の絵本散歩、いかがですか?