第二章 友達の絆 131 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

そしてうつむいていた顔を静かに上げ、私に視線を向けてきた。

「その頃から私は誓ったの。母さんをこんな目にあわせたあの女を絶対に許さないって。正直、私がここまで魔術を極めたのも姉さんに復讐するためのような物なのよね」

「復讐、ねぇ……」

「そう、復讐よ。そこはアンタと同じ。だけど、私はアンタみたいに目的の為に周りを犠牲になんて絶対にしない」

私は呆れながらため息をする。

この女はどこまでも正義感が強い奴だ。

けど、私に言わせればコイツが並べてる言葉なんてしょせん綺麗事にしか聞こえない。

思わず私は口元を歪ませた。

「――何がそんに楽しいの?」

「ククク……いやさ、お前の復讐ってのは随分と器が小さいと思ってな」

その言葉が感に触ったのか愛花は殺意混じりの視線で私を睨みつけてきた。

「どういう意味よ、それ……」

「言葉通りの意味だよ、魔術師。私から言わせればお前が復讐と言っているそれはただの姉妹喧嘩みたいなもんだ。そんなのと私の復讐を一緒にすんな、この幸せ者が」

ギリっと歯が擦れる音が聞こえる。

と、愛花は身体を震わせながら左手で力強く拳を握り締めた。

どうやら悔しいらしい。

けどそんなの私の知ったことじゃない。 

「アンタ……ッ! 知ったような事をッ!!」

その言葉と同時に、愛花の右手から先程と同種の魔弾が放たれる。

が、今度はさっきみたいにはいかない。

私は反射的に槍を作り出し、向かってくる魔弾を弾き返した。

凄まじい音をたてながら魔弾は廃墟と化したマンションの最上階へと衝突する。

その瞬間、二発目の魔弾が放たれる。

今度は同時に三発――どうやら愛花は私を殺す気でいるらしい。

まぁ、怒り狂いそうなのはコチラも同じだ。

「――ホント、幸せ者だよお前」

私は槍を剣のように振り回しながら放たれた三発の魔弾を愛花に目掛けて弾き返す。

しかし、そんな反撃は愛花の予想通りだったのだろうか。

彼女は自身に返ってくる魔弾を今までより少し大きめの魔弾で消し飛ばしたのだ。

少しばかり感心してしまう。

きっとこれがアイネなら間違いなく吹き飛んでいただろう。

「やめろッ! なんでこんな展開になんだよぉッ!!!」

と、背中の方からそんな怒鳴り声が聞こえてくる。

顔を向けると殺しあっている私と愛花を睨みつける神崎護。

まぁ、怒鳴られるのは仕方ない。

私だって予想外の展開だ、こんな事は。

けど、どうやら私のあの身勝手な行動が愛花の狂気な人格のスイッチを押してしまったようだ。

言ってしまえばこれも自業自得って事なんだろうけど。



/続く




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