「エレナ、大丈夫?」
706号室から少し離れた所で私達三人は腰を降ろした。
エレナは相変わらず身体を震わせている。
そんな彼女の頭を優しく撫でる愛花。
さっきまで不安そうな彼女の表情は今ではホッと安息に満ちた物になっていた。
「すみません……ご迷惑おかけして」
「何言ってんのよ、馬鹿」
コツンと軽い拳骨をエレナに食らわせる愛花。
しかしエレナの顔色はまだ暗いままだった。
私は立ち上がり、身体を震えさせているエレナに向き直る。
「犯人はどこに行ったか分かるか」
と、私のその一言にエレナは更に激しく身体を震わせた。
「……お願いします、やめてください」
頭を抱え、涙声になるエレナ。
「今は……聞かないで、ください……」
そんなエレナを愛花は優しく抱き寄せる。
そして私に顔を向けてきた。
「今はやめてあげてライト。この子が落ち着くまで待ってあげて欲しいの」
真剣な眼差しで愛花は私にそう言った。
本当なら無理矢理にでも聞きたい所だが仕方ない。
私は分かったよ、と返事をしなが再びエレナの隣に座り込んだ。
すると階段の方から足音が聞こえてきた。
息を乱しながらコチラに走ってくる人影が三つ。
一人はさっきまで私達と共に居た神崎護。
そして残りの二人は――。
「って、坂口に龍二!? アンタ達なんでここにいんのよッ!」
予想外の人物の登場にそんな声を上げる愛花。
「いや、コイツらもここにエレナが居るかもって来たらしいんだよ」
と、驚く愛花に護がそう言った。
「という事は、アンタ達もチンピラに聞いたの?」
「ん? いや、聞いたと言うより教えてもらったんよ。黒い髪のお姉さんだったかな、急に僕と龍ちゃんとこ来てね」
相変わらずニヤニヤとイヤらしい笑みを浮かべたまま坂口弥はそう言った。
/続く