「お前、本当は俺の駆逐やら捕獲とかどうでも良いんだろ」
彼女の雰囲気を感じ取ったのか、グリードそんな事を呟く。
その問いに少女は――。
「えぇ、本当は貴方なんてどうでも良いのよ。でも建前上は仕方ないのよね、私的には捕獲では無く駆逐の方が手っ取り早かったのだけど」
長い髪を左手でサラっと靡かせながら少女は独り言の様に呟く。
「ほぉ、現代の人間が作り出した兵器じゃ俺達は殺せなってのに、駆逐の方が楽ときた。まさかアンタも〝赤毛犬〟同様の悪魔憑きか?」
「その回答は半分当たりで半分外れよ。彼女は完全に悪魔と契約を成立させている、言わば完璧な悪魔憑き。けど私の場合は半契約つまり完璧な契約は成立していないのよ。だから彼女の様に好きな武器を作り出す事も出来ないわ。半契約の範囲で出来る事は、悪魔に索敵を頼んだり、目標の捜索くらいよ」
「何だ、じゃー俺を倒すなんざ無理な話じゃねーかよ」
呆れた様にグリードは鼻で目の前の少女を笑う。
そして右手に持った黒く鋭い刃をした剣を少女に向けて構えた。
「その手に持ってる剣で俺に対抗しようって考えたのか? ヒヒッ、お馬鹿な姉ちゃんだな」
と、グリードは笑いながら目の前の少女に一気に詰め寄る。
自身に突きつけられている日本刀の刃を真横に避け、少女の細い首に照準を合わせる。
そして右手に持った黒い剣の刃を少女の首に目掛けて叩き込む様に切り込んだ。
――はずだった。
「――ッ!?」
ふと、グリードは右腕に激しい激痛を感じ、とっさに少女から距離を取る。
右腕の方へ視線を向けると――。
「な、何だこりゃァッ!!」
右腕が、綺麗に切断されているのだ。
当たりを見渡し、切り落とされた右腕を探す。
「魂の塊の割に、人間らしい反応をするのね」
焦るグリードの耳、冷静な声が聞こえてくる。
グリードは息を荒くさせ、目の前の少女に視線を向けた。
そこにはつい先ほどまで自分にくっついていた右腕を左手に掴む少女の姿。
「お、お前……何しやがった……」
そんなグリードの問いを少女は無視した。
答える義理なぞ、お前には無いと言う態度にグリードは苛立ちを隠しきれない。
が、エレナは事の一部始終を見つめていた。
あの時、慢心の如く目の前の少女に斬り掛かったグリード。
が、その行動はあの金紗の少女には全て予想されていた事だったのだ。
自身の首を叩き切ろうと振り下ろすグリードの右腕を、突きつけたままだった日本刀で刹那の瞬間に切り落としたのである。
その瞬間、一瞬だけ少女の日本刀が〝別の形状〟をしていた風にもエレナには見えていた。
/続く