第二章 友達の絆 87 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

思えば、私とライアンは一番最悪な別れ方をしたんだと、今更ながら後悔してしまう。

―― もっと、話してあげればよかったと。

―― 喧嘩なんてしなければ良かったと。

そんな過去の思い出、取り戻せない記憶を思い出しながら護の姿を呆然と見つめていた。

〝もし、仮にあのスマイル女が死んだとしたら〟

この男はどうするのだろうか。

やはり私と同じく、奴らに復讐を誓うのだろうか。

どうでも良い事だけど、何故か私は聞きたい衝動に駆られてしまう。

そして、無意識の内に――。

「神楽咲エレナが、誘拐犯とやらに殺されたらどうする」

と、心に思っている事をそのまま口に出していた。

護も愛花も私の言っている事が理解出来ないとばかりの顔をしている。

そしてその顔から数秒後、愛花は私の事を殺すかの勢いで睨みつけてきた。

「勝手に殺さないでよッ! だいだい誘拐犯に拐われたって決まった訳でもないのに」

〝仲間が死んだらどうする〟なんて事を言われたら誰でも愛花の様な反応をするだろう。

愛花はそのまま私から顔を背ける。

けど私には彼女の回答などどうでもよかった。

肝心なのは、目の前にいる神崎護の回答だ。

彼は私の問いに今だに答えていな。

もっとも、愛花と同じ反応をするだろうが。

しかし、そんな私の予想は簡単にも打ち砕かれた。

「何言ってんだ、殺される前に助け出すに決まってんだろ」

あまりにも、現実味のなに回答に私はまた呆然と護を見つめる。

そんな台詞を言う事を許されるのは力を持つ者だけだ。

ましてや漫画やアニメかの様な台詞に私は呆れてしまっている。

「それに火野川の言う通りだ、勝手にエレナを殺すな。アイツが死んだ後の事なんて考えたくないしな」

至って護は怒った表情すらせず、私にそう言った。

心のどこかで、私はコイツも私と同じ事を言うと思っていた。

〝殺されたら、俺は絶対そいつを許さない〟

コイツならそんな事を言うだろうと、思っていた。

けど、護も愛花もスマイル女の死後の事なんて想像したくないという反応だ。

きっとこの反応が、正常な人間の反応なんだろう。



/続く



にほんブログ村 小説ブログ ライトノベルへ
よければクリック!