第二章 友達の絆 14 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

護はしばらく私の顔を見つめていると、すぐに顔を下に向ける。

〝当たり前だと思っていた日常が変わった〟

コイツ、いや、ここの生徒にとってはその日常は昨日で一気に変わったんだろう。

けれど、私は違う。

「私の日常は15歳の時に変わっている」

「え――」

そう、私の〝当たり前だと思っていた日常〟は、二年前にとっくに変わっているんだ。

あの日はいつもと変わらない冬の朝。

十二月二十四日のクリスマスの公園で、あの化け物に出会ってしまってからだ。
「あの子が目の前で喰われた時、私の日常は壊れたんだ。でも、考えてみればお前達には〝当たり前の日常〟なんて無いだろ? 世界が今どう言う状況なのか、お前たちにも分かっていたはずだ」
護を睨みつけながら私はそう言った。

「いつ壊れても、変わってもおかしくない生活の中で、お前達は生きてきた。昨日あの時まで何事も無く、楽しく生活していたのは奇跡に近いんだ」

でも、奇跡は長続きしないんだ。

〝世界〟はそう言うふうに出来ているから。

「いい加減、お前達も現実を見るべきだ。私から言わせれば、お前達……いや」

私は立ち上がり護に体を向ける。

「お前は〝逃避〟していただけなんだ」

私の言葉に護は体を震わせた。

一瞬、あの時の自分と護の姿が重なる。

その瞬間、一気に悲しみがこみ上げてきた。

「お前に言わせればそうなのかもしれない……。でも……」

護は口ごもる。

彼にとってはあまりにも急な展開だったから、まだ頭が整理出来ていないのだろう。

あの時の私もそうだった。
「今は、迷わずに前を見ろ」

「前って……?」

「それは知らない、私はお前じゃないから。でも、きっと何かが分かる。自分のやるべき事が」
私はそう言いながらエントランスの出口に向かう。



/続く


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