「お説教かもな?」
悪魔は意地悪げに笑う。
「とっとと戻れ、この変態悪魔が」
「はいはい、でも喘ぎ声は良かったぜ?」
くだらない言葉を残すと、悪魔は私の右腕へと溶けるように戻って行った。
私は右腕の袖をまくり上げる。
右腕には不気味な紋章が描かれている。
これが私と悪魔の契約の証だ。
二年前、ライアンが死んだ直後に私はコイツと契約した。
その時からだ、この紋章が右腕に宿ったのは。
袖を戻し、私は携帯のメールボックスを開く。
〝仕事の依頼だ、至急司令部まで来るように〟
メールにはそう書かれていた。
昨日の今日で仕事の依頼とは、人使いが荒い奴だと思う。
私は長い髪を青いゴムで結ぶと、そのまま部屋を出る。
時刻は午後一時ジャスト。
昨日の疲れか、また昼まで眠ってしまったらしい。
私はエレベーターに乗り込み、エントランスに降りた。
エントランスには生徒の姿は無い。
昨日あんな事があったのに学校があるってどう言う事なんだろうか。
と、いや、一人居た。
エントランスに置いてある木製の長椅子に座り込んでいる男子生徒。
鞄を横に置いている所を見ると、今から登校するのだろうか。
ツンツンの髪型のその男子生徒は顔を下に向けている。
その髪型には覚えがあった。
私は男子生徒の座る長椅子へと近づいて行く。
初めて会った時のムカムカ感は今は無かった。
「何してるんだ、お前」
顔を下に向けている男子生徒に話しかける。
男子生徒は顔をコチラに向けるとすぐに目を私から逸らした。
「体調が悪いんだよ……」
拗ねているような口調で神崎護はそう言った。
「そうか、それは大変だな」
私はそう答えると護の隣に腰を降ろす。
護は居心地の悪そうな顔をしていた。
/続く