「違うッ!」
叫びながら私は目を開けた。
ここは……学生寮の部屋。
「ハァ……ハァ……夢……?」
息を整えながら体を起こす。
体は汗でびっしょりと濡れていた。
頭を左手で抑える。
頭痛がする……。
「何だってあんな夢……」
ふと、部屋の中に何かの気配を感じた。
辺りを見回すと、締め切られたカーテンを背に寄りかかる一つの黒い影。
人型のその影は起きた私に顔を向ける。
「よう、起きたか? 随分と魘されてたな」
笑い混じりに言いながら影は私に近づいて来る。
「にしても何だよその汗は? 犯されてる夢でも見たのか?」
ベッドの側まで来るとその場に影は座り込んだ。
「まぁ、アンタはスタイルも良い、顔だってそこらの女には負けないだろう。男にとってはアンタの体は最高の女性器だろうな、ククク……」
「私に許可なく実体化する事は許さない、そう言ったはずだぞ」
影を、いや目の前の悪魔を睨みつけながら私はそう言った。
悪魔はやれやれと肩をすくめる。
「お堅いこと言うなよ、たまには良いじゃねーか」
悪魔はフラフラと立ち上がると、私の体をベッドに押し倒してきた。
「お前ッ! 何を……!」
そんな私の言葉を無視して悪魔は私の上に馬乗りしてくる。
そして黒い顔を私の顔へと近づけてきた。
「アンタの力はオレが貸してやってるって事、忘れてねーよな?」
不気味に笑いながら悪魔は私の左頬をペロリと舐めてきた。
「……くっ」
汚いヨダレが左頬にドロリとつく感触。
「このくらいのご褒美くれても良いんじゃねーの? 哀れで、最弱で無力なライトさん」
顔を背けようとする私の顎を掴んで無理やり向き合わされる。
私はただ目の前の悪魔を睨みつける。
すると今度は右頬を汚い舌で舐められた。
「や、め……」
体が震える。
「昨日の戦いだけで悪夢を見ちまうのかよ、情けねーなアンタ」
悪魔は甘やかすような声で言いながら私の首元に舌を伸ばす。
ナメクジが這うような感じに声を上げそうになる。
「……ん、くっ……」
必死に声を上げないように耐えていると、悪魔を私の首から舌を離した。
そして再び私の顔に黒い顔を近づけてくる。
「ハァ……ハァ……んぅ……ハァ……」
上がる息を整えるも、悪魔を睨む気力は残っていなかった。
/続く