第二章 友達の絆 10 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

「違うッ!」

叫びながら私は目を開けた。

ここは……学生寮の部屋。

「ハァ……ハァ……夢……?」

息を整えながら体を起こす。

体は汗でびっしょりと濡れていた。

頭を左手で抑える。

頭痛がする……。

「何だってあんな夢……」

ふと、部屋の中に何かの気配を感じた。

辺りを見回すと、締め切られたカーテンを背に寄りかかる一つの黒い影。

人型のその影は起きた私に顔を向ける。

「よう、起きたか? 随分と魘されてたな」

笑い混じりに言いながら影は私に近づいて来る。

「にしても何だよその汗は? 犯されてる夢でも見たのか?」

ベッドの側まで来るとその場に影は座り込んだ。

「まぁ、アンタはスタイルも良い、顔だってそこらの女には負けないだろう。男にとってはアンタの体は最高の女性器だろうな、ククク……」

「私に許可なく実体化する事は許さない、そう言ったはずだぞ」

影を、いや目の前の悪魔を睨みつけながら私はそう言った。

悪魔はやれやれと肩をすくめる。

「お堅いこと言うなよ、たまには良いじゃねーか」

悪魔はフラフラと立ち上がると、私の体をベッドに押し倒してきた。

「お前ッ! 何を……!」

そんな私の言葉を無視して悪魔は私の上に馬乗りしてくる。

そして黒い顔を私の顔へと近づけてきた。

「アンタの力はオレが貸してやってるって事、忘れてねーよな?」

不気味に笑いながら悪魔は私の左頬をペロリと舐めてきた。

「……くっ」

汚いヨダレが左頬にドロリとつく感触。

「このくらいのご褒美くれても良いんじゃねーの? 哀れで、最弱で無力なライトさん」

顔を背けようとする私の顎を掴んで無理やり向き合わされる。

私はただ目の前の悪魔を睨みつける。

すると今度は右頬を汚い舌で舐められた。

「や、め……」

体が震える。

「昨日の戦いだけで悪夢を見ちまうのかよ、情けねーなアンタ」

悪魔は甘やかすような声で言いながら私の首元に舌を伸ばす。

ナメクジが這うような感じに声を上げそうになる。

「……ん、くっ……」

必死に声を上げないように耐えていると、悪魔を私の首から舌を離した。

そして再び私の顔に黒い顔を近づけてくる。

「ハァ……ハァ……んぅ……ハァ……」

上がる息を整えるも、悪魔を睨む気力は残っていなかった。



/続く



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