幻想の記録① その1 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

ここは真っ白な世界。

私達に言わせればここは当たり前の日常を過ごす世界。

人間はここの世界を〝天国〟と言っているらしいけれど。

私は手元に開かれた本を静かに閉じる。

ため息をついて、顔を前方に向ける。

両側には真っ白な柱。

その柱の天辺には蒼色の炎が輝く様についている。

私はその柱の真ん中に挟まれた大きな円盤に腰を掛けている。

勿論、円盤の色も真っ白だけれど。

二柱の先には何もない。

ここは終わりも無ければ、始まりも無い世界。

果てはなくて、無限がいつまでも続いている世界。

「読書は終わりですか?」

静かな空気に耳慣れた声。

右の柱から赤い鎧を纏った女性が私に近づいて来る。

「うん、今回の物語も世界が定めた通りだったよ」

「ですが、まだ始まったばかりです。物語の初めは世界に定められた通りに進むのは仕方ありません」

丁寧のお辞儀をしながら彼女はそう言った。

「今回も……期待しない方が良いのかな?」

苦笑いしながら目の前の女性に顔を向ける。

すると彼女は本を握る私の両手に自身の右手を重ねてきた。

「前回の物語はあまり変わりませんでした。ただ、散る必要のない命が散った。我々の危機を回避出来るとすれば、今回の物語に賭けるしかありません」

力強く、私の両手に右手を重ねてくる。

「もし、もし今回ダメだったら? そしたら私達はどうなるの?」

「ご安心ください、ホーラ様。その時は、このウリエルがアナタ様の盾となります」

そうウリエルは優しく微笑んでくれた。

でも、こういう微笑みはもう見たくない。

前回の物語が終わった時、こんな笑みを残して私の大切な天使達は命を散らしていった。

あの悲しい思いの塊達によって。

赤くて肩までかかる長い髪をなびかせるウリエル。

「盾になるのは、ウリエルだけではない」

今度は左の柱から耳慣れた声。

そこには背中に大きな黒い大剣を背負った、黒い鎧を纏った男。

彼の周りには黒い翼がよく散っている。

そのせいで、鴉と言う生き物とよく連想してしまう。



/続く



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