「あぁ……本当に投げ飛ばすんじゃなかった……」
静かに過ごしたいのに、これじゃ確実に王子信者共に絡まれるじゃないか。
真面目にあの寮から出て行きたいと思ってしまう。
「大丈夫ですぅ!その二コースに行かなければ良いだけですから!」
太陽の様にあかるい笑顔でそんな事を口にするエレナ。
正直、帰りたい。
「あの、私でよければ学院内を案内させてもらっても良いですかぁ~?」
「いや、適当に自分で回るからいい。それにお前、確か忘れ物――」
「こんな広い学院を一人で回れる訳ないじゃないですかぁぁぁ~! それに下手にウロウロしていると王子様宗教信者に絡まれますよ!?」
言葉を言い終える瞬間、エレナが私に顔を突き出してくる。
どうしてか、どこか焦っているように見える。
しかしエレナの言う事には一利ある。
またあんな奴らに絡まれるのはゴメンだ。
と、エレナが襟元を掴んでくる。
「ライトさんの身を案じて言っているんですよぉ!?」
グワングワンと私の体を揺らしてくる女子生徒。
「わ、分かったから! 揺らすなって、おい!」
襟元を掴む手を払いのける。
「クソ……強引な奴だな」
目の前の女子生徒を睨みつけながら小さく呟く。
「でわ、ご案内をさせていただきますね! 生徒数が少ない第三校舎をご案内します~」
「第三校舎?」
「はい、第三校舎は一年前に建てられた新校舎なんですよ~。ここの一本廊下の先です」
先程自分が走ってきた廊下を彼女は指さした。
そのままルンルンと歩き始める。
案内をする事がそんなに楽しいのだろうか。
私はそんなエレナの後を付いていく。
しばらく歩いていると渡り廊下に出た。
屋根を支える柱の所には洋風の電球が掛けられている。
「因みに今は授業中ですから、生徒の姿はあまり見られません」
「お前は授業に出なくて良いのか?」
「わ、私は成績優秀なので! 授業は受けなくて良い事になっているのです!」
ガッツポーズをしながらそんな事を言う女子生徒を私は凝視する。
「は、ははは~! 早く先に進みましょ~!」
苦笑いしながら行進して先を進むエレナ。
/続く