第一章 復讐者 53 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

「あぁ……本当に投げ飛ばすんじゃなかった……」

静かに過ごしたいのに、これじゃ確実に王子信者共に絡まれるじゃないか。

真面目にあの寮から出て行きたいと思ってしまう。

「大丈夫ですぅ!その二コースに行かなければ良いだけですから!」

太陽の様にあかるい笑顔でそんな事を口にするエレナ。

正直、帰りたい。

「あの、私でよければ学院内を案内させてもらっても良いですかぁ~?」

「いや、適当に自分で回るからいい。それにお前、確か忘れ物――」

「こんな広い学院を一人で回れる訳ないじゃないですかぁぁぁ~! それに下手にウロウロしていると王子様宗教信者に絡まれますよ!?」

言葉を言い終える瞬間、エレナが私に顔を突き出してくる。

どうしてか、どこか焦っているように見える。

しかしエレナの言う事には一利ある。

またあんな奴らに絡まれるのはゴメンだ。

と、エレナが襟元を掴んでくる。

「ライトさんの身を案じて言っているんですよぉ!?」

グワングワンと私の体を揺らしてくる女子生徒。

「わ、分かったから! 揺らすなって、おい!」

襟元を掴む手を払いのける。

「クソ……強引な奴だな」

目の前の女子生徒を睨みつけながら小さく呟く。

「でわ、ご案内をさせていただきますね! 生徒数が少ない第三校舎をご案内します~」

「第三校舎?」

「はい、第三校舎は一年前に建てられた新校舎なんですよ~。ここの一本廊下の先です」

先程自分が走ってきた廊下を彼女は指さした。

そのままルンルンと歩き始める。

案内をする事がそんなに楽しいのだろうか。

私はそんなエレナの後を付いていく。

しばらく歩いていると渡り廊下に出た。

屋根を支える柱の所には洋風の電球が掛けられている。

「因みに今は授業中ですから、生徒の姿はあまり見られません」

「お前は授業に出なくて良いのか?」

「わ、私は成績優秀なので! 授業は受けなくて良い事になっているのです!」

ガッツポーズをしながらそんな事を言う女子生徒を私は凝視する。

「は、ははは~! 早く先に進みましょ~!」

苦笑いしながら行進して先を進むエレナ。



/続く



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