私はそんな階段を一段一段登っていく。
下駄箱は無いらしい。
そのまま昇降口の中に入り、辺りを見渡す。
学生寮のエントランスほどの広さ。
左右には上の階へ続く大きな階段。
階段の手釣り付近には「魔術コース」「学科コース」と書かれた看板が置かれている。
「あぁ、コースってこの事だったのな……」
上原王子の言っていた言葉を今更理解する。
アイツはどちらのコースなのだろうか。
まぁ、私にはどうでも良い事なのだけど。
と、一つだけ疑問が浮かんだ。
昨日少し話した生徒会長、火野川愛花。
彼女の所属する「総合コース」はどこにあるのだろうか。
見たところコースは「魔術コース」「学科コース」しか見当たらない。
最近出来たばかりのコースだから、まだ看板が用意されていないのだろうか。
すると左右の階段に挟まれた一本の廊下から足音が聞こえてきた。
慌てて走っているかのような足音はコチラに近づいてくる。
「にぎゃぁ~、忘れ物~」
と、黒い髪をしたショートカットの女子生徒が慌ててコチラに走ってくる。
後ろを見ながら走っているらしく、私は居るのも関わらず走る速度を下げない。
「お、おいお前!」
そう呼び止めようとした、が時遅く。
少女は見事、私に体当たりを食らわしてきた。
その勢いで地べたに尻餅を着く。
牛か、とツッコミを入れたくなる。
「いった……」
頭を片手で抱えながらフラフラと立ち上がる。
「す、すみません!大丈夫です……あ!」
両手を合わせながら誤ってきた少女は私の顔を見るなりそんな声を上げる。
その表情は有名人にでも出会ったかのような明るい表情。
目をキラキラさせながら私のコートの袖を触ってくる。
「な、何だ……お前」
「あ、貴方はもしや!ライト・クライスさんですか!?」
「あ、あぁ……」
そう答えるとさらに目をキラキラさせる女子生徒。
/続く