第一章 復讐者 37 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

すると火野川は一度ため息をついた後、席を立ちそのままカウンターへと向かっていく。

恐らく、夕食を貰いに行ったのだろう。

隣には黙々と飯を食っている坂口。

こうなると坂口は俺から何か言っても何の反応もしなくなる。

それほどコイツは食事の時は集中して飯を食っているのだ。

だから太るんだよ、と心の中で突っ込んでしまう。

そう思っている時、一瞬先ほどの少女の顔が思い出された。

〝……何様だ……お前……〟

彼女の言葉が脳内で再度再生される。

てか俺、何であんな事言ったんだろ……。

今更そんな事を思ってしまう。

根拠は本当にないのだが。

でも、彼女の顔を見た瞬間にそう思った。

コイツは何をそんなに必死になって強がっているのか、って。

呆然とそんな事を考えながらフランスパンを食べ終える。

するとカウンターからおぼんを持って火野川が帰ってきた。

相変わらず火野川の夕食はバランスが取れている。

本人曰く、長生きするための秘訣なんだとか。

てか秘訣じゃねーよ……。

「何ジロジロ見てるのよ」

不機嫌そうな顔で火野川は俺の前の席に腰を降ろす。

おぼんの上には白米、味噌汁、焼き魚、あと野菜炒めなどなど。

バランスって言うか、ごく一般的な食事だ。

いわゆる定食である。

そういえば昨日もコイツこのメニューじゃなかったか?

「ヒノッチ、毎日定食で飽きないん?」

食事を終えた坂口が火野川にそう言った。

因みに坂口の夕飯は自賛のカツサンドだ。

何でもここの食堂のメニューは全て食い飽きたんだとか。

いつのまに全てのメニューをコンプリートしたのか……。

俺でもまだ全メニュー食った事ないのに。

「毎日じゃないわよ。たまにはパスタとかも食べてる」

「月に一回か二回だろ、それ」

火野川が定食系以外の食事を取るのは稀である。

よく火野川に隠れて坂口とその事で賭け事をしていたくらいだ。

因みに今のところ、互いに勝ったためしがない。

「どんだけ定食好きだよ、この定食会長……」

「定食会長言うな!」

「うほ、また新しいですなマモッチ。それよかよか」

「良くないだろ!」

坂口の言葉に火野川が突っ込む。

いやー、コイツも王子並みに良いリアクションをしてくれるよな~。



/続く



にほんブログ村 小説ブログ ライトノベルへ
よければクリック!