第一章 復讐者 27 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

「……バカみたい」

「上原なら仕方ないっしょ」

呆れている火野川に坂口がそう言った。

そういえば火野川は王子に狙われているのだったっけ。

ほとんどの女子は王子に見つめられるとハートを射抜かれるのに火野川は射抜けなかったとか。

それで王子には何かと絡まれるらしい。

「は~、出来れば会いたくなかったのに~」

「別に良いじゃんか。アイツ、結構面白い所あるし」

「人事だからそんな事が言えるのよ……」

よっぽど絡まれるのが嫌なのか、火野川は顔を歪ませた。

さて、ではどうしようか……。

王子達が群がってるのは603号室、火野川の部屋の前だ。

このままスルーしても確実に王子は火野川に絡んでくるだろ。

「しゃーない。王子にはもう一度倒れてもらいましょうか」

「え、それはまずいのでは」

「良いじゃない、〝聖なる水〟(水道水)で復活出来るんだから」

指をバキバキ鳴らしながらそんな物騒な事を口にする火野川。

やばい……、顔がマジだぞコイツ。

このままではさすがの王子も死ぬのではないだろうか。

「ま、待てよ火野川……!俺がどかしてきてやるから、少しここで待ってろ!」

俺はそう言いながら王子の元へと小走りで向かう。

しかし周りの女子が邪魔で中々王子に近づけない。

しかも王子本人、宗教じみた演説をまた始めてるし……。

「皆、僕は何者にも負けはしない!そう、みんなが僕を愛してくれてさえいれば!」

王子の周りに白いバラが舞っている、ように見える。

それと同時に周りの女子達の瞳にはキラキラと輝く星が……。

またしても目が点になってしまう。

すると王子が俺に気づいたのか、コチラに人差し指をビシっと向けてきた。

「や~神崎護~、相変わらずなアホ面で関心したよ~」

王子の俺に対する挨拶はいつもこれである。

まぁ、あんまり気にはならないけど。

「そっちも、相変わらずなカリスマ力で恐れ入りますよ、王子様~」

女っぽくそう言うと王子は腹を抱えながら笑う。

「ふー、で、そんなアホ面な神崎が僕を見つめてどうかしたのかい?あぁ、ついに僕に魔術の弟子入りを頼もうってやつ?でも君はたしか魔力がなかったような――」

妄想乙です、上原王子。



/続く



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