「……バカみたい」
「上原なら仕方ないっしょ」
呆れている火野川に坂口がそう言った。
そういえば火野川は王子に狙われているのだったっけ。
ほとんどの女子は王子に見つめられるとハートを射抜かれるのに火野川は射抜けなかったとか。
それで王子には何かと絡まれるらしい。
「は~、出来れば会いたくなかったのに~」
「別に良いじゃんか。アイツ、結構面白い所あるし」
「人事だからそんな事が言えるのよ……」
よっぽど絡まれるのが嫌なのか、火野川は顔を歪ませた。
さて、ではどうしようか……。
王子達が群がってるのは603号室、火野川の部屋の前だ。
このままスルーしても確実に王子は火野川に絡んでくるだろ。
「しゃーない。王子にはもう一度倒れてもらいましょうか」
「え、それはまずいのでは」
「良いじゃない、〝聖なる水〟(水道水)で復活出来るんだから」
指をバキバキ鳴らしながらそんな物騒な事を口にする火野川。
やばい……、顔がマジだぞコイツ。
このままではさすがの王子も死ぬのではないだろうか。
「ま、待てよ火野川……!俺がどかしてきてやるから、少しここで待ってろ!」
俺はそう言いながら王子の元へと小走りで向かう。
しかし周りの女子が邪魔で中々王子に近づけない。
しかも王子本人、宗教じみた演説をまた始めてるし……。
「皆、僕は何者にも負けはしない!そう、みんなが僕を愛してくれてさえいれば!」
王子の周りに白いバラが舞っている、ように見える。
それと同時に周りの女子達の瞳にはキラキラと輝く星が……。
またしても目が点になってしまう。
すると王子が俺に気づいたのか、コチラに人差し指をビシっと向けてきた。
「や~神崎護~、相変わらずなアホ面で関心したよ~」
王子の俺に対する挨拶はいつもこれである。
まぁ、あんまり気にはならないけど。
「そっちも、相変わらずなカリスマ力で恐れ入りますよ、王子様~」
女っぽくそう言うと王子は腹を抱えながら笑う。
「ふー、で、そんなアホ面な神崎が僕を見つめてどうかしたのかい?あぁ、ついに僕に魔術の弟子入りを頼もうってやつ?でも君はたしか魔力がなかったような――」
妄想乙です、上原王子。
/続く