「君、もしかして僕がこの寮でどんな存在か知らないのかい?」
知っている訳がない。
生憎と私は今日ここに来たばかりだ。
「僕に声をかけてもらえる事は、女子達にとってはとても幸福な事なんだぜ?」
自慢げな顔をしながら熱く語る王子様。
そんな彼の後ろには大勢の女子生徒。
私を嫉妬深い目で睨みつけてくる。
「幸福?不幸の間違いだろ」
私のその言葉に王子様は顔を強ばらせる。
「お前、もしかして自分はカッコイイとか思ってるのか?あぁ居るよなそういう奴って。そうやってしゃしゃり出る奴って可哀想だよな。周りからすればただのバカなのに、自分ではそれがカッコイイと思ってる」
「お、お前!調子に乗りやがって!」
王子様は顔を真っ赤にしながら私の首元を掴んだ。
どうやら私の言葉がお気に召さなかったらしい。
コイツの後ろに居る女子達も私を見ながら互いに耳打ちをしている。
「良いか、この寮で僕に逆らったら居場所なんてなくなるんだぞ?そこらへんは良く理解してる?」
いい加減コイツと絡むのも飽きてきた。
と、ちょうど良くエレベーターの扉が開く。
しかしコイツは一向に私を離そうとしない。
なので―
「え?な、ぐあ!!」
首元を掴んでいる王子様の手を右手で掴み、そのまま背負投を食らわした。
良い音を立てながら頭を地べたに直撃させる王子様。
「お、お前……!」
王子様は私を睨みつけながら消えかかった声で呟いた。
私はそんな王子様を無視してエレベーターに乗り込む。
さっきまで何人か乗っていたが、私が乗ろうとするなり、次々とエレベーターから降りてきたのだ。
ドアが締まる間際、私は王子様に視線を向け―
「じゃあな、王子様」
と、口元を歪ませながら別れを告げた。
/続く