石の洞窟。ムロ島に位置する暗く長い洞窟で、一部のマニアからは人気がある。
そんな、石の洞窟に我々マグマ団M223こと俺、にぃさんと相方のM222ことねこたんは訪れていた。なんの目的で来たかと言うと、メガシンカ反応があり、その調査に来たのだ。
いつぞやの島で得た反応と似ているため、ハガネールではないかと考えられる。
「なぁ、ねこたん」
「なによ、にぃさん。あたしについてくるだけじゃなくて、ちゃんと照らしてよ」
ねこたんが探知機を持ち、俺はその後ろでライトで足元を照らしているのだが、いかんせんライトが重いので支えるのが大変なのだ。つまり、光のあたっている場所が見当違いな位置にある。
「メガシンカって何なんだろうな」
「さぁ。でも、この間の朝礼でマツブサ様が皆の前で披露したでしょ? それに、ダイゴの奴も見たし」
毎朝行われる朝礼ではマグマ団リーダーのマツブサ様のありがたいお話が聞ける。ついこの間、マツブサ様の求める石が見つかり、パートナーであるバクーダのメガシンカした姿を見せていただいたのだ。
では、なぜメガストン探しをしているかと言うと、これにも深いわけがある。それは、おいおい説明していこう。今はその時ではない。
「この下から反応があるわ」
「へいへい」
気合を入れ直してライトを持ち、洞窟の石階段を下っていく。そして、辿り着いた広場は他の場所より比較的明るく、ライトはほぼ必要ないような場所だった。
そして、その広場の壁には一面、絵が描かれている。
「なん、だ、これ」
俺は、ライトでその壁画を照らす。
「グラードンとカイオーガ?」
に、似ているが、少し違うようにも見える。
左半分でグラードンが太陽を輝かせ、もう半分でカイオーガが海を荒らしている。そんなどこかで見たことのある様な様子が描かれている。
そうだ、かつてグラードンとカイオーガが復活した際に見た光景だ。
「にぃさん、コレ少し持ってて」
ねこたんは俺に探知機を押しつけて、自身の鞄からカメラを取り出す。そして、フラッシュをたいて壁画を写真に収めた。
「本部に転送するわ」
「これ、少しグラードンとカイオーガと違ってる気がするんだけど、もしかして」
「えぇ。メガシンカかもしれないわね」
「伝説のポケモンもメガシンカするのか……」
しかし、この絵、あの時と同じ。もし、マツブサ様の言うことがこの事ならば、例えメガシンカしても、向かう先は同じ。
最悪がまた……。
「メガシンカってね、今のところカロスとホウエンでしか観測されていないんだって」
「へーカロスか。それなりに近いし、そっから紛れ込んだんじゃないか?」
「そう。カロスとホウエンは近いのよ。3000年前、カロスで起きた争いの事は知ってる?」
「あぁ。なんとなくな」
それとこれと今、どのような関係があるのだろうか。
俺には関連性が見いだせない。
「それはそれは、悲惨だったらしいの。グラードンとカイオーガの戦いのようにね」
「……」
「マツブサ様は行ってたは、パワーアップしたグラードンを操る事が出来るって」
「あぁ、そういえばそんなことも言ってたな!」
てことは、希望があるってことか。
「その為には、メガシンカのエネルギーが必要なのよ」
「なるほど」
「たぶん」
「たぶんかよ!!」
とにかく、壁画室から出て再びメガストン探しを始める。
「どうやら、階段の横にあった坂を上って、別の場所に下へ通じる道があるみたいね」
「そっか。んじゃ、クロバットの出番だな」
ねこたんは言われて腰のボールを手に取りクロバットを繰り出した。
そのクロバットの小さな脚に捕まり急な坂を上る。そして奥に進むことしばらく、どことなく見覚えのある白帽子を見た。
「げっ、ルビー!?」
「どうしてココに!? あいつ、チャンピオンになってから、シンオウ→ジョウト→イッシュ→カロスと転々としていたはずよ!?」
まさか、一周回ってホウエンに戻って来たんじゃ……。
「ルビー? 違うよ、ルビーは僕の兄。僕は弟のオメガ」
彼は振り返り言った。確かに帽子や服装は似ているが、どことなくまだ幼い顔をしている。もし彼がルビーならば、あれから時が止まっていることになるだろう容姿だ。
「なるほどね。んで、お前はここでなにをしてるんだ?」
「なにって、探検だよ。キンセツシティで貰った自転車で坂がのぼれるんじゃないかって戻ってきたんだよ」
「まぁ、そんな面倒なことを」
まっすぐ進めば良いものを。
「それで、おじさん達、マグマ団だよね? お兄さんから聞いたよ。ホウエンで悪事を働いていた組織だってね」
「あら、おじさんだってにぃさん」
「いやいや、おにいさんだろ?」
「悪い人たちなら、退治するまでだよ」
「俺も、黙っちゃいられないな。小僧、俺等に喧嘩売ったこと後悔しろよ」
俺は腰から新しく支給されたポケモン、ドガースの入ったボールを取り、投げる。
相手はまだ子供だ。遊んでやるか。
「いけっ、ジュプトル!」
「ほー、キモリの進化系か。だが、相性はこっちの方が有利だぞ! ドガース、毒ガス攻撃!!」
ドガースが、自分の口から毒ガスを吐き、ジュプトルに浴びせる。ジュプトルは苦手な毒に苦しみの表情を浮かべる。
「ジュプトル、はたく!!」
ジュプトルが苦しみに耐えながらドガースをはたき、地面に落とす。地面に叩きつけられたドガースはボールのようにバウンドして目を回して宙に浮く。
まだまだ、戦闘不能ではない。
「ドガース、体当たり!!」
「ジュプトル、流してリーフブレード」
ジュプトルは突っ込むドガースを受け流して、自信の腕にある鋭い葉っぱでドガースを斬りつけた。
「中々やるね、おじさん」
「へ、小僧。俺が本気の十分の一も出していないことに気付いていないな?」
「にぃさん! メガストンがあったよ!」
「あーそう。なんだよ、もう少し楽しもうと思ったのに」
チッと舌打ちをしてドガースに煙幕の指示を出し、その場を撤退する。
「これ、何のメガストンかしら? でも、色もツヤも報告通りよ。これで、出世に近づくわね」
「あぁ。もし、上がいらないって言ったら俺のキュウコンに使うんだ!」
「キュウコンのメガシンカは報告されてないんだけど」
「なんだと!?」
石の洞窟を出てムロを後にした。
☆
「リーダーマツブサ」
「なんだ、ホムラ」
「メガストン捜索班からこのような写真が送られてきました。何処かの壁画だと思われるのですが」
「ほう。これが、ゲンシの時代のグラードン。つまり、一番力の強かったころのグラードンか。ゲンシグラードン……。美しい」
「本当に、このグラードンを操ることなど出来るんですか?」
「当たり前だ。以前は生命エネルギーの使い道を誤っていた。今度は間違えないさ」
「はぁ……」
「流星の滝での隕石調達はどうなっている」
「はい。現在、隕石と思われる石を発見しまして、解析しています。それが隕石だと確認でき次第、実験をスタートします」
「そうか」
マツブサと呼ばれた眼鏡を掛けた男性はニッと頬を吊りあげた。
☆
「カガリ様、メガストン回収してきました」
「…………お疲れ様」
「しかし、何の石なのかまでは」
「…………解析は……する」
ねこたんが幹部のカガリ様に手に入れたメガストンを渡すと、カガリ様はアハと笑う。なんとも掴みどころの無い人だ。
昔はこんなんじゃなかったんだけど……。マグマ団のある開発プロジェクトの実験装置に誤って入ってしまい、ガンガンもみ、なでられて、こんなことになってしまったとかなんとか。
今は、その装置の入り口には危険を示す張り紙が貼られている。
「…………孤島に、イク」
「孤島ですか? 一体何をしに?」
「…………ナニ……ミッション…………強いメガ反応」
「強い、ですか? もし、その石が手に入れば、もう?」
「…………メガストンは、いらない」
俺とねこたんは顔を見合わせ笑みを浮かべる。
ここ最近、メガストン探しし貸しておらず、退屈していたところだったのだ。
「今すぐ行きましょう! ねこたん、出発の準備を」
「アイアイサー!!」
俺等はカガリ様の前から立ち去り出発の準備をすべく部屋(共同スペース)へ向かった。
つづけ。