日頃やり取りしている先輩が、『ルックバック』を観たらしい。
その感想のラリーが長くなったため、まとめてみた。ネタバレあり。
〜先輩〜
噂で評判聞いてた『ルックバック』というチェンソーマンの作者の短編原作のアニメ映画を観た。
漫画家を目指す田舎の女の子の、作者の半自伝漫画みたいな感じ。もの作ってる人、あるいはそれに挫折した人は、序盤から胸が掴まれると思う。
1時間弱と短いので、夕方と夜で二回も観た。
創ることとは、創り続けることとは何かっていう、全てのクリエイターへの問いかけであり祝福だと思った。
2人の少女の友情の話でもあるから、そこも(私)の評価がどうなるか気になる。
『君の名は。』に対するアンサーである、とすら思った。
予告見ると『下妻物語』のオマージュもあるのかも。
〜私〜
先輩は『君の名は。』観たんでしたっけ。
藤野役の声優が河合優実だ🤓✨
〜先輩〜
観たけど結末にすごいモヤモヤしていた。
違う観点だけど、君の名ははジブリっぽい雰囲気出しながら結構女性をセクシャライズしている(それ自体が悪いことではないけど、そのやり方が気持ち悪い)という女性からの批判もあったみたい。
その点、ルックバックは日本のアニメにありがちな少女のセクシャライズというのが一切なくて、作品のテーマそのものにフォーカスしてるのも好感持てた。
声優も確かにアニメっぽい媚びた発声じゃなくて、普通に実写を観ているような自然な台詞回しで、それも良かった。
〜私〜
新海誠は女性の描き方に難ありと言われていますね。
私も今『ルックバック』観ました。
京アニの事件も元になってたりするのかな。アート系学部受験生時代の先輩はこんな感じだったのかなと、スケッチブックの山を見て思いました。
〜先輩〜
『ルックバック』は受験生時代やあるいは映画と同じ小学生時代とか、物作る人誰もが経験したことを物凄くリアルに描けてるなあと。
ただの「好きなこと、得意なこと」が「天職」に転じていく様子が、こんなに光り輝いているものかと。
作者自身が京アニのファンだったからかなりストレートに事件の被害者への鎮魂として書いたらしい。
原作は事件後数年だったから、流石に遺族などに配慮すべきではとか議論があったそう。
『君の名は。』は、やはりストレートに震災津波をモチーフにしてるのに、アニメというファンタジーの中では死者もみんな蘇ってハッピーになります。。という、実際に喪失を抱えた者にとっては何の答えにもなってない結末ですごくモヤモヤしてた。
ハッピーエンドだからこそ映画は成功したけど。
対して『ルックバック』は、被害者が死を回避できたifの描写を通じて、実際には帰ってくることのない死者の分まであなたは生きなければならない、死者の人生を背負って生き残ったものはひたすら前に進む(創造する)しかない…というある意味ニヒリズムだけど力強く前向きな結論だったのかなと。
ちなみに作者は美大入ったらみんな自分より絵が上手いので、修行して卒業までにこいつらより絵が上手くならなかったら、自分より絵が上手いやつ全員殺すと誓ってたらしい笑
ある意味で物語内の犯人の男は、if世界の作者本人だったのかも。過酷な創作の競争に敗れた者の怨念。
〜私〜
やはり! 穏やかな小学校時代から一変する展開は、心構えないとショックかもしれないですね。
『君の名は。』早く観なきゃ。
ほんと、藤野はかけがえのない存在を失いましたね。確かに喪失をファンタジーで誤魔化していない。
ドアを通じて一瞬時空が歪むのは、映画『インターステラー』みたいだった。
自分のスタイルを見つけることより、相対的な絵の上手さに執着する…若者は皆そうか。
〜先輩〜
まだ『君の名は。』観てなかったかーー😭 観てたと勘違いしてた、ネタバレぽかったらごめん。
『君の名は。』と『ルックバック』は、登場人物達の所得差も感じた。
前者は都心の私立通いとか田舎でも大きいお屋敷に住んでる明らかなお金持ち。ルックバックは、立派だけどいかにも田舎にポツンと建てたマイホームのリアリティがあった。
(私)は良い点気付いてる! 実際作者が映画狂いだから『インターステラー』のオマージュらしい。
部屋のポスターもバタフライエフェクトとか映画オマージュ沢山あるそう。
大切な人を唐突に失う理不尽のリアリティがきちんと描かれてたなあと、そしてそれをファンタジーで逃避せず、どう受け止めるかにフォーカスしたスタンスだと。
いわゆる小さい頃から絵が上手いと褒められてきた子は、自分以上の才能に出会うとそこに固執する。
三度目観てしまって、三度目ともなるとディティールとかアニメーターの仕事(全部手描きらしい)が見えてきて、これ描いてたアニメーター達にとってはまずに京アニ事件の被害者への鎮魂、そしてAIに呑み込まれていくであろうアニメ業界の未来に対する職人の意地なんだよなあと。。そう思うとまた号泣してしまった。